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働き方改革記事「 オフィス環境 」「 ICT投資・活用 」

今、求められるオフィス戦略セミナー
~with/afterコロナのオフィスは何が変わる?~

投稿日:2020-09-17

Withコロナで強制テレワークを実施し、緊急ながらも「テレワークやってみたら意外とできた」「今後も続けていきたい」というお声を聞きます。一方で、今後のオフィスのあり方や働き方は今までと同じでいいのかと課題を抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで賃貸オフィスの仲介事業を行うザイマックスインフォニスタでは、オフィスデザインのプロである株式会社ヴィス様、総務のプロである株式会社Hite & Co.様にご協力いただきwith/afterコロナでのオフィス利用や働き方の変化についてのオンラインセミナーを2020年8月5日に開催致しました。今回はその様子をお届けします。

最新首都圏オフィス市況

スピーカー紹介

株式会社ザイマックスインフォ二スタ
マネジャー
瀬間彩子

2005年ザイマックスグループ入社 グループ管理物件の直営業に従事。2012年~賃貸仲介営業に携わり、大小様々なケースのワークプレイス分析と提案を経験。いつでも気軽に相談できる相方を信条にしています。



私の方からは、現在のオフィス市況について賃貸オフィス仲介の立場からお話ししたいと思います。
そもそも賃貸オフィス市況は、社会情勢や新築供給量、経済動向などの影響を受け、約6~8年周期で大きな変動を繰り返すといわれています。

そこでまず、過去の経済動向とオフィス市況の関連について振り返ります(下図左)。大きなインパクトとして2008年のリーマンショック。日本も例にもれず景気が悪化し、それに伴うコスト見直し策で拠点閉鎖やオフィス縮小の動きが広まりました。そして空室率が上昇すると同時に賃料の下落傾向が2013年頃まで続きました。
2014年以降はアベノミクスや日銀マイナス金利導入などを受け企業の拡大基調が続き、賃貸オフィスの方も拡張移転やハイグレードビルへの移転が活発化し、2020年にまで至っていました。しかし、2020年3~4月には需要がストップし、特に6月以降は解約が急増しています。ただ、賃料への影響はというと、一部に下落傾向があるものの全体観が広がる状況ではないと見ています。

今年の1~6月にかけて空室面積の推移を見てみましょう(下図右)。都心5区の総空室面積は約50,000坪前後を維持していましたが、2020年3月頃から増えはじめ6月時点で81,000坪が空室になっています。一方で周辺18区は急激な増減がなくコロナ以降も安定しています。

オフィス市況変動について

賃貸オフィスの営業をする中で、最近増えている代表的な事例を2つご紹介します。
1つめが、現在250坪100名で利用していて、2月末から全員テレワークを実施、今後も継続予定の企業様。本社オフィスを最低限の面積に減らして、社員は在宅勤務か外部のサテライトオフィスの活用を検討されています(下図左)。
2つめが、現在200坪50名で利用していて、かなり余裕があるものの業務の都合で減床はできない企業様。しかし、大会議室があまり使われなくなると予想してweb会議用の個室に改装する予定だそうです。更に、都心ロックダウンを想定して郊外にサテライトオフィスの新設を検討されています。(下図右)

新たなオフィスの検討

このようにテレワーク継続を前提としたオフィス戦略を立てる企業は多いものの、テレワーク特有の課題は残ったままです。
「在宅勤務ではネットワーク環境やコミュニケーションの問題が多く発生し、業務に最適とは必ずしも思えない。かといって、都心一極集中の働き方に戻るのも疑問がある」という方が大多数を占めているのです。その証拠にアンケートでも、職住近接の要望がトップに来ています(下図左)。実際に、弊社のサテライトオフィスZXYでは都心のターミナル駅よりも郊外エリアの拠点の方が高稼働を続けており、自宅近くで働くことの需要が高まっていることを我々も実感しています。

以上のことから、今後は業務を棚卸しした上で本社とテレワークでやるべき業務を切り分け、オフィスワークとテレワークの「いいとこどり」を実現させるのが新しいスタンダードになっていくのではないかと思います。(下図右)

変化に対応するオフィスの模索

株式会社ヴィス 「with/afterコロナのワークスタイルレポート」

スピーカー紹介

株式会社ヴィス
アカウント事業部部長 アカウントエグゼクティブ
岡村雅和

2000年名古屋商科大学 卒業。
2006年ヴィスに入社
2008年名古屋オフィス立ち上げ責任者を経て、
2015年東京オフィス第2事業部 部長に着任
2020年アカウント事業部 部長に着任
「お客様の幸せを第一に考えプロジェクトを進行する」をモットーに、上場企業を多く手がけビル側との交渉力にも特化したセールス。




