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株式会社ポーラ・オルビスホールディングスの働き方改革事例(後編)

「ポーラ」“らしさ”を大切に、長く働ける職場へ

投稿日:2019-07-04  取材日:2019-02-26

株式会社ポーラ・オルビスホールディングスが取り組んだ事

  • 目的に特化した共用スペースづくり
  • ペーパーレスによる業務効率化
  • 両立支援制度の強化
  • 会社規模

    4,000人

  • 業種

    その他

  • 対象職種

    企画・管理

歓送迎会や飲み会もできるコミュニケーション食堂

働く場所も時間もある程度自由になってきたところですが、オフィスの中に関して取り組まれていることはありますか?

本社ビルを管理しているのがポーラの人事戦略部なんですが、実はいろんな仕組みや仕掛けが施されているんです。
たとえば、発想を豊かにする赤を基調にした部屋があって、いろいろな感性を刺激する仕掛けがなされています。役員の推薦図書があったり、アート作品があったり。今、ポーラは「がんとの共生」をめざすネクストリボンプロジェクトを応援しているのですが、それに関連した本も置いてあります。あとはVR、プレステ4、ピアノなんかも置いてありますね。

ユニークな共用スペースのひとつ。壁面の棚には、感性を刺激するアイテムがずらりと並ぶ。

その隣が、個人で集中したい時に使う部屋で「ワークフォーカスルーム」という名称がついています。通称「青ルーム」と呼んでいるんですが、「青ルーム行ってきます」というと、「集中して作業してきます」という意味合いになります。以前はそこまで使用頻度は高くなかったのですが、社内で使用するPCと、持ち運びを前提とするリモートワーク用PCを一体化することで、活用する人が圧倒的に増えました

ほかにも目的ごとに分けられたスペースはありますか?

昨年の8月に、4階をリニューアルしてコミュニティスペースをつくったり、オフィスをもっと生産性高く自由闊達なアイデアが出るようなスペースにしました。今は8階と10階に、従業員同士が気軽に打ち合わせできるようなコミュニティスペースをつくっているところです。
あとは2017年にリニューアルした食堂ですよね。元々は「ザ・食堂」みたいな雰囲気だったんですが、がらりと変わりました。メニューも見直されていて、健康に配慮したメニューやサラダバー、副菜バーも取り入れています。また、韓国フェア、スペインフェアなどを開催したり、おやつの時間には焼き芋を焼いたり、社員が会社に来るのが楽しみになるような取り組みも行っています。
食堂では、従業員同士がコミュニケーションを図れるように、送別会や歓迎会といった用途に対応できるようケータリングサービスとも提携しています。

ペーパーレスと業務効率化

先ほどペーパーレスの話も出ましたが、現状ではどのように進んでいますか?

ペーパーレスや電子化については、ポーラでは、どちらかというと経営企画部門や経理部など、紙がどうしても必要な各部門の課題が関わってきていますので、話し合いながら連携して進めています。

オフィスの中の紙の削減や効率化含めて、まさに推奨されている真っ只中ということですね。

そうですね。本社のみならず全国の事業所でもペーパーレスに取り組み、組織によっては年間で万枚規模の削減に成功した組織もあります

大きな会社さんになると、本社では進んできても事業所ではなかなか難しいところって出てきたりしますよね。そのあたりは御社の人事から働きかけるんですか?

はい。先ほどのお話にもあったように、実際に成功した組織の挑戦過程や成功の秘訣を好事例紹介の意味もかねて全国に展開しています。
ただ、我々から押し付けるような形で「紙を減らそう」と呼びかけることはしていません。その組織での働き方、環境を良くしていく主人公はその組織のメンバーだと考えておりますし、組織の持つ可能性を信じているからです。
ペーパーレスのみならず、一度立ち止まり、ありたい姿視点で「今の仕事のあり方は正しいだろうか?」ということを見つめ直してみると、組織、個人の描くありたい姿と現状との間にギャップが浮かび上がってきます
ペーパーレスも、会議の効率化も、残業時間削減も決してそれ自体がゴールではなく、ありたい姿実現のための手段の一つだと考えています。「業務改善は内発的動機から」これを一つの大切な軸として今後も我々は様々な施策を展開していきたいです。

年齢や環境にとらわれず、長く働き続けてもらいたい

御社のホームページによると、ポーラさんの取り組みとして、2018年4月に「新定年サイクル制度」という年齢制限なく働ける制度を導入されたようですね。

このあたりも、まさにダイバーシティの観点ですね。ポーラでは「驚きと感動、究極のもてなしで世界ブランドへ」という企業ビジョンがあり、これを実現するためにポーラの中の多様な人材を生かして共創組織をつくることをめざしています。ポーラの中でも長い経験を持った人の知識や経験を生かすために、再雇用の年齢制限を撤廃をすべきではないか、ということで始まった制度です。

スタートしたばかりだとは思いますが、実際に制度活用されたケースは出始めているんですか?

