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働き方改革記事「 オフィス環境 」「 ICT投資・活用 」

足でかせぐはもう古い?!テレワーク営業のメリットとデメリット【事例3選】

投稿日:2020-09-02

現在、新型コロナウイルス感染防止対策として多くの企業がテレワークを実施しています。緊急事態宣言解除に伴い外出自粛が緩和されてもなお、オフィスの密集を避けるためにテレワークを続ける企業は少なくありません。
そのため、あらゆる職種で働き方の変革を迫られています。その影響は営業職も例外ではなく、従来の対面式からオンラインでのやり取りが急速に増えています。
この記事では、テレワーク営業(オンライン商談)のメリットと、見落としがちなデメリット、そして、オンライン営業を有効活用して<成果を上げている企業3社のインタビュー
をお届けします。

Withコロナの時代、今までの営業スタイルはできなくなる?

なぜ従来の営業手法が立ちいかなくなるのでしょうか。

◆三密を避ける新しい生活様式が定着し、リード獲得に変化が生まれている
政府が発表した新しい生活様式では、人との間隔を最低1m空けることや、対面では換気やマスク着用が推奨されています。そのため、不特定多数が屋内に密集する大規模な展示会やセミナーは開催しづらくなったり、不要な接触を避けるために飛び込み営業が敬遠されたりするようになるでしょう。
対面ではないダイレクトメール(DM)営業やテレアポであっても、テレワークで出社日が少なくなるとキーパーソンに固定電話が繋がらなかったり、DMがすぐに見てもらえなかったり、リード獲得が難しくなってきます。つまり、今までと同じ戦略では新規顧客の開拓や見込み客の獲得がうまく行かず、新しい施策が必要とされているのです。

◆オンライン商談への抵抗感が減りつつある
「オンライン会議は失礼にあたるのでは?」
そんな心配も最近は徐々に減ってきているようです。ある調査によれば、「どの場面でもWeb会議で問題ない」と答えた人が約6割にあたり、この半年間の間に約10ポイント増えています。
WEB会議に関するアンケート
出典:IT media調べ

半強制的に始まった一斉在宅勤務中に初めてWeb会議を経験して便利さに気づいた方も多いのではないでしょうか。対面式の商談では30分~60分単位で拘束される上に、全員の日程調整をして会議室まで確保しなければなりません。また、近年ではICT技術の発達によりWeb会議ツールやネットワーク接続の性能が向上し、音声や画質が格段にクリアになりました。そのため、ストレスなく会話できるようになったのもWeb会議やオンライン商談が普及してきた一因と考えられます。

オンライン商談のメリットとは?

オンライン商談ツールを導入することで、具体的にどのようなメリットが生まれるのでしょうか?

◆移動時間が減り、扱える商談数が増える
私たちは、いったい一日の労働時間のうちどれくらいの時間を移動にあてているでしょう?
1つのアポイントにつき移動時間を往復60分と仮定し、1日3件の外回りがあるとすると1日3時間の移動時間が発生していることになります。月の稼働日を20日とすると、毎月60時間もの貴重な時間を移動時間に割いている計算になります。
オンライン商談では客先への移動時間が不要になるので、一人当たりの商談数を増やすことができます。
その時間を商談の準備や商談後のフォローに充てられれば、おのずと成約率は上がっていくはずです。また、時間の余裕が生まれれば1人の営業マンが扱える商談数も増えるでしょう。そうなれば、営業リソースの不足や長時間労働の問題の解決にも繋がるというわけです。
web会議の様子

◆場所を問わないので、営業エリアを拡大できる
訪問ありきの営業の場合、営業エリアは本社や支店の周辺だけに限定されていたはずです。しかし、オンラインであれば今まで接することのできなかった遠方のお客様にアプローチできるようになる為、日本全国が営業圏内に入ってくるのです。例えば、大都市圏で開催されることが多いセミナーには地方在住者の呼び込みが難しかったはずですが、ウェビナー(ウェブ上のセミナー)であればどこからでも気軽に参加してもらえます。

◆どこにいても参加できるので、同席が難しかった技術者や上司も参加しやすくなる
商談の場では判断ができなかったり、専門知識がなくて答えられなかったりしてやむを得ず「持ち帰って上司に掛け合ってみます」「いったん社内の技術部に確認してみます」などと返答し、商談がスピードダウンしてしまった…そんな経験はありませんか?対面式の商談では日程調整が難しいため、忙しい上司や専門職の社員が同行できないケースが多々あります。
しかし、オンラインならば誰がどこにいても参加できる可能性が格段に高くなるので、その場で上司に判断を求めたり、専門的な質問にすぐチャットで回答してもらったりできるようになります。そのため、お客様の熱量が高いうちにクロージングまで持ち込める可能性が高まるのです。