当社ではオフィス移転や空間デザインをはじめ、WEBやグラフィックなどビジネスにまつわるデザイン全てをワンストップでサービスを提供しています。会社設立23年目で実績数は6,000件ほど。最近では賃貸オフィスの退去コンサルティングの依頼も大変増えています。
本日はオフィスデザインの立場から、感染拡大防止対策や新たな働き方にマッチしたワークスペースなどハード面に加えて、何のためにオフィスに集まり何をするのかなどソフト面についてもお話ししたいと思います。

with/afterコロナで「はたらく」がどう変革するか

現在、多くの人が在宅勤務を体験してテレワークの有用性を実感し、その上でオフィスに出社する意味や役割を考えている時だと思います。Beforeコロナではオフィスに出社することや対面営業はごく当たり前のことでしたが、withコロナでは在宅を含めたリモートワークや時差出勤が一斉に広まり今に至るまで続いています。これからは外出先、例えば空港や病院の待合室などどこでも働ける環境がいちだんと整備されていくでしょう。

withコロナ対策のまとめ

次に、コロナ対策のまとめとして大きく3点あります。

コロナ対策

①Temporary Solutions(一時的な対処)
…検温、消毒、飛沫防止パネル、注意を促す貼り紙など。
②Social Solutions(現状を生かした対処)
…対面を避ける座席配置、使用頻度が下がった大会議室をフォンブースに変えるなど。
③Flexible Furniture(フレキシブルな家具)
    …可変性のテーブルや可動式のサイドパネル、イスなど、フレキシブルな什器を組み合わせた柔軟な空間の使い方。

特に③は、什器選びの新たな指標の一つになると思います。現在のオフィス什器は一度設置すると動かしにくいですが、出社率が変動していくとなると、今後は状況に併せて家具の配置や使い方を変え、空間を柔軟に使いこなすことが求められていくでしょう。

afterコロナ 今後、オフィスはどうなっていくのか。

当社アンケートによれば、約70%が今後もテレワーク継続を希望しています。いっきにテレワークが普及したことで、より多様性に対応した働き方が今後は求められるでしょう。オフィスワークとテレワークの併用への対応が、採用力に影響を与えるといっても過言ではありません。
また、今後のオフィスのあり方についてのアンケートでは、縮小やオフィス不要を大きく引き離して「今より良いものにしたい」という回答がトップでした。また、サテライトオフィスやシェアオフィスの活用、郊外や地方拠点への検討という新たなニーズが生まれている点にも注目しています。個人的には、オフィス不要が5.5%というのが予想以上に少なくて驚きました(下図参照)。

今後のオフィスのありかたについて
アンケート実施期間:2020年4月22日~24日、総回答数:525件、ヴィス調べ

そして、テレワークの普及によって、以下のような変化が浸透しつつあるように感じます。
ワークライフバランスからワークライフインテグレーション…ワークとライフの境目がなくなっていく。
・時間軸の変化…わずかなスキマ時間でも仕事ができるため、時短化、効率化が進む。
・フラットな環境/情報…常時オンライン接続でダイレクトに上司部下と繋がることができる。情報共有が前提の社会になる為、情報へのアクセスが平等になる。

また、賃貸オフィスマーケットでは、以下のような動きが顕著になっています。
・オフィス解約&サテライト化
・減床&現状面積でオフィスのあり方を見直し
・拡張して、ゆとりある状態でオフィスを活用

以上のような結果を受けて、ひとことで言えば、ワークプレイスはカルチャープレイスになると考えています。
作業は家でできるとして、オフィスには何をしに行くのでしょう?それには、4つのポイントがあると思います。(下図参照)

カルチャープレイス

①VISION…会社のビジョンを共有し、共感を育むための場。
②COMMUNITY…コミュニティへの愛着や繋がりを感じる為の場。
③GROWTH…人と繋がることで自身の成長を促す場。
④INNOVATION…多様な人々が集まり、新たな価値を創造する場。

