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働き方改革記事「 オフィス環境 」

「働き方改革×サテライトオフィス」、その掛け算の可能性を知る

投稿日:2021-08-03

2020年は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の流行によって、私たちの働き方や生き方の転換が強く問われた年になりました。外出自粛が求められ、半ば強制的に在宅勤務を経験することになった、という方も多いのではないでしょうか?

そんな中、在宅でのリモートワークに難しさやストレスを感じるという声も数多く上げられており、企業にとっても大きな課題となっています。とはいえ、時節柄、オフィス出社を積極的に促すのにも躊躇してしまう…。

そこで、現在、にわかに注目を集めているのが、「在宅(自宅)」と「オフィス」のちょうど中間のようなワークプレイスである「サテライトオフィス」を上手に活用した働き方です。

サテライトオフィス勤務

今回は、「サテライトオフィス勤務」という働き方について、一緒に考えていきましょう。

いま、「サテライトオフィス」が注目されるのは、なぜ?

働き方の多様化へのニーズ

近年、少子高齢化に伴って、労働人口(生産年齢人口)の減少が深刻化していく中で、労働生産性向上の必要性が強く叫ばれるようになりました。そんな中、官民挙げて推進されているのが、効率的かつ多様な働き方の実現を目指す「働き方改革」です。

・女性の活躍推進
・仕事と育児の両立支援
・障がい者雇用の拡充
・長時間労働の是正

などなど、人口減少社会においても労働生産性を維持すべく、これまでにも様々な取り組みが行われてきました。ICT(情報通信技術)を活用することで、多様な人材が時間や場所にとらわれずに働くことができる、「テレワーク」という新しい働き方へのトライアルも盛んに重ねられてきました。

新型コロナウイルス感染症の流行

そのような中、2020年春、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)が世界規模で感染拡大しました。外出自粛が求められ、時差出勤やテレワーク(特に在宅勤務)が推奨されるなど、多くの企業やオフィスワーカーたちは、半ば強制的に働き方の見直しを余儀なくされました。

長期化するコロナ禍と、在宅勤務(やリモートワーク)への慣れ。

人の集中・密集をリスクとする風潮(三密回避の推奨)も相まって、「もはや、オフィス(特に都心のオフィス)って、必要ないのでは?」といった言説も出てきているほどです。

このような「都心のオフィス不要論」は極端な例だとしても、今回のコロナショックは、働き方改革の文脈で語られてきたワークプレイスについての議論を活発化させる契機となったのも事実。実際に、上のような「オフィス不要論」がささやかれる一方で、多くの企業から、次のような声も挙げられているのです。

「なんと言っても、オフィスには実際に”集う場所”としての大切な機能がある。帰属意識の醸成、コミュニケーションやコラボレーションの促進、等々。リアルな場の重要性は、近年、むしろ高まってきている」

「やはり、大切なのはバランスだ。今こそ、メインオフィスの活用とテレワーク推進のバランスを考えなければならない」

…などなど、今後のワークプレイス施策についての新たな課題感に関する議論は、現在、いよいよ活発化しています。

オフィスとテレワークを「ハイブリット」に活用
オフィスとテレワークを「ハイブリッド」に活用。

働く場所の選択肢の多さが、生産性向上につながる

「メインオフィスで働く」にせよ、「在宅でテレワークする」にせよ、私たちは今回のコロナ危機を経験したことで、 “オフィスの役割の再定義”や“メインオフィスとテレワークのバランスの最適化”といった課題をより強く認識することとなりました。

ワークプレイスとは、そこで働く人のマインドに影響を与え、働き方を規定し、結果として仕事のパフォーマンスをも左右するものです。

コロナショック以前から、ザイマックスは、フレキシブルな働き方とワークプレイス施策の重要性を提言していました。「多様な働く場所の選択肢を持つことの有効性」についても検証を行い、「オフィス内外を問わず、働く場所に多様な選択肢を持つワーカーは、満足度や生産性向上の効果を感じる確率が高くなる」という分析結果を得ました(※)。

オフィス勤務と在宅勤務の中間領域のような「サテライトオフィス勤務」。私たちザイマックスは、来るべきニューノーマル時代にワークプレイスの選択肢を増やしてくれるものとして、今、この働き方に注目しています。

