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シスコシステムズ合同会社の働き方改革事例

働きがい日本一の会社が提唱、
「企業カルチャー」が改革成功のポイント

投稿日:2019-09-12  取材日:2019-06-12

シスコシステムズ合同会社が取り組んだ事

  • 誰もが柔軟な働き方を認め、気兼ねなく実行できる企業カルチャーを醸成
  • 最適なワークプレイスを能動的に選ぶABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)でパフォーマンスを最大化
  • ビデオ会議システムなどのチームコラボレーションツールを活用し、いつでもどこからでも密なやり取りが可能に
  • 会社規模

    1,000人

  • 業種

    情報通信業

  • 対象職種

    全社員

働き方改革のために在宅勤務制度やフリーアドレス化など、制度やICTツールは変えたのにいまいち社内に浸透しない…、とお悩みの方も多いのでは?
働きがいのある会社日本一(※)にも選ばれたシスコシステムズは、働き方改革のカギは“企業カルチャー”にあると語ります。
なぜ企業文化カルチャーが大事なのか?文化カルチャーを醸成するために取り組んでいる事とは?
15年以上にわたる同社の働き方改革についてお話を伺いました。

※Great Place to Work® Institute Japan が選出する2018年版「働きがいのある会社」ランキング大規模部門(従業員数1000名以上)において1位を受賞。

2週間の全社リモートワークが自信に繋がった

働き方改革が始まったきっかけは?

菊田)約20年前に在宅勤務制度が始まってから、働き方やワークプレイスについてずっと改善と進化を繰り返してきました。効率化や生産性向上の目的もありましたが、当時から事業継続性を重視していた為です。
自然災害やテロなどで事業継続できないケースがあり得ますから、ネガティブ要因を排除する為にもリモートで働ける環境整備を続けてきました。

御社はアメリカ本社のグローバル企業ですが、在宅勤務は日本独自のものですか。

菊田)「Flexible Work Program(旧在宅勤務制度)」と明記しているのは日本だけですね。
海外はわざわざ制度化するまでもなくリモートワークが既に普通ですし、完全リモートワークで採用される人もいるくらいです。

佐藤)私の上司の上司はオーストラリア在住で、大きな会議がある時以外はほぼ自宅で働いています。
自宅でも個室に限定する、とか会社から貸与された機器を使う等の規定はありますが、セキュアな環境を保持できるのであれば海外ではリモートワークは一般的ですね。

今回お話を伺ったシスコシステムズ合同会社の皆様。 写真左から神原龍様、田邊靖貴様、長嶋育美様、菊田邦秀様、中山知子様 、佐藤菜穂子様。

日本法人でもリモートワークは浸透していますか。

菊田)そうですね。日本法人でリモートワークが浸透するきっかけになったのが2011年の東日本大震災でした。
発生翌日から二週間、出社禁止になり全員がリモートワークをした結果「どこにいても同じパフォーマンスが出せるし、全然問題ないね」と認識できました。
この経験がリモートワークの自信にも繋がったし、20年前から進めてきた事は間違ってなかった、とも思えましたね。
そのころノートPCに加えてスマホやタブレット端末が一気に普及し始めたのも追い風になったかもしれません。
ただ、勘違いしてほしくないのが、リモートワークする時も会社と同じパフォーマンスが出せる事が前提条件です。

中山)だから、例えば「体調悪いから今日は家で仕事します」はダメ。「体調が悪いならしっかり休養して、明日からしっかり働いてね」、と。

菊田)どうしても、スマホに仕事関係のアプリが入っているので、やろうと思えばずっと仕事できてしまうんですよね。
土日も仕事モードになって週明けパフォーマンスが発揮できなければ本末転倒ですから、意識してON/OFFを切り替えるようにしています。