まとめとして、今後はオンライン/オフラインのハイブリッドな働き方がスタンダードになっていくのではないでしょうか。
例えば、プロジェクトがスタートする時のワイワイガヤガヤ話す場面ではオフライン。役割が決まってからの作業段階ではオンライン。最終的に何かをまとめる時は、再びオフラインに戻るなど、以下のようなメリット/デメリット(下図参照)に応じた場面ごとの使い分けで生産性を重視した仕事の進め方が広がっていくと考えます。

オンラインとオフラインのメリットデメリット

株式会社Hite & Co 「ニューノーマル時代の総務戦略と財務実践手引き

スピーカー紹介

株式会社Hite & Co.
代表取締役社長
金英範

インハウスの総務部、ファシリティマネジメント部の業務を25年間、外資系や日本企業の7社にて実践してきた。働き方変化に合わせたオフィスつくりから移転プロジェクト、財務、設備関連、日常の総務サービス運営、レイアウト変更など複数社にて幅広い実務経験を積む。「総務の引き出し」の圧倒的な多さと深さが定評。総務が会社を変える!楽しくする!がモットー。一級建築士、MCR、認定ファシリティマネジャー



私は長年、総務のインハウスとして様々な企業に所属してきました。いわばオフィスのトラブル110番ですね。総務の仕事って地味に思われがちですが、幅広いあらゆる問題を一つ一つ解決するとスカッとするものです。本日は総務の目線から、国内外の企業の反応、そして短期、中期、長期の時間軸別のコロナに関する総務の業務についてお話ししたいと思います。

海外・国内企業の反応

まず最初に、グローバル記事と海外のインフルエンサーの言葉を引用してお話しします。
ショッキングな言葉かもしれませんが、海外では、オフィスビルを商品としてみればそろそろ寿命だとする意見さえ出ています(下図左)。極論ですが、ある意味そうなのかもしれません。また、トリアージという表現(下図右)。つまり、あれもこれも選ぶことはできなくて究極の選択をしないともはやマネージできない時代に突入した、ということです。

インフルエンサーの言葉

一方、日本での働き方を見てみましょう。
皆さんの中にもこういう働き方をしていた方が多いのではないでしょうか(下図左)?Eメールを中心にしてワード、エクセル、パワーポイント、いわば「三種の神器」を使って大勢の前でプレゼンや会議をこなす働き方。今だってテレワークしているといっても会議がzoomに変わったくらいの変化なら、ただのオフィスの延長でしかありません。
どうしたら変わったといえるのか?それはツールのバラエティとプラットフォームの考え方です(下図右)。Slackやteamsなどを基本に、あらゆるツールを使いこなしてテレワークが実現できた、と言えます。ある意味、「職人芸」が必要になってくるのが本当のテレワークとも言えます。

働き方の変化

それに絡めてジョブ型の議論も本格化しています。
富士通や日立、KDDIなど大手企業をはじめとしたジョブ型導入のニュースが次々と出ています。ただ、このような会社はコロナ以前から既に取り組んでいて、コロナショックが追い風になっているような状況です。今すぐにジョブ型に移行しようとすると大変ですから、余裕を持って取り組むことをおすすめします。

短期の戦略―withコロナを乗り切るオフィス運営

目先のコロナ対応策として速報事例集的に幾つかご紹介します。

コロナ対応策

・アクセス管理…マスク、検温、アルコール消毒など。
・在宅勤務率ガイドライン…感染状況によって、在宅勤務率や座席配置を定義するもの。
・オフィス内ルール…会議室の最大収容人数や対面を避ける座席配置をあらかじめ決める、使い捨てデスクパッドの使用、共有のウォーターサーバーを使用中止にしてペットボトル飲料を提供するなど。
他にも、オフィスの抗菌コーティングやオフィスの混雑状況可視化アプリ、飛散防止パーティション、エレベーター利用制限など既にやっている方も多いかと思いますが、ざっとご紹介までに。

中期の戦略―不動産、ワークプレイスの変革

次にオフィス変革のお話の前に、過去のおさらいをします(下図参照)。今回のコロナショックはITバブルやリーマンショックの時と構図は似ていますが、総務人事系の施策に大きな違いがあります。例えば、リストラの有無や働き方の変化など。例えば、リーマンショック時はIT技術が追い付いていなかったのでテレワークなど当然できません。コスト削減の方法も限られていましたから、オフィス縮小もしくは統合移転がとにかく多かったのが特徴です。

