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インフォコムの働き方改革事例(前編)

はじまりは、ファシリティへの取り組みから

投稿日:2019-03-26  最終更新日:2019-03-26  取材日:2018-09-14

  • 会社規模

    1,000人

  • 業種

    情報通信業

  • 対象職種

    全社員

ユーザー系システムインテグレーターとして、帝人グループ等に向けて情報システムの企画・開発を行いながら、近年では、コンタクトセンター関連システムや医療系システムなどの分野においても大きな実績を残しているインフォコム株式会社。2018年には関西に2箇所あった拠点を統合し、新たな大阪オフィスをオープンさせています。

その新しい関西事業所のオープンを皮切りに、全国に散らばる各拠点のオフィス環境を整えていこうー。そのようなタイミングで、今回、総務室 総務チーム主査・小澤幸二さんにお話を伺いました。

ファシリティの改善から始めた「働き方改革」

今日はお忙しいところ、お時間をとっていただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします!

こちらこそ、よろしくお願いします。

総務室 総務チーム主査・小澤幸二さん

昨年(2018年)、大阪で新しい働き方を想定した新オフィスの運用をスタートされたと伺いましたが、働き方改革を進めようと舵を切ったきっかけについて、まずは教えていただけますか?

はい。私の先輩が社長から『働き方を改善していきたい』といったメッセージを投げかけられたのがきっかけです。
先輩からその話を聞いたときに、ファシリティでも働き方を変えることが出来ると提案し、当社の本社・原宿オフィス11階カフェテリアのファシリティデザインを進めることとなりました。

なるほど。まずは『場』を整えよう、と。

はい。以前の原宿オフィス11階には食堂・休憩スペースがあり、昼休みには混雑するのですが、それ以外の時間帯はほとんど使われていませんでした。そして、休憩スペースの奥には会議室が6つほどあり、その会議室と休憩スペースの間には仕切りがありました。

休憩と会議利用ということで、明確に機能が分けられていたんですね。

はい、そうなんです。そこで、その間仕切りを全部取っ