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RELATIONS株式会社の働き方改革事例

2年間で休職者ゼロに ~チームヘルシーが支える健康経営~

投稿日:2020-03-05  取材日:2020-02-06

RELATIONS株式会社が取り組んだ事

  • 数値データから休職予備軍を察知、離職を防ぐ
  • 全社員に1人1時間の専門医カウンセリングを実施
  • 健康促進手当てを支給、セルフケアを促す
  • 会社規模

    50人

  • 業種

    専門・技術サービス業

  • 対象職種

    企画・管理

「ええ会社をつくる」をミッションとして、マネジメントを改善するSaaS「Wistant(ウィスタント)」やビジネスWebメディア「SELECK(セレック)」の運営を行うRELATIONS(リレーションズ)株式会社。
自律を前提とした自由度の高い働き方が特徴の同社だが、3年前は社員数45人に対して休職者4人という危うい状態で、産業医から「健康意識の低い会社」と断言されてしまったほど。
そこで発足したのが、健康増進プロジェクト「チームヘルシー」。リーダーの関口さんは「楽しく活動するのがモットー」と明るく話すが、わずか数年で休職者ゼロを実現、維持している秘策とは何なのだろう?

休職者ゼロを目指し「チームヘルシー」を立ち上げ

今回お話をお伺いしたのはコーポレートサクセス所属の関口真弓様。健康経営を推進する「チームヘルシー」のリーダーも務める。

休職者ゼロを目指し「チームヘルシー」を立ち上げ

最近、健康経営に乗り出す企業が増えていますが、RELATIONSでは世間に先駆けて2017年から取り組んでいますね。きっかけは何だったんですか?

当時、社員45人のうち4人が休職になってしまい「これはまずいな」ということで、産業医(※1)とEAP(※2)を導入したのが始まりでした。
自分は、前職で障がい者採用やダイバーシティ経営の分野を担当していたこともあって、もともと健康経営には興味があったんです。そこで、産業医を決めたタイミングで社内に「チームヘルシー」と名付けた衛生委員会を私がリーダーになって立ち上げ、健康経営の取り組みをスタートしました。

※1 事業者は50人以上の労働者を使用する場合、産業医を選任し届け出る義務がある。
※2 EAPとはEmployee Assistance Program(従業員支援プログラム)の略で、職場のメンタルヘルスケアの意味。社員のメンタル不調が生産性低下や企業の利益損失に直結することから、これを防ぐことを目的として導入する会社が日本でも増えている。

専門医の個別カウンセリングで社員に変化

一番最初は何から取り組みましたか?

まずは、産業医やEAPの医師に相談することから始めました。というのも、その先生に「ものすごく健康意識の低い会社ですね」とバッサリ言われてしまって…。

EAPの先生というのは、産業医の先生のことですか?

いいえ、産業医とはまた別で業務委託している先生です。産業医は企業へのアドバイスがメインなのに対して、EAPの医師は従業員のカウンセラーでもありトレーナー的立場でもある存在です。
自分の体調不調だけでなく家族や仕事の悩み、何でも相談でき、問題解決につなげてくれるメディカルカウンセラーです。

導入した際には、全社員が1人につき1時間の個別カウンセリングを必ず受けることに決めました。会社側にはカウンセリング内容は基本的に一切明かされないので、従業員が安心して使える制度になっています。

全社員が面談を受けるのですね。一般的には、残業時間をオーバーした人だけなど対象者が限られているイメージですが。

産業医との面談は、希望者や残業時間がオーバーした社員、健康診断の結果が悪かった社員など限定的ですが、EAPの先生とは必ず全員が面談をする決まりになっています。
契約して3年経ちますが、コンスタントに毎月6~7人の面談希望者がいるのは、「先生に話すと解決につながる」と社員自身が実感している証拠だと思います。

心強いパートナー医師との出会いが大きかったですね。

正直、想像以上の効果でした。おかげ様で休職者ゼロの状態がしばらく続いていますし、「危ないな」と感じる人でもカウンセリングで改善することがありますから。

とはいえ、悩みは人それぞれでしょうし、すぐに解決できないケースもあり難しいのではないでしょうか。

EAPの先生は、すごく優秀な医学博士でもあるので、何を聞いても必ず的確なアドバイスをくれます。
だから、社員からの信頼感が厚く、この3年間のカウンセリングを通じて自然と健康意識が高まったのを感じます。