リモートワークの目的はパフォーマンスの最大化ということでしょうか。

菊田)弊社では、会社が社員に提供するものと、会社が社員に期待するものの双方の期待を明確に取り決めた「People Deal」という人材戦略の根底となる理念を大切にしています。
どういう事かというと、会社は情報テクノロジー・制度・カルチャーを整備し、社員に機会や裁量を提供します
例えば、最新のICTツールやグローバルのコミュニティ、技術的サポート、フレキシブルな働き方、イノベーティブなワークプレイスなど提供です
一方、社員は行動規範と自律を求められます。1人1人に裁量を与えている分、成果に対する強い意識、最新テクノロジーの活用、グローバルでの部門横断コミュニケーションなどを社員に期待します。

リモートワーク中、周囲とのコミュニケーションはどうしていますか? 若手のお二人は困り事があった時、近くに質問できる先輩やメンバーがいてほしい、と感じませんか。

長嶋)チャットツールを常に活用しているので、遠くにいる感じがあまりしないですね。

田邊)物理的に目の前にいる人に聞くよりも、チャットを使ってバーチャルで聞く方が効率的なことも多いです。
今朝も、技術系の質問を40人位のチャットルームに投げてきたメンバーがいましたが、それに対して通勤途中だったエンジニアがすぐに回答していましたし、他のメンバーもその回答から新しい知識を得ることができました。

ICTツールでカバーできるわけですね。海外とのやり取りも多いと思いますが、時差や距離の問題はどのように解消していますか。

田邊)私は、シンガポールにいる上司やノルウェーにいる開発チームともやり取りする関係で、やり取りする相手と時差がある事は多いですが、チャットで投げておけば数時間後には返信があるので不便はないです。
Face to Faceの必要があればビデオ会議で済むので、時差による働きにくさは感じません。

佐藤)時差の関係で深夜の会議があれば翌朝の出社を遅らせるなど、各自調整しながらやっていますね。

即レスカルチャーでチャットを含むチームコラボレーションツールをフル活用

業務に欠かせないビデオ会議システム“Cisco Webex”。社内のあらゆる場所に設置されていている。

即レスカルチャーでチャットを含むチームコラボレーションツールをフル活用

リモートワークでやりにくさや困った事はありませんか。

長嶋)あまりないですね。
ツールが発達しているからかもしれませんが、普段から社員同士の会話が多いのでチャットでも困りごとをすぐ聞けるカルチャーができていると思います。

神原)今、上司が海外出張中ですが、時差はあってもチャットでやり取りできています。
リモートワークだけが絶対正しいわけではなくて、リモートの方が適していればやればいいし、会社で直接上司と相談したければ出社すればいいだけ
実際のオフィスもパーテーションがないフラットな空間なので、垣根なく誰にでも相談しやすい環境になっていると思います。

中山)弊社の仕事って色々な部署の人が絡むので常に他部署とのやり取りが多いんです。
だから、もともと物理的に関係者が近くにいるわけではないし、どこにいるのか探しに行くよりチャットで気軽に聞いちゃう。
ツールがここまで浸透しているのは、皆がよく使っていて反応がすごく良いからだと思います。
ツールがあっても皆が使わなければ「声掛けたのに何で無視するの?」となって利用されなくなりますよね

確かに、チャットで無視されちゃうと使わなくなりますよね。

田邊)そうならない為に、ツールの使い方勉強会を全社向けに開いています。
特に、中途入社やICTツールに慣れていないバックオフィス部門の人を中心に「軽食も用意してるからぜひ来てね」と気楽な感じで声を掛けて、15~20分くらいでサクッと学んでもらうトレーニングの場を定期的に設けています。

