CLOSE

株式会社ウィルゲートの働き方改革事例

ハイブリッド勤務を決断、オフィス面積の最適化で年間6,000万円を削減

投稿日:2021-11-02

株式会社ウィルゲートが取り組んだ事

  • 有志社員による「willプロ」で制度改革を実現
  • オフィスを縮小移転、年間6,000万円を削減
  • 曜日指定出社でコミュニケーションを担保
  • 会社規模

    117人

  • 業種

    その他

  • 対象職種

    全社員

社員たちの発案で進んだ、柔軟な働き方

御社で働き方改革が始まったきっかけから教えていただけますか。

社内で働き方改革の機運が高まったのは2015~2016年頃でした。
2014年頃くらいまでは、いまよりも社員の平均年齢もだいぶ若く、営業人員の比率も高い状況でした。この頃から徐々に、結婚・出産を迎える社員の比率も増えてきて、画一的な働き方を提示するだけでは、組織を成長させられなくなってきたのがきっかけです。

社員のライフステージの変化に会社も対応していったわけですね。

はい。それと同時に、事業も多角化が進んできたので、これまで比率が少なかった、プロダクト開発やエンジニア部門の人材も含めた多様性を意識する必要が出てきました。そういった社員の中には、既存の文化・制度には馴染めていなかった社員もいたように思います。ミッションに共感できているのであれば、働き方や社風については、いろいろな個性に対して応えられる会社をつくっていかないといけないな、と思うようになったんです。
人事方針として「多様性」を掲げて、制度の設計・改廃を進めだしたのもこのタイミングです。

具体的に多様性というと?

つまり、異なる価値観や資質をもつ社員同士がお互いに理解して、多様な働き方やキャリア選択、生き方を、相互尊重できる会社でありたいね、と。

働き方改革というとトップダウンで始まる会社も多いですが、御社の場合はどのようにスタートしましたか?

当社の場合は、人事部門が他社事例を研究したり、どんな組織になりたいのか検討を重ねたりしながら、ボトムアップで進めてきた感じが強いかもしれないです。そこに経営層のポリシーや想いを乗っけていく感じです。
それと共に大きな推進力になったのが、「will(ウィル)プロ」という社内プロジェクトの存在でした。

willプロとは?

社内の有志プロジェクトで、どんな人事制度があったら会社がもっと良くなるか、ディスカッションを通じて推進する取り組みです。

実際に採用された人事制度はありますか?

いくつもありますよ。例えば、時間単位で有給休暇が取れる制度(「ちょい休」)や出社時間を分単位で選べる制度(「ハッピーアワー」)などなど。
人事・福利厚生制度
人事・福利厚生制度の一例。2015~2016年にかけて一気に制度化を進め、より柔軟性を持たせた内容へとブラッシュアップしつづけている。

「ハッピーアワー」という制度では、出社時間を自由に決められるんですね。

はい。7:30~10:00の間なら、出社時間を分単位で決められます。制度ができた当初は、元々8:00出社だった就業規則を、出社を30分刻みで9:30まで選べるという内容でしたが、だんだんブラッシュアップされて今の制度に落ち着きました。
ちなみに、何時に出社しても8時間は働く、という点がフレックスとは少し違うので「出社時間が変えられる」という言い方をしています。

社員のアイデアが制度になっているのはすごいですね!

ありがとうございます。社員発信で課題や要望が出てきて、それを形にできるのが当社らしいし、これからもそうでありたいですね。

そういう発案に対して経営層からの反対意見はありませんでしたか?

当然議論になることはありますが、経営陣が組織投資を重要視していて、人事や社員が発案したことであれば、基本的に支援・協力姿勢でいてくれることが当社の特徴だと思っています。そもそも、時代の流れや組織の変遷と共に、人事制度の理想状態は変わっていくものだと思います。だったら、従来のやり方に固執するより、いかに早く目的地にたどり着くかを考えた方が良いと思いますし、経営陣も比較的同じような考え方をしてくれます。

2015年ころからというと、世間と比べても動きが早いですよね。

それは社長の信念として「経営理念にある”『will』の実現”というのは、クライアントやユーザーに対してのみ向けられているものではなくて、社員自身の『will』も含まれている。そのために、社員のキャリアや働き方について、会社としてしっかり向き合う。」という考え方が、常に根底にあったからだと思います。
TACT SEO
事業方針に「Digital & Work Optimization(デジタルと働き方の最適化)」を掲げる同社。デジタル支援やフリーランス支援に特化したサービスに強みがある。(左)記事作成代行サービス「サグーワークス」(右)戦略的なSEO実施のための分析ツール「TACT SEO

育児介護などに限定して在宅勤務をスタート

次に、働く場所についてお聞きしたいと思います。在宅勤務制度が始まったのはいつ頃でしょうか?

始まったのは2016~2017年ですが、その頃は、家族の都合で遠方に引っ越さないといけないとか、出産、介護などの場合に限って許可していました。

他の社員も「在宅勤務したい」とは言わなかった?