※参考:ザイマックス総研「これからのワークプレイスを考える」

サテライトオフィス

「サテライトオフィス」というものを、まずは知ってみる

「サテライトオフィス」とは

サテライトオフィスとは、本社などのメインオフィスを中心として、「satellite(衛星)」のように周辺に設置される小規模なオフィスのこと。テレワーク(※)の一種で、従業員が遠隔勤務できるように、通信環境が整えられているのが一般的です。

※参考
テレワークとは、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用した、時間や場所にとらわれないフレキシブルな働き方のことです。「tele=離れたところ」「work=働く」をあわせた造語。自宅で業務を行う「在宅勤務」、移動中などにPCやスマホを使って業務を行う「モバイルワーク」、オフィス以外のワークスペース(レンタルオフィスなど)で勤務する「サテライトオフィス勤務」の3種類に大別されます。

※参考 「サテライトオフィスとシェアオフィスの違い」について、詳しくはこちらをご覧ください。

「サテライトオフィス」と「支店・支社」って、何が違うの?

端的に言うと、“利用目的”が違います。「支店・支社」は、あくまでも事業遂行の観点から設置されるもので、その業務全般を行うに足りる設備が整えられます。一方、「サテライトオフィス」は、従業員の利便性や働きやすさ(ワークライフバランス)の向上といった観点から設置されるものです。ですので、「サテライトオフィス」の設備は必要最低限のものに抑えられ、「支店・支社」の方が施設規模は大きくなる傾向があります。

※参考 『サテライトオフィス』について、もっとじっくり知りたいという方はこちらをご覧ください。
【記事挿入】

サテライトオフィスのメリット

サテライトオフィスのメリット

従業員側のメリット

1、時間の効率化
本社と自宅が遠くて通勤に1時間以上かかる場合などでも、自宅の近くにサテライトオフィスがあれば、通勤時間を大きく削減することができます。また、営業など外回りを伴う外勤スタッフでも、出先の近くにサテライトオフィスがあれば、「事務仕事のためにわざわざ遠方の所属オフィスまで帰る」という無駄を省くことができます。このように、移動時間を節約することで、1日の時間を効率的に活用できるようになります。

2、通勤ストレスからの解放
電車通勤(特に都市部における満員電車での移動)には、大きな体力的・精神的負担が伴います。車内という閉鎖的な空間の中、不特定多数の人と密着して、揺れに耐えなければならない。現在では、コロナのリスクも懸念されます。これは、非常に大きなストレスです。自宅近くのサテライトオフィスを利用することで、こういった満員電車を回避できるのであれば、通勤ストレスは大きく軽減され、社員のモチベーションも向上するものと考えられます。

3、生産性向上
サテライトオフィスを利用して、移動にかかる時間的・労力的なコストが軽減されることで、浮いた時間をその他の業務に充てることが可能になります。それによって生産時間が増え、生産性の向上にもつながるものと期待されます。

4、多様な働き方の実現
削減された通勤・移動時間がプライベートに充てられ、ワークライフバランスが改善。介護や育児といった事情で家庭を長く留守にできない人でも、フレキシブルに勤務できるようになる、など、多様な働き方の実現も後押ししていきます。

5、新しいコミュニティの創出
個室型ではなく、フリーアドレスのワークスペースが開放されている”シェア型”のサテライトオフィスでは、業種を問わず様々なビジネスパーソンと出会う機会が増えます。そのため、積極的に活用すれば、オープンイノベーションやコラボレーション、情報共有を加速させる場、ビジネスチャンスをつかむ場として機能させることも可能です。中には、ビジネスセミナーやイベントを開催している施設もあるので、利用してみるのも良いでしょう。

企業側のメリット

1、業務効率化
従業員の隙間時間を有効な生産時間に変換させられるのは、企業にとっても大きなメリットです。例えば、営業先からわざわざ遠方の本社や営業拠点に戻らずに、近くのサテライトオフィスを活用してもらうことで、”移動という非生産時間”を”デスクワークという生産時間”に変えさせることができます。

2、従業員マネジメント
在宅勤務と比べると、従業員へのマネジメントが行き届きやすい傾向にあります。在宅勤務では、どうしても上司・マネージャーの目が届きにくく、労務管理(労働時間の把握やサボり防止など)上の難しさやコミュニケーション不足など、様々な問題が生じることもしばしば。一方、サテライトオフィス勤務では、在宅勤務よりも生活と仕事のメリハリが出やすく(=ゆえに、労働時間も確定しやすく)、さらに、勤務時間内での集中力も保たれやすい、というメリットがあります。また、オンライン上でのやりとりだけでなく、オフラインでも複数の社員と顔を合わせる機会が増えるので、適切なコミュニケーション量も自然と確保することができます。