社員向けICTツールの使い方勉強会の様子。技術の進歩が速く中途社員も多い同社では勉強会は必要不可欠。

ツール整備だけではなく、即レスするカルチャーが醸成されているのですね。

菊田)確かに、おせっかいカルチャーみたいなものはあるかもしれません。

佐藤)周りが忙しくしていると声を掛けづらいですが、チャットに投げれば誰かしら返してくれますからね。

菊田)中途入社すると即戦力としてすぐ仕事をしないといけません。
そこで最適な人に質問してアドバイスが貰えないと、会社に慣れることができずにしんどくなって辞めてしまう。優秀な人材の流出を防ぐためにも大事なカルチャーだと思います。

パフォーマンスさえ維持できれば、制度上はどこで働いてもOKですか。

田邊)パフォーマンスを維持できればOK、というネガティブな考えではなく、最大限のパフォーマンスを発揮できる最適な仕事場所を自分で選びましょう、と。
「今日は集中して資料作りをしたいから自宅で働く」とか「色々な人と話してアイデア出しがしたいから出社する」など、業務内容によって最適な仕事環境は異なるはずです。

中山)リモートワークを推奨するわけではなくて、良い環境で働く為に多様な選択肢を会社は用意する。だから、社員はその中で自分にあった働き方や環境を自由に選んでください、という考え方です。

佐藤)私のチームは、お客様に電話を架ける内勤営業がメインなのでリモートワークが難しい面もあります。
新卒が最初に配属される部署なので社会人としての教育も兼ねている関係上、勤怠にも一定の制限を設けていて、9時半には出社して17時半迄に業務を終わらせるのと、入社一年半まではリモートワークをNGにしています。

中山)勤務形態は職種によって変わりますね。
トラブル対応のチームはシフト制ですし、10~15時をコアタイムとしたフレックス制など様々ですが、8割方の社員は裁量をもった働き方をしています。

リモートワークを補完する1on1

裁量をもった働き方というのは、成果さえ出していればどの時間帯で働いてもOKなのでしょうか?

菊田)もちろん深夜や休日については制約は入ります。ただそれ以外の時間については自由に働くことが可能です。
また成果について言うと、どの部署でも成果は求められます。ただ上司からすると、部下の動きが見えない中で結果だけにフォーカスしすぎるのも違うのかな、と。
頑張っているのにたまたま数字が上がらない/逆にたまたま数字がボンと上がってしまう、どちらを評価すべきか言えば、前者を評価したいと思っています。
その為に毎週もしくは隔週1on1のミーティングをして、進捗やプロセスをかなり密に共有するようにしています。
お客様にどんなアプローチをしているかアドバイスなりコーチングをする場で、仕事の話以外にもプライベートの話もします。
「来月に子どもが生まれる」と聞けば男性社員にも育休を勧めたり、将来のキャリア形成の相談に乗ったり。1on1は上司からしても情報共有の場としてすごく必要ですね。

佐藤)私は20名弱のメンバーを抱えており毎週の1on1は難しいので、「Team Space」をという補完ツールを活用しています。
個人の強みや傾向を掴む為の設問や、「モチベーションの上がった/下がった事」「必要なヘルプは何か」等のフリーライティングの設問が3~4問あり、毎週金曜日に提出してもらいます。
そこである程度一人ひとりの状況は把握はできますし、こちらからも必ず返信しますので、マネジメントに繋げられていると思います。

単なる業務報告にとどまらずエモーショナルな部分にも注目しているのが特徴的ですね。

佐藤)シスコのマネジメントスタイルは、「弱みより、強みをどう活かすか」という発想がおおもとにあります。
「自分の得意/不得意を公開するのが当然だし、弱いところも当然あっていいよ」と会社側が発信してくれているので、上司やメンバーに対してそれを言える場と雰囲気があるのだと思います。

パフォーマンスを最大化させるABW

1on1ミーティングはチームマネジメントの重要なツールの1つ。

パフォーマンスを最大化させるABW

去年リフォームでABW(※)に移行したそうですね。

菊田)以前はモノトーンの机が整列されたごく普通のフリーアドレスオフィスでした。
リフォームにあたって現状を把握するとともに、ABWの考え方を学び、シスコのテクノロジー・カルチャー・制度にマッチするようにリニューアルしました。