そういう意見もありましたが、生産性が下がる懸念や、業務上の問題など失われるものも多くあるという判断になり、全社員には適用できなかったんです。

在宅勤務を導入すると自宅のネット環境や紙資料のデジタル化問題が起こりがちですが、いかがでしたか?

あまりなかったですね。最初は地方移住者や出産など一部の社員だけに限定していたので、個別にサポートできる余裕がありましたから。
でも、コロナの時は一斉に在宅になってインフラ部門や管理部門のメンバーの努力にかなり救われましたね。

コロナ禍で急遽在宅、人事総務と管理層に負荷が集中

全社員が在宅勤務OKになったのは、やはりコロナ以降?

そうですね。2020年1月末、日本で感染流行する少し前から、感染した際のリスクの高い社員を優先して在宅勤務できるよう制限を徐々に緩和していきました。

優先されない社員には不満感のようなものはなかったでしょうか?

それはあっただろうとは思います。

人事総務は、そういう時に板挟みになってしまうのがつらいですね。

あの時ほど、人事の責任者として「センターピンを見極めること」の難しさを痛感したときはないかもしれません。社員の気持ちと、会社としての生産性の維持のバランスを見極めて、胆力を持ってピンを落とす作業をやり続ける必要がありました。
北林賢太様
お話を伺った 人事部門執行役員 北林賢太 様

でも、そのスケジュール感だと人事総務はかなり苦労したのでは?

今思えば、慌ただしくフルリモートにするくらいなら、もっと早く切り替えるべきでした。議論に2~3ヶ月費やしていましたが、結局は緊急事態宣言の発令と共に、フルリモートにすることになり、情シスや総務には、かなり負荷を掛けてしまいました。PC周りのヘルプデスクからセキュリティ関係のルール策定、郵送対応だとか、本当に彼らには感謝しています。

急に在宅になって、マネジメントの問題は出ませんでしたか?

メンバー側は、移行に伴う不満はあまり感じていないように見えました。「生産性下がってない?」「やりづらい事ない?」と聞いても、ほぼ全員「生産性はむしろ上がりました!」と答えていた気がします。
でも、管理者側はメンバーの状態が見えないし、ちょっとした共有がしづらくなって以前より負荷が掛かっている部分もある。だから、管理層へのフォローやインセンティブを考えないといけないと思っています。

新入社員の教育に悩んでいる企業も多いようです。

当社でもオンボーディング系の研修投資を強めていますが、追い付いてないのが正直なところ。正直ここ1年半以内に入社した社員の会社との接点をしっかり作れていなくて申し訳ないと感じています。
エンゲージメントやパフォーマンスに大きく関わるし、離職にも繋がりかねませんから、課題に向き合って対処しつづけないといけません。

新入社員も在宅勤務ですか?

どちらかといえば出社推奨ですが、上長に判断を委ねています。
ただ、新人に限らず、感染リスクを避けるために在宅勤務を選んだ社員に対して、出社を無理強いしないという全社ルールは決めています。

週2出社+週3在宅 出社は部署ごとに曜日指定

今はどれくらいの頻度で在宅勤務していますか?

原則は週2日出社、週3日在宅勤務という就業規則にしています。
週2日は出社して、顔をつきあわせて仕事しようよ、と。

テレワーク手当も始めたそうですね。

はい。在宅勤務が増えれば水道光熱費も上がるし、家のネット環境を整えるにもお金がかかる。会社としてテレワーク移行を進めていくのであれば、それに必要な投資は行い、姿勢としても示そうと、2021年8月から全社員に毎月4,000円支給することに決めました。

それに合わせてオフィスも縮小移転されたとか。やはりコロナがきっかけで?

ええ、在宅勤務が増えてオフィスがガラガラになりましたから。緊急事態宣言時は、200名ほど入れるオフィスに数名、という状態でした。

では、コロナ終息後も出社と在宅を併用していくと決めたんですね。

むしろその方が採用面で強みになるし、多様性のある働き方の実現にも近づきますから。
そもそもコロナが終息したからといって、昔のように全社員が毎日フル出社するとは考えられません。

縮小移転でコストもかなり下がったのでは?

月間約500万円、固定費を削減できました。コストカットした分の一部は、コミュニケーション強化への投資に充てて、連帯意識を維持・強化していけるとよいですね。

どれくらい縮小するのがベストか、何を指標に決めたのでしょうか。

エイヤ!で決めたところもありますが、週2日出社をベースにした時に必要な座席数と、将来的な増員を見越したうえで、席数が足りなくならないような坪数を計算しました。
万が一、席が足りなくなってもサーバルームなどのスペースを執務室に変えられる工夫もしています。

ちなみに週2出社、週3在宅という比率はどう決めたのでしょう?