健康意識を高めるために、”チームヘルシー”という名前も含め「ヘルシー」という合言葉を意識的に使って社内で定着させたそうですね。

はい。「ヘルシー」という言葉を洗脳的に(笑)とにかく使って、社内で流行らせて根付かせました。全社会議の場で「いいね!」みたいなポジティブな意味合いで「皆さんヘルシーですか?」「ヘルシーです!」というやり取りが普通に飛び交ってます。

「疲れが取れない」、「眠気に勝てない」など多くの社員が抱えるプチ不調に効能があるヘルシーなおやつを置く“おやつコーナー”。EAPの医師にアドバイスを受けながら、焼き海苔やナッツ、小魚など常時10種類ほどラインナップしている。最近はドライ納豆がおすすめなのだそう。

数値データで休職予備軍を察知、早めの声掛け

パートナー選びは順調だったようですが、社内の反応はどうでしたか。

チームヘルシーを立ち上げたばかりの頃は、社員の反応はイマイチでした。
当時は休職者が多かったので、とにかく予備軍を見つけて対処することから始めました。見つける為にまずSlack(社内コミュニケーションツール)の投稿数や残業時間、有給休暇の取得率などの数値をチェックしました。
例えば「投稿数が前月より下がっていたら、会社から気持ちが離れているのでは?」と思って声掛けしたり。

Slackの投稿数に着目したのがユニークですよね。

なにげない雑談でもSlackでチャットするくらい文化が社内に根付いているので、精神状態が投稿数に顕著に表れるんです。
会社の方針に疑問を感じる時や、「がんばっていこうゼ!」みたいな雰囲気に乗れないネガティブな時期って、Slackを打ちたくなかったりしたんですよね、自分も…(苦笑)。
もしかして、みんなそうなんじゃないか?と仮説を立てて、投稿数を見始めました。

それが見事に的中したんですね。他にチェックしている数値は?

あとは、深夜のSlackアクセス数を見ています。深夜2~5時にアクティブになった日数をカウントして、週に4回以上発生した人は業務が多いのか睡眠の質が悪いのか、その辺りをヒアリングして対処しています。

実際にやってみて相関関係がありましたか?

あります。声かけしてみると、「最近眠れなくてなんとなく見ちゃうんです…」なんて返ってきます。とにかく誰かから見られている、という状況を作りたかった。見られていると思うと、自然と気を付けるようになりますから。

カラダにピース制度~毎月1万円の健康促進手当て~

押しつけではなく、社員に目を配って会社側から手を差し伸べるやり方が丁寧ですよね。あとはどんな活動がありますか。

会社の制度として、社員が健康促進のために使った経費を毎月10,000円まで経費申請できる「カラダにピース制度」があります。利用率は約50%で、マッサージやスポーツジムに使う人が多いですね。
あとは、ヨガ講師を招いて社内でヨガ教室をやっています。すごくスッキリしますよ。参加人数は、朝の開催で3~4人、夜だと10人くらいかな。ヨガは女性のイメージがありますが、参加者全員が男性だったこともありました。(笑)

ヨガ教室の他に、講師資格を持つ社員がピラティスのレクチャーをすることもあるそう。

「カラダにピース制度」は用途が幅広いのが良いですね。運動が苦手な人でもマッサージなら行きたくなりますもんね。逆に、うまくいかなかった企画はありますか?

思ったより頻繁にできていないのが“ヘルシー懇親会”でしょうか。
呑んでフランクに話して心をヘルシーに!という名目の、まぁ飲み会なんですが、料理もヘルシーでお財布にもヘルシー(=安い)な店を探して「隔月でやりたいね」なんて言っていましたが、参加者が思うように集まらず、まだ一回しかできてません。(苦笑)

本業とチームヘルシーとの兼務について

チームヘルシーのことについて教えてください。今はどんなメンバーが活動しているんですか。

立候補で集まった9人で活動しています。本業はコンサルやエンジニア、Webメディアの編集者、営業など。年齢も新卒から社内の最年長までバランスよく、男女比も半々くらい。

チームの活動頻度は?