3、離職防止
育児・介護等、家庭のやむにやまれぬ事情によって従業員が離職するのを防止することができます。家庭では集中して仕事ができない、かと言って、遠方のオフィスに出社するのも難しい。そのような人に対して、自宅の近くで短時間でも仕事に集中できるサテライトオフィスを用意してあげるー。そうすることによって、優秀な人材の離職・流出を抑えられ、結果、新たな人材採用・育成にかかるコストの削減につなげることができます。

4、人材獲得
既存オフィス(本社や営業拠点など)の出勤可能エリア圏外にサテライトオフィスを設置することで、今までリーチできなかった優秀な人材を獲得できるようになります。例えば、東京にしかオフィスがなかった企業が、地方都市にサテライトオフィスを設けることで、新しく地方の優れた人材を採用できるようになる、など。人材獲得の拠点として、新しく支社・支店を増設するよりも低コストで済ませられる、というのも大きなメリットです。

5、BCP(事業継続計画)対策
地球温暖化等の影響で自然災害が相次ぐ近年、サテライトオフィスを利用してワークプレイスを分散させることは、有効なBCP(事業継続計画)対策になります。災害等によってメインオフィスが機能しなくなった時に、事業上のバックアップがあるとないとでは、安心感が違います。

6、ロイヤルティ向上
サテライトオフィスの導入・活用を通じて、「この会社は、従業員の多様な人生、働き方、価値観を、本気で肯定しようとしているのだな」と、社内外に示すことができます。結果、この企業で働く人、そのサービスを受ける人たちの「ロイヤルティ(愛着や信頼)」を向上させることができるようになります。

サテライトオフィスのデメリット

サテライトオフィスのデメリット(導入・活用における注意点)

1、コミュニケーション不足
遠隔で働くことになり、どうしても同僚・上司との”物理的な距離”が生じます。その結果、既存オフィスや拠点内での勤務と比べると、円滑なコミュニケーションが難しくなる傾向に。現段階では、まだまだオンライン会議のノウハウも確立されきってはおらず、対面でのコミュニケーションと比べ、意思疎通の精度や一体感の醸成といった観点から、問題点が指摘されることが多いのが現状です。

※ただし、”自社専用”のサテライトオフィスで、同僚・上司とも顔を合わせる機会が多く確保できるのならば、コミュニケーション不足の弊害はかなり抑えられるものと思われます。

2、セキュリティ問題
会社のオフィス外での勤務になるため、セキュリティ(情報漏えいのリスク)に関しては、細心の注意を払うべきです。働く人個人のセキュリティ意識の向上も求められますが、同時に、そのサテライトオフィスサービスの設備(個室の有無等)やセキュリティレベルについても、導入前に、しっかりとチェックしておく必要があるでしょう。

3、モチベーションが下がることによる生産性の低下
”物理的な距離”があるため、どうしても上司のマネジメントやチーム間でのフィードバックが受けにくくなる傾向にあり、その結果、モチベーションが下がって、生産性も低下する恐れがあると指摘されています。

4、コスト不足
サテライトオフィスの新規導入には、当然ながらコストがかかります。その導入ハードルは、新しくオフィス(事務所)を開設するよりも低い傾向にあるものの、資金面で不安を抱える事業者は、その費用捻出に難しさを覚えることもあるでしょう(※)。また、導入したとしても、うまく活用できなければ、コストセンター(コストとなる部門)になってしまいます。

※サテライトオフィスを新しく導入することで、確かにコスト増にはなります。しかし、既存オフィスの稼働効率を改めて、面積の適正化を図るなどすれば、そのコストを吸収することも十分に可能です。実際に、「サテライトオフィスを導入することで、既存オフィスの面積を適正規模に縮小することができた」という事例も増えてきています。

企業が導入したサテライトオフィスの事例

多くの従業員が働いている一定規模以上の企業の場合、サテライトオフィスを自社で開設するケースも増えてきています。以下は、その代表例です。

富士通株式会社

働き方改革に意欲的に取り組む総合エレクトロニクスメーカー・富士通株式会社は、「事務所(自席)」「自宅」に次ぐ第3のワークプレイスとして「サテライトオフィス」を定義。2017年4月には、テレワーク勤務制度を導入しました。特徴的なのは、普通、社外に設置するものだと思われているサテライトオフィスを、社内外の両方に設置しているという点です。