◆新人が即戦力になる
従来の営業にありがちな属人化した営業スタイルでは、ノウハウやプロセスが共有されないため若手が育ちにくい実態がありました。しかし、オンライン商談ツールの録画機能を使えば優秀な営業マンのトークの共有や振り返りが簡単にできます。つまり、実践経験の少ない新入社員でもスキルアップしやすくなるのです。
最近では、トークスクリプトの表示や資料を見せたタイミングや回数が自動的に記録されるセールスログ、議事録の自動作成、商談後のアンケートなど、若手の育成や部下のマネジメントにも便利な機能を搭載した商品が次々と登場しています。これらをSFAやCRM、MAなどのツール組み合わせることで、セールス・イネーブルメントの実現も期待できるでしょう。

◆場所や時間の制約があって採用できなかった人材も採用できるようになる
家庭の事情や勤務地など勤怠条件が合わないために、高いスキルを持ちながらも働けない人材であっても、出社がマストでなくなれば、採用のハードルは一気に下がります。また、柔軟に働ける職場環境は社員にとって魅力的であり、離職率の改善やワークライフバランスの実現にも繋がります。

気を付けて!オンライン商談のデメリットとは?

便利そうにみえる営業職のテレワークですが、課題もあります。

◆お客様の反応が分かりにくく、コミュニケーションが取りづらい
対面式と違ってオンライン上でのやり取りでは、非言語コミュニケーションで与えられる情報量がどうしても限られてしまいます。同じ空間にいれば、相手の顔色や声、空気感から察してコミュニケーションを取りながら商談を進めることができますが、慣れないモニター越しでは難しいもの。
お互いの距離が何となく縮まらないまま、一方的なセールストークに終始してしまう…、なんて悲劇は避けたいですよね。
対面式とは違うオンライン商談独自のコツを習得するとともに、商品の特性やお客様の性格、商談の確度など目的とシーンに応じて、対面とオンラインを使い分けるのがベターと言えます。
対面とオンラインの使い分け

◆アポイントのドタキャン、リスケが増える
営業マンにわざわざ来社してもらったり、会議室を確保したりする手間がなくなって、心理的負担が軽くなる代わりに、気軽に面談をキャンセルされたりリスケされやすくなる傾向があるようです。そのため、前日に挨拶がわりのリマインドメールを送るなどちょっとした心がけが必要。
問い合わせがきたら間をあけずに「このあと30分だけお時間よろしいですか?」とすぐにオンラインで打ち合わせを提案するのも手です。

◆セキュリティ対策がより必要になる
緊急事態宣言によりセキュリティ対策が不十分なままテレワークが始まってしまった企業も少なくありません。不正アクセスや情報漏洩、ネットワークへの侵入など、コロナ禍に乗じたサーバー攻撃も報告されています。SkypeやChatwork、zoomなど無料プランが充実しているオンラインミーティングツールですが、情報セキュリティ体制をよく加味して選定すべきでしょう。
また、カフェや図書館など公共の場所でテレワークする場合、覗き見や盗難などに対する物理的な対策が必要になります。

高セキュリティなサテライトオフィスZXY(ジザイ)のご紹介
ZXYホームページ
社外で安全にオンライン商談やビデオ会議できる場所は意外と限られるものです。
自宅なら安心かと思いきや、家族がいて集中できなかったり、家庭用ルーターではセキュリティが脆弱だったり接続が不安定だったり、何かと不備があるのは否めません。
ザイマックスが展開するZXY(ジザイ)は、安全性の高い法人専用サテライトオフィスです。デュアルバンド対応による高速かつ安定的な無線LAN接続を導入し、汎用性の高い2.4GHzに加えて、電波干渉に強く安定性の高い5GHzの周波数帯域に対応しています。また、セキュリティ面では総務省の推奨環境であるWPA2-PSK(AES)の暗号化方式を採用。さらに、プライバシーセパレーター機能の適用により、ネットワークを通じてのPCの覗き見を防止します。遮音性に配慮した完全個室を多数用意していますので、電話やWeb会議の声が外に漏れることはありません。
各個室には鍵が付いており守秘性の高い資料やノートパソコンも安心して広げることができます。また、離席中も盗難の心配がないので安心して業務に集中できます。
→詳しくはこちら