正直、一番は肌感覚。働き方の柔軟性を高める意味と、チャレンジする意味も込めて週2日に決めました。
ただ、これが正しいとは決して思っていなくて、一旦やってみてPDCAを回していけばいいと思っています。

社員の反応はいかがでしょうか。

「今のペースがちょうど良い」という声が多いですが、中には「出社曜日が月ごとに代わると、保育園などの送迎スケジュールが組みにくい」という意見も出ています。

週2日であれば、いつ出社しても良い?

いえ、自部署だけでなく他部署とも顔を合わせられるように、2つの部署をセットにして出社曜日をコントロールしています。例えば、「今月は、人事部と開発部が月・木曜に出社」、「来月は、人事部と営業部が火・金曜に出社」というように。
自分の部署だけではなくて他部署との横のつながりも含めて連帯意識を醸成したいとなると、週1日出社だと難しいでしょうから、この比率に落ち着きました。

他部署に迷惑が掛からないように、部内でシフトを組んで全部署が3~4割の人数だけ出社する方法が、世間的には多いようですが。

うーん、賛否両論ありますよね。当社でも今後の論点だと思います。個人的には「一部の職種は、常に出社の方がよいのでは」と思ってしまう部分もまだありますが、これもきっと古い考えなんでしょうね。

縮小移転で月間500万円を削減

部署ごとに出社曜日を振り分けているということですが、座席も指定制ですか?

いえ、基本自由です。指定席があるのは役員と、業務特性上、経営財務系の部署くらいです。

全部で何席ありますか?

社員約120人に対して66席用意しました。今後の増員を見越して少し多めに設定しています。
ウィルゲートオフィス
(左)フリーアドレスの執務スペース。全席にデスクトップPCを設置。自分のノートPCと繋ぎ、大きな画面で効率良く作業できる。(中央、右)WEB会議や電話用の防音ブース。

コロナが終息しても出社と在宅を併用すると決めたのは大きな決断ですよね。

どちらに向かっていきたいですか?という話で。だったらコロナを一種の追い風と捉えて、多様性のある働き方にシフトする方がよいと思ったんです。
以前から比較すると、オフィス移転で固定費が年間6,000万円減らせます。
会えなくなることで何か失われるものがあるとするなら、それをどうやって担保するか考えればいい。そちらにフォーカスした方が美しいと思うし、社員定着率も上がると思います。

経営層の反応はどうでした?

色々な意見があったので議論は重ねましたが、方針としては大きな反対なく進んだと思います。

コミュニケーションはバーチャルな場へ移行

せっかくフリーアドレスにしたのに席が固定化してしまい、期待したほどランダムな交流が起こらないと悩む企業も多いようです。

日々の席替えでコミュニケーションを活性化しよう、というのがそもそも難しいですよね。当社の場合は、面積が限られているからフリーアドレスにしただけで、全社横断的なコミュニケーションは、シャッフルランチやバーチャルオフィスでの雑談タイム等、違う方法で取ればよいと思っています。ただ、そういう場には“来たい人”しか来ないんですよね。そうでない人にも来てもらえる手立てを打たないといけないかなとは思っています。

オフィスの中に電話ブースがあるんですね。

前のオフィスでは、広い会議室を1~2人だけの面接やWEB会議で使ってしまうことが多くて、会議室が足りなくなっていたんです。

オフィスの“あるある”ですが、もったいない…!

そうですよね。ということでこのように変えました。

縮小してもコミュニケーションコーナーは残したんですね。

雑談を通して生まれるものもあるだろうから残しましたが、今後の方向性としては、そういう場はバーチャル空間に造っていくつもり。既にバーチャル雑談ルームの運用を始めている部署もあります。
ウィルゲートオフィス②
新しいオフィスでは、全体的にシンプルさと機能性を重視した。(左)リフレッシュエリア(右)会議室

フルリモート導入に意欲、一方でエンゲージメント向上も課題

最後に、今後取り組みたいことや課題など教えてください。

いずれはフルリモートやフルフレックスを導入したいと考えています。
そうすることで地方や海外にいる“隠れた才能”を採用できるかもしれないし、フルリモートができれば退職しなくて済んだケースも過去にはあったので。もっと働き方の柔軟性を上げていきたいです。
一方で社内サーベイでは組織の一体感、理念伝達、浸透のスコアが軒並み下がってしまったので、この辺りも今後の課題です。

個が分散していくと、どう繋ぎとめるか悩ましいですね。

そうですね。リアルに集まれなくなった分、もっと経営層が社員に対してエモーショナルに経営理念や企業文化を伝える場を設ける工夫が必要だと思っています。それに、全社会議や表彰式などは単に場所をWEBに移しただけで、進行や内容は、もっともっとWEBならではのものにしていけると思っています。そう考えると、エンゲージメントを高めるためにできる事はまだまだあると思います。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。

今回協力して下さった企業様

株式会社ウィルゲート

設立
2006
本社所在地
東京都港区南青山3-8-38 南青山東急ビル3F 

SEARCH

SEMINAR

More