何名かはすでに始まっています。

特に問題なく、スムーズに受け入れられたんでしょうか。

受け入れられました。今までは再雇用と言うと、定年を迎えてから手厚く扱われないイメージだったようですが、再雇用説明会を開いた際には「わざわざ開いてくれるとは思わなかった」「すごくうれしかった」という声がかなり聞こえてきたんです。さらに、ニュースや新聞でこの制度が取り上げられているのを見た時などは、やはりやってよかったと感じます。
もちろん、誰でも無制限にというわけではありませんが、そういった方々も非常に貴重な会社の力であり、彼らがいるからまた別のアイデアが浮かぶかもしれないと思っています。
可能性を見出していくこと、それが年齢で区切られるべきではないということ、能力がある人にはいつまでも働いてもらいたいということ。こうしたメッセージを会社として発信できたことが素晴らしいことだと思います。

あと、両立支援についても注力されていると伺いました。

そうですね。両立支援はかなり力を入れて取り組んでいます。産休育休はもちろん法令どおりのものもあるんですが、なかなか社員一人ひとりが認知するまでには至っていません。そこで、人事の中に「育産休担当」を設けました。基本的には出産育児を経験した女性が、両立支援担当となって社員個別に相談に乗ったり、育産休入りの時だけでなく保育園に入るにはどうしたらいいかという相談までフォローをする仕組みができています。

きちんとフォローできる体制を人事の中に持っていらっしゃるということですね。

ええ。あと、隣のビルに健康管理センターという組織があります。看護師の方が常駐していて、たとえば具合が悪くなった社員をケアしたり、場合によっては育児や妊娠時の健康面のサポートもしています。「健康経営」は、我々グループ全体のテーマでもありますので。

健康面をサポートすることも両立支援の一環ということですね。ほかに両立支援の取り組みはありますか?

復帰者説明会をしています。4月に復帰する方が多くて、3月の頭くらいにその方々を集めて説明会をしています。だいたいこの時期は復帰をする人が多いんですよ。
直接話を聞くと、ただ与えられた資料を読むより頭に入ってきますし、説明会に何人か集まると、自分と同じ境遇の人や同じ悩みを抱える人がいることもわかります。横のつながりもできます。復帰者説明会は昔から運用していますが、当社なりのいい習慣だと思います

やはり復帰の際にはハードルを感じる方も多いんですね。説明会はそういった方たちの心のサポートにもなっていると。

そうです。サポート制度としては「職場復帰手当」というものもあって、これが金額的に大きいんですよ。育児に専念するためにしっかりと休暇をとることはとても大事なんですが、それによってキャリアが完全に途切れてしまっては、本人にとっても会社にとっても非常に寂しいことです。だから、子育てと両立しながら、できる限り早い復帰をしてもらおうという思いで職場復帰手当を設けました。たとえば生後6ヵ月くらいで復帰すると、1歳半まで毎月5万円、3歳まで1万円の手当てがつきます。これは大きいですよね。
子どもが小さければ小さいほど保育園の費用も高くなるので、そのサポートをしています。

なるほど、復帰するためにはお子さんを預けなければいけないから、そこにかかる費用を手当として出していると。

はい。しっかりお子さんを育てていただいて、かつ職場に復帰していただいて、長く働いていただくのが両立支援制度のこだわりです。

復帰後の時短勤務も制度としてあるんですよね。

はい。フルタイムだと勤務時間が7時間55分なんですが、時短だと6時間か7時間を選択することができます。フレキシブルに使えるように1ヵ月単位で選べるようにしていて、子どもが小学校3年生になるまで継続することができます。

なるほど、よくわかりました。本日はありがとうございました!

ありがとうございました。

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今回協力して下さった企業様

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

設立
2006年
本社所在地
東京都中央区銀座
事業内容
国内事業:トータルビューティ事業、百貨店事業、BtoB事業
海外事業:化粧品・健康食品の企画・販売、ボディファッション、アパレルの企画・販売など
従業員数
連結4,181名、単体127名(2018年12月31日現在)
Webサイト
https://www.po-holdings.co.jp/index.html

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