社内に設置されたサテライトオフィスは「F3rd(エフサード)」と呼ばれ、「社内の拠点間での出張が多く、その行き来に多くの時間的・労力的なコストが費やされていた」という問題を解決するものとして設置されました。出張先での打ち合わせが終わった後、わざわざ所属オフィスまで帰ることなく、そのまま、その出張先にある「F3rd」で作業することができます。

さらに、社外出張でも同様のニーズがあり、それに応えるかたちで用意されたのが、社外サテライトオフィス 「F3rd+(エフサードプラス)」です。これは、各所で契約された「ZXY(ジザイ)」のような法人向けのサテライトオフィスサービスを総称したもので、それらを活用して、従業員の多様で柔軟な働き方をサポートしています。

※詳しくは、「富士通の働き方改革事例(前編・後編)」ご覧ください。

日立グループ

日立グループでは、2016年から働き方改革推進の全社運動「日立ワーク・ライフ・イノベーション」が開始され、様々な取り組みがなされてきました。サテライトオフィスに関しても、「社内・社外/都心型・郊外型」と明確な目的意識を持って整備・設置が進められているのが、非常に印象的です。

首都圏の複数拠点に独自のサテライトオフィス「Biz Terrace(ビステラス)」を開設したのも2016年。そして、2017年には、グループ全体の働き方改革を牽引するものとして、独自の社外サテライトオフィス「@Terrace(アットテラス)」を、東京・八重洲に設置しています。

その後、2018年からは、法人向けのサテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ)」を活用し、グループ外のリソースも上手に活かしながら、利用可能なサテライトオフィスを増強しています。

アフラック生命保険株式会社

アフラック生命保険では、働き方改革の一環として、テレワークの浸透を全社規模で推進しています(2017年に本格化)。

その中で、自宅やカフェの他に、集中してテレワークできる場所として、サテライトオフィスを自社内に設置。既存事業所の区画を区切って、サテライトオフィス用のスペースを確保しています。

社員が多く居住するエリアを厳選して、全国9カ所で展開(新宿、丸の内、調布、町田、八王子、さいたま、横浜、千葉、大阪)。営業職に限らず、多くの職種・役職の方から利用されているようです。

※詳しくは、「アフラック生命保険の働き方改革事例(前編・後編)」ご覧ください。

ZXY[ジザイ]

サテライトオフィスの戦略的導入、それを叶えるのが「ZXY」のミッション

以上、サテライトオフィスについて、様々にご紹介してきましたが、大切なポイントは、なんと言っても「戦略的導入」です。自社で設置するのか、あるいは外部サービスを利用するのか。それに伴って、社内の制度と環境整備はどれだけ必要になってくるのか。

そのように、自社の課題を明確に捉えながら、方向転換の余地も残しつつ柔軟に導入を検討していくことが大切です。

自社開設が難しければ、「ZXY」のような、法人向けのサテライトオフィスサービスを検討してみるのも一手でしょう。レンタルできるサテライトオフィスサービスには、様々な種類のものがありますので、自社のニーズを満たす最適解を、冷静に選び取っていきましょう。

ちなみに、自社開設が可能な企業であっても、サテライトオフィスのサービス事業者にサポートを受けるのには、大きなメリットがあります。サテライトオフィスを開設する際には緻密な需要状況の把握が必要で、それには高度に専門的なノウハウが求められるからです。

私たちザイマックスは、サテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ))」のレンタル提供だけでなく、自社開設のニーズにも応えてまいります。開設&撤退を柔軟に受け付けられるオフィス事業者と連携しながら、フットワーク軽く自社専用のサテライトオフィスを立ち上げる。これも、一つの良い選択肢かと思います。

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今まで見てきたように、サテライトオフィスサービスへの需要・要望には様々なものがありますが、「ザイマックス」では、現代的なニーズを踏まえ、”郊外型サテライトオフィス”という時代の求めにも果敢に応えていきたいと思っています。

そのソリューションのかたちとして、私たちザイマックスが示すサービスが、サテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ)」です。どうか、お気軽に、ご相談ください。

>>「サテライトオフィスサービス・ZXY」について、詳しくはこちら
>>お問い合わせ

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