経済打撃と働き方

ただ、今回はIT技術が格段に進化したこともあり、収束後もこのまま行っちゃえ!というムードを感じます。ただし、単に働き方が変わるだけでは変化に対応できない(しない)ワーカーがいます。ですから、新たな社員サービスや福利厚生を入れて、今までよりも働きやすい環境を提供して対応させる必要があるのです。その為に、次々と出てくる新しいサービスを総務がキャッチして自分の会社に取り入れていかなければなりません。(※詳細は次章④へ)

そして、対策を立てる為の材料を3つほどご紹介します。
まずは、スペース戦略を検討するための考え方です。ソーシャルディスタンスを確保するための面積を算出して、そこからフリーアドレスやテレワークで出社人数を制限するようなやり方(下図左)。次に、財務コストの再確認。ファシリティコストの約50%は不動産が占めていて、1人あたり100~150万円/年かかっているのが一般的です(下図中央)。最後に、再来年あたりから始まるIFRS16(国際会計基準)にも大きな影響が出ますから、これらを踏まえて戦略を立てる必要があります(下図右)。

オフィス戦略

さて、不動産で削減したコストはどこに振るべきか。社員に振る、もしくは将来のテクノロジー投資もアリでしょう。皆さんも自社のトリアージを是非やってみてください。例えば、セキュリティや防災、BCPはどんどんコストを掛けないといけなくなります。逆に、空調や清掃コストは減るでしょう。とにかく使い方が勝負です。

削減するだけなら誰でもできるし、ワーカーもテレワーク賛成なので誰も反対しない。これが逆に危険なんです。削減したコストをきちんと振り分けてお金を使わないと、社員のモチベーションが持ちません。これについては次で詳しくお話します。

長期の戦略―Well-Being、福利厚生、テクノロジー活用

長期戦略で考えるべきは、社員のために何ができるかについてです。不動産コストを減らせば一時的に経営上の数字は良くなりますが、削減だけだとプレゼンティズムが深刻化し、やがてマイナス影響が出てしまいます。

まずは、ウェルビーイングとワークスタイル変革への投資が必要です。(下図左)
投資ばかりでお金が掛かりそうに見えますが、一人当たりに換算すると大したことなくて、不動産削減コストの半分も使えばまかなえます。それ位、不動産コストは高かったということですね。
グローバル基準の福利厚生は更に手厚くて費用も10~20倍掛かりますが、公私「融合」の発想がスタンダードです。(下図右)つまり、プライベートまで含めてどこまでサポートするか。ここまでくると会社選びの条件にも関わってきます。

ウェルビーイング
(左)ウェルビーイングに関する福利厚生の例(右)公私融合の福利厚生を行う海外企業

オフィスなら全員同じ条件で働けますが、自宅だと家族構成も環境も全て違う。その中で、公私融合サービスにどれだけ予算を掛けて社員をサポートできるかが勝負になります。ここまでやるの?と思うかもしれませんが、世界基準で見れば既に当たり前のことで、この手のランキングだと日本は最下位に近いのが現実。ぜひグローバル観点で検索してみてください。
これによってプレゼンティズム・アブセンティズムが10~20%減ると考えれば、大した投資ではありません。不動産削減で費用が出せるようになった今こそがチャンスです。

いくつかサービスの事例を挙げてみます。
公私融合のサービス紹介
(左から)オフィスの混雑具合などが分かる「beacapp HERE」。オフィス用品一括購買システム「KOBUY」。企業間取引の電子かを可能にする「BtoBプラットフォーム」。ワーカーのプライベート充実の為のサポートをする「コーポレート・コンシェルジュ」

総務としては、このように次々と生まれるサービスの情報をかき集めて、全部を見渡して自社に合わせたサービスを選ぶことが求められています。

総務からCOO・経営への提案アプローチ

最後に、上層部にどうやって提案を持っていくか。総務だけじゃどうしようもないので、各部門の役員同士が話さないと進まないのが現実ですが、とにかく部門を横断して一緒にやるしかありません。まずは、総務から仕掛けて削減した不動産コストをどう使うのか、どうやって人事やIT、福利厚生などに振り分けていくのか考えるのが一番いいのかなと思います。

今日お話ししたような事は、何年も言い続けたけれどできなかったことでもあります。だから、今はある意味チャンス。コロナがきっかけで変革の土台ができました。変革には予算が掛かりますが原資となる不動産コストがあるはずですし、前向きに捉えれば先々は悪くありません。是非、積極的な投資を検討してみてください。そして迷うことがありましたら、総務戦略のバディとしていつでもご相談ください。

総務戦略のバディ

質疑応答&ディスカッション

ここからは、チャットで寄せられた質問について取り上げたいと思います。

不動産コストの削減目安は?