ICT技術を有効活用する企業事例3選

ICTツールを営業に活用して、業務効率化や営業成績アップを実現している企業3社の事例をご紹介します。
・事例①オンライン商談導入で商談数、受注率が倍増~イグナイトアイ株式会社
・事例②保険業界にもAIが進出、営業マンの採用コスト改善~フィナンシャル・エージェンシー
・事例③Web会議、使いこなす社内文化醸成に着目~シスコシステムズ

インサイドセールスで商談数・受注数が大幅増~株式会社イグナイトアイ~

採用業務を効率化する管理システム「SONAR」を主力事業とする採用マーケティング会社イグナイトアイでは、zoomやSalesforce(セールスフォース)、Slack、ZapierなどICTツールを積極的に導入して業務を効率化しています。
同社では年々、事業規模が拡大する一方で営業部門の人手不足に悩んでいました。リソースが足りないために新規顧客の対応にロスが発生してしまうことも…。

そこで、オンライン商談ツールのbellface(ベルフェイス)を導入。インサイドセールス部隊がアポ取りをして、フィールドセールス部隊がクロージングをする、というように業務を切り分けました。その結果、フィールドセールス4人で年に約1,000件もの商談を扱えるようになり、商談数は前年同期比1.5倍、受注数も倍増。従来の営業では、見込みからクロージングに至るまでに日程調整が上手く行かなかったりしてリードタイムが長期化していましたが、オンライン商談ではスピーディな対応ができるようになったといいます。

WEB会議専用ブース
Web会議専用ブース。アフターコロナでは、オフィスのあり方も変わってくるだろう。

そして、オンライン商談の増加に伴って新設したのがWeb会議専用ブース。執務エリアでWeb会議をすると周りの声を拾ってしまう為、円滑な会話ができないだけでなく先方に良くない印象を抱かせてしまうことさえあります。そこで、移転のタイミングで専用ブースを新しく用意し、安心して通話や会議ができて業務が捗るようになりました。

コンサルAIシステムを導入~株式会社フィナンシャル・エージェンシー~

BtoBだけでなくBtoCの分野でも、ICTツールを営業に活用する企業が出てきています。
フィナンシャル・エージェンシーではもともと保険営業のコールセンター事業を主軸としていましたが、年々、家庭の固定電話契約世帯が激減する中、ICT技術を取り入れた保険営業に移行。今や保険代理店業界のデジタル先駆者となっています。
保険の営業というと商品が高額な上に豊富な知識が必要とされるため、営業マン個人の経験や知識、そして人柄や話術など言語化できない属人的なスキルに頼りがちでした。

新入社員への研修
新入社員への研修の様子。AIの導入によってチーム営業の仕組みが構築できた。

そこで同社では、保険のコンサルティング営業にAIシステムを導入。そのおかげで経験の少ない営業マンでも一定レベルの営業ができるようになったのです。結果的に採用コストの高い中途や新卒に手を出さずとも、他社と競合になりにくい高卒やシニアなどを積極的に採用できるようになりました。以前と比べると、採用コストは実に3分の1から4分の1まで削減できたそうです。

Web会議、使いこなす社内文化醸成に着目~シスコシステムズ合同会社~

社内WEB会議の様子
社内のあちこちにモニターが設置されていて、その場にいない人ともスムーズにWeb会議ができる。

アメリカのシリコンバレーに本社を置く外資系IT企業シスコシステムズが、在宅勤務制度を導入したのは約20年前。当時の日本では珍しかったテレワークですが、事業継続性を重視してオフィスに出社しなくても働ける環境を整備しつづけてきました。日常的に海外とのやりとりも多いため、Web会議はもはや仕事に不可欠なツールになっています。そのため、本社オフィスの中にAPR(Audio Privacy Room/オーディオプライバシールーム)と名付けた予約不要の2~4人用の会議室を新設し、急なミーティングでもすぐにリモートで呼び出して話せる環境を整備しました。

近年では海外のみならず日本国内にいるお客様との会議もオンラインが増えているそうです。対面だと場所や時間の制約が多く、お客様にとって失礼に当たるという見方さえあるとか。
また同社では、働き方改革の成功には、ICTツールや制度を簡単に使える文化を組織に根付かせるのが不可欠だと考えています。そのためICTツールの社員向け使い方講習会を定期的に開いたり、アンバサダーと呼ばれる有志社員が啓蒙活動を行ったりしています。