ABW:Activity Based Working(アクティビティ・ベースド・ワーキング)の略。仕事内容に最適な場所と時間を自発的に選ぶ働き方。

リニューアルしてから、オフィスの面積や席数は変わりましたか。

菊田)社員数は約1,200名ですが東京ミッドタウンオフィスに出社するのは約700名、加えて出張者等が約70名。それでも会議室を除いて約1,400席を用意しています。

田邊)当初は座席数を減らす予定でしたが、「プロジェクトによって人の増減があるので、減らさないで欲しい」と社員から要望があったのと、将来的な増員も考えてこの席数に落ち着きました。
延床面積は以前6フロアだったのを4フロアにした事で約20%サイズダウンしています。

デザイナーからはどんなアドバイスが?

菊田)まず、机が整然と並んでいればパフォーマンスが出るわけではない、と。
人間は自然を本能的に好む性質にあることから、有機的な材料やバイオフィリックデザインを取り入れ、快適性や幸福度、生産性、創造性の向上を図っています
あとは、日本という事で日本らしさを感じる空間デザインも特徴で、石畳調の床や漆喰、日本的な文様や素材をモチーフにしたデザインなどは特に海外の方から好評です。

オフィスの様子。バーカウンターやオープンミーティングスペースなど様々な用途のエリアが用意されている。

フリーアドレスからABWに移行するにあたって追加した機能はありますか。

菊田)家具の数やバリエーションは相当増やしました
以前は画一的なオフィス家具を使っていましたが、今はイスひとつとっても集中作業用、立ち仕事用、ハイカウンター用、ソファーなど、使う人やシーンに合うよう様々なタイプを用意しています。

27階はかなり開放的な造りになっていますね。

菊田)以前からオープンスぺース自体はありましたが、更に社員間や社外の人とのコミュニケーションが活性化する場所になるようリフォームしました。
人やモノ、情報が集う「港」をイメージしたデザインになっていて、セミナーやイベントを通じて社内外を問わず人が集まる場所に生まれ変わりました。
一方で、私語・食事を禁止して集中して作業できるクワイエットゾーンも作り直しました。
完全個室の作業部屋を作った事もありましたが、タイピング音が気になるらしく利用者は増えませんでした。
でも、間仕切りを作らず緩やかにゾーニングしたことで今では「会社の方が集中できるから出社する」という人が増えた程です。

中山)日本の住宅事情を考えると誰もが自宅に書斎を持てる訳ではないですからね。日中は配偶者や子どもが自宅にいるでしょうし、出社した方が仕事がはかどる人も多いと思います。

ビデオ会議なしに仕事は成立しない

同じタイミングで全部屋にビデオ会議端末を導入したそうですね。

田邊)以前は6~8人用の予約制会議室がメインでしたが、会議室の平均利用人数を調べたところ2~3人の会議が多い事が判明しました。
そこで、今回のリフォームでAPR(オーディオプライバシールーム)という予約不要の2~4人用の会議室を新設しました。
急にディスカッションが必要になった時、オフィスにいないメンバーをビデオ会議端末から呼び出してリモートで参加してもらいます。

中山)全員がオフィスにいるわけではないので、今はビデオ会議システムなしには仕事が成立しません。APRはすごく人気でほぼ満室状態ですね。

御社のビデオ会議システム“Cisco Webex”は画質や音声がクリアですから、その場で話しているようなコミュニケーションができますよね。

田邊)最近はビデオ会議端末にAIが搭載されて便利な機能がどんどん追加されています。
例えば、発言者を感知してカメラが自動でズームインしたり、顔認識で参加者の名前などの情報を表示してくれたり。
議事録の起こしやリアルタイムな文字起こし機能なども開発中です。
ビジネスでビデオ会議を使うことが増えてきていますし、Ciscoとお取引のあるお客様では、実際に会った事がなくてもビデオ会議でやり取りすることが普通になりつつあります。
日本でも柔軟な働き方がより広まると良いと思います。