―――不動産コストをどれくらい削減するべきか悩んでいます。縮小の指標があれば教えてください。
金)これは数字から入ったらあとで痛い目に合います。働き方をどう変えるか決める方が先。例えば、出社率の算出、社員の一日の働き方マップの明確なイメージ化、継続性の検証等ができてから、適正なオフィス面積が出てくるはず。
とはいえ時間もないでしょうから、ざっくりと5割減を目標値にしてはいかがでしょうか?なぜなら2割程度を目標にしたって実現できない可能性が高いのです。5割目標にして思い切った変革をしないと実現できない。ということで、5割縮小を目標にして、そこから戦略を逆算するのもありだと思います。
瀬間)よく聞くのが、出社率を5割くらいカットして座席数を3~4割削減らし、結果的に家賃を2~3割減らしたいな、というような話です。家賃を削減した分、テレワーカーのネットワーク補強やIT整備に充てたいという話を、お客様からよく伺います。
―――弊社でも出社率を3~4割に抑えて、座席を予約制にしています。岡村様はいかがですか?
岡村)これは十社十色、企業の働き方によって全く違います。当社のお客様でも2割減の方もいれば7割減の方もいらっしゃる。従来なら一人2.5坪の指標がありましたが、それだけじゃない時代になっているので、今後はよりお客様と共にオフィスを作り上げていくのが必要になってくると思っています。

感染者発生、移動履歴を確認する方法は?

―――社内でコロナ感染者が発生した場合、その移動経歴を確認する方法はありますか?
金)求める精度によってGPSなのかビーコンでいけるのか等、必要なテクノロジーが変わってきます。だから、要求レベルを先に決めた方が良いと思います。ただ注意したいのは、withコロナがどこかの段階でAfterコロナに転じる可能性。どこまでそこに予算をかけるべきか慎重に判断した方が良いと思います。

体調記録と行動管理アプリ
ServiceNow社のクラウドプラットフォームを活用した体調管理と行動記録アプリ。5月から広島県で試験運用が始まっている。出典) ServiceNow Japan合同会社

岡村)当社では、国の接触確認アプリ「COCOA」をダウンロードするよう社員に促しています。

これからのオフィスに求められる役割は?

―――オフィスに本当に必要な機能や役割を教えてください。
瀬間)オフィスでどういうことを最低限したいのか。例えば、会社のアイデンティティを保つ仕掛けをしたいのか、帰属意識を持たせる何かが必要なのかなど。それによって千差万別ですから、まずは課題の洗い出しからやっていくことが必要かと思います。
岡村)オフィスデザインの観点で言うと、オフィスとは行かなければならない場所から、行かなくても大丈夫な場所に変わりつつある。だから逆の発想が必要だと思うんです。
例えば、今までは会社ではできない新たな発想を生み出すためにオフサイトミーティングみたいなことが流行っていましたが、今後はオフサイトをヘッドオフィスに作って、新しいナレッジやイノベーションが生みだすような場所を作っていく必要があるのかなと、デザインの観点では思います。
―――私はオフィス行きたい派なので、すごく共感できます。
金)岡村さんがおっしゃったように、これからのオフィス=カルチャープレイスだと思うんですよね。結局、一個だけ残すとしたら何?というトリアージの発想。例えば、会社の歴史が分かるものとか、新入社員が入ってきた時に「うちの会社ってこうなんだ!」と分かるような仕掛けとか。もちろんハードじゃなくてソフトでもいいと思います。
ただ、成果で測ることが大事。働く場所はプロセスでしかありません。例えば、2時間オフィスで過ごして帰宅する時に、どういう気持ちになってるか?「ああ、この会社で良かったな」「また来たいな」と思わせられたら成功でしょう。ですから、必要な場所を決めるよりも先に、どんな成果を求めるか逆算して考えた方が正解に近づけると思います。
―――まだまだ質問も頂いていますがお時間が来てしまいました。皆様、本日は貴重なお話をありがとうございました。

ZXYホームページ
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モデレーター紹介

株式会社ザイマックスインフォ二スタ
早川剣一郎

2017年ザイマックスインフォ二スタ新卒入社。
入社から一貫して賃貸仲介営業に従事し、企業の移転プロジェクトを主導。単なる物件紹介にとどまらず、企業の働き方の分析から総合的なワークスペースの提案を行っている。