毎月、産業医の先生をまじえての衛生委員会があります。あとは、各自が担当するプロジェクトの進捗状況を共有するミーティングを2週間おきに開いています。

リモートワークのメンバーも多いそうですが、ミーティングを定期開催するのは難しくないですか?

リアルで集まれないメンバーが、TV会議やSlackでミーティングやブレストに参加するのはもう普通の光景なので、リモートであることに問題はないですね。

本社オフィスの風景。自律を前提に自由度の高い働き方ができる同社では、リモートワーク率が4~5割と高い。オフィスにはABW(仕事内容やその時の気分で座席が選べるスタイル)が取り入れられている。

リモートでブレストも行えるとは、普段からかなりリモートワークに慣れていらっしゃるんですね。それでは、進行中のプロジェクトについて教えてください。

現在進行中なのは、
 ・“カラダにピース”の利用率向上プロジェクト
 ・wevoxの健康に関する数値向上プロジェクト
 ・プレゼンティーズム数値化プロジェクト
 ・運動会や球技大会の運営プロジェクト
 ・ヘルシー懇親会
それぞれのプロジェクト担当者が、本業のかたわら進めてくれています。

本業との兼ね合いはどうしてますか?活動は手間のかかることが多いですよね。

チームヘルシーの活動はサブ的業務で、通常業務が絶対優先という共通認識はあるので、繁忙期には全然活動できないこともあります。
メンバーには「本業の片手間でやりましょう」とは言っていますが、リーダーの私が止まると全体が止まってしまうので、両立が大変な時もあります。だからもう目標と納期を決めて無理やりにでも進める!って感じです。

心と体、予防も改善も…、と扱う範囲が広いから大変ですね。目標とはどんなものですか?

数値目標が2つあって、
1つめはwevox(組織診断・改善ツール)の健康にまつわるスコアを6%改善すること。
2つめはプレゼンティーズム(※)を数値化することです。

※プレゼンティーズム…社員の心身不調を原因とする生産性損失額。体調が万全でないまま働くことで作業効率低下や判断ミス等を招き、会社全体の生産性が下がって大きな損失を与えることが明らかになっている。

目標を数値化しているのが先進的ですよね。一方で、健康を啓蒙してもスンナリとは受け入れてもらえないケースも多いと思います。そこをモチベートするために意識していることは?

おっしゃる通り、健康って他人から指摘されたくない部分。だから、チームヘルシーのメンバー自身が楽しくやっている姿を見せるところが大事だと思っています。遊び半分で楽しくやっていると、「仲間にいれて!」って参加してくる社員が出てくるんですよ。
遊び心でいうと、リレーションズでは、昨年からホラクラシー(※)を導入したこともあって社内で「ホラクラシー」って言葉が飛び交う事が多いんです。それに便乗して『ほら、ヘルシー』って言葉を流行らせようと動いています。そのために『ほら、ヘルシー』のオリジナルソングやキャンペーンキャラクターを制作中です!

※ホラクラシー…従来の役職による階層組織とは異なるフラットで自律的な組織構造で、個々人が担う役割とホラクラシー憲法に則ってサークルのようなチームが構成され、意思決定の権限がそれぞれのチームに分散される特徴がある。

セルフケアできる自律型集団を目指して

最後に今後の目標を教えてください。

最終的には、セルフケアできる集団にしたいです。体調が悪くなったら放置しないで自分自身で解決策を探したり、誰かにヘルプを出したりできる状態が理想。結果としてプレゼンティーズムが低い状態を目指したいですね。

休職者がマイナスからゼロ、健康な人を更に健康に、セルフケアへと、着実に“ヘルシー”のレベルがアップしていると感じました。本日はありがとうございました。

やっぱり社員が楽しんで参加できるのが大事だと思います。こちらこそありがとうございました。

今回協力して下さった企業様

RELATIONS株式会社

設立
2009年2月17日
本社所在地
東京都港区北青山2-9-5スタジアムプレイス青山5F
事業内容
コンサルティング事業/メディア事業/ITサービス
従業員数
49名(2019年4月現在)
Webサイト
https://www.relationsgroup.co.jp/

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