中山)お客様との定例会で「大きなトピックがないから遠隔でやりましょう」と先方から言われる事もあります。

田邊)やっぱり対面の会議だと、会議室の予約や日程調整などお客様の時間も潰すことになるので逆に失礼にあたります。
ですから、お客様に不都合がなければ私たちから遠隔会議を提案する事も多いです。

多様性こそ強み インクルージョン&コラボレーション

同社のビデオ会議システムCisco Webex Meetings。 主催者アカウントさえあれば一つの会議に最大1,000名まで参加可能でクリアな画質と音声が特長。 ファイル共有や全員が書き込めるホワイトボード機能などもあり、直接会っているかのような会議ができる。 あらゆる端末からアクセス可能で外出先や自宅から参加できる為、煩わしい日程調整も不要になる。

多様性こそ強み インクルージョン&コラボレーション

制度やICTツールと同時にカルチャーが大事というお話がありました。 そのカルチャー醸成を育むインクルージョン&コラボレーションの取り組みについてお聞かせください。

田邊)個性や性別、文化的背景、年齢、経験、趣味、思考、国籍など多様な人々が力を発揮してコラボレーションすることで、より大きな成果を上げていくインクルージョン&コラボレーション(以下、I&C)を経営戦略として8年前から取り組んでいます

単なる制度ではなく重要なビジネス戦略である、と。

田邊)そうです。
日本でのI&Cには6つのコミュニティ(分科会)があり、各コミュニティは「エグゼクティブスポンサー」と呼ばれる役員と、「アンバサダー」と呼ばれる有志で集まった社員達から構成されています。

【6つのコミュニティ】
①優秀な女性社員の獲得、育成、維持(Connected Women)
②革新的で多様なワークスタイルの推進(Flexible Work Practices)
障がい者が会社と社会に適応しやすい環境づくり(Connected Disabilities Awareness Network)
若手社員のネットワーキングと革新的なアイデアの奨励(Early Career Network)
LGBTQの社員にとって働きやすい職場づくり(PRIDE)
社会への還元と社員間の強い絆づくり(Cisco Volunteer Network)

I&Cの6つのコミュニティ

働き方改革というと働く場所や時間ばかりに注目しがちですが、文化醸成や多様性の担保にここまで注力するのは日本企業にはない視点ですよね。各コミュニティに目標など課されているのでしょうか。

長嶋)定量的な目標などはありませんし、そもそも会社から「これをやりなさい」という事もありません。
ただ、目的をしっかりしないとイベント企画もブレるので、やるとなったらエグゼクティブスポンサーに挨拶してもらうなど協力を仰ぎます。

佐藤)見せ方を間違えると「興味のある人がサークル的に集まってやってるんでしょう」と誤解されてしまう。
そうではなくて、会社が公認する「会社としての取り組みである」と見えるようにやっています。

コミュニティの活動を広める為に、具体的にどんな活動をしていますか。

田邊)6月がI&C Monthに設定されていて、各コミュニティが1~3時間くらいの全社向けイベントを開きます。

コミュニティ①柔軟な働き方

Flexible Work Practices(柔軟な働き方)コミュニティだけは日本法人独自の取り組みとの事ですが。

田邊)海外は何も言わなくても既にフレキシブルですが、日本は会社に来て働くという慣習がシスコ社員も含めて染みついているため、力を入れないと柔軟な働き方を実践できません。
それに当社の働き方を社外に発信できれば日本全体の働き方に良い影響があるだろう、という事で推進しています。

佐藤)当社でフレキシブルな働き方が成功しているポイントは、部下がリモートワークするのを管理職者がとがめないマインドがあるからだと思います。
社員が共有するカルチャーがないといくらテクノロジーが発展しても上手くいかないと実感しています。

カルチャーを育てるのが大事だ、と。

中山)例えば、上司が有給を取ってくれれば部下も取りやすいですし、周りが柔軟に働いているの見ると自分も「それ、いいな」って真似してみようとしますから雰囲気は大事だと思います。
自分の上司が、柔軟な働き方についてどんな考えを持っているか、部下は気になりますよね。「マイナス評価に響いたりしないかな…」とか。

コミュニティ②優秀な女性社員の獲得、育成、維持

田邊靖貴様 Flexible Work Practicesコミュニティのアンバサダーとしても活動中。

コミュニティ②優秀な女性社員の獲得、育成、維持

中山さんは、「優秀な女性社員の獲得、育成、維持(Connected Women)」コミュニティに参加されているそうですが、どんなイベントをこれまで開いてきましたか。

中山)例えば、社員カップルをゲストスピーカーに招いて仕事やプライベートの話をしてもらいました。
プライベートの話をできる相手がいない、という社員も多いので「こういう事例もアリなんだ」とか「多様なやり方があるんだ」と知ってほしくて。
育休を取得した男性マネージャーを呼んで体験談を披露してもらった時には、男性社員もたくさん参加してくれました。

テーマが女性でありながら男性の参加も促しているのですね。

中山)女性に対する問題は、パートナーである男性も当事者意識を持たないと解決しないケースがほとんどではないでしょうか。
女性に限らずみんなが当事者になってほしい、という思いで企画を立てています。

コミュニティ③若手社員の活躍

神原さんは「若手社員の活躍(Early Career Network)」コミュニティのアンバサダーをされているそうですね。

神原)社内に縦と横の繋がりを作りたい、社員同士の距離を縮めたい、何より自分がそういうカルチャーの中で働きたい、と思ってアンバサダーに立候補しました。
「シスコフェスティバル」というイベントでは、初対面同士の人達でチームを組んで遊べるような企画を行いました。

I&Cイベントの様子。

実際に企画を通して変化を実感していますか。

神原)そうですね。仕事では全く関わりのない先輩社員の方と知り合い、本来なら手順を踏まなきゃいけないような事も気軽に頼めるような関係性が築けて、仕事がスムーズに進んだ経験もあります。

佐藤)ツールが発達しているのでチャットやビデオ会議だけでもやり取りは完結できますが、リアルでの接触や関係性が築けた上でチャットするのとは違うものがあるはずです。
また、ネットワーク作りと同時に、どんな仕事がシスコにあるのか知る事は、自分のキャリアを考える観点からも良い取り組みだと思います。

中山)弊社は強制的なジョブローテーションが少ないので、同じ部署に長年在席していると他の部署が何をしてるか分からない事もあります。
特に中途入社だと社内のネットワークは作りづらいものですが、業務以外で繋がりがあると仕事も上手く進められたりします

最後に、働き方改革に取り組む方に一言お願いします。

神原)働き方改革は、テクノロジーと制度とカルチャーが揃って初めて成立します
「働き方改革の為にテレワークしたりICTツールを入れなきゃ」という話をよく聞きますが、それだけでは浸透しません。
誰でもICTツールや制度を簡単に使えるカルチャーと雰囲気が大事です。

佐藤)社員全員が共有・共感できるカルチャーを醸成し、テクノロジーを導入して制度化するのが、シスコとしての真の働き方改革だと信じています。
このカルチャーを支えているのがI&Cであり、「People Deal」という理念ではないでしょうか。

今回協力して下さった企業様

シスコシステムズ合同会社

設立
1992年
本社所在地
東京都港区赤坂9-7-1ミッドタウン・タワー
事業内容
ネットワーク システム、ソリューションの販売ならびにこれらに関するサービスの提供
従業員数
1,180 名(2018 年 8 月現在)
Webサイト
https://www.cisco.com/c/ja_jp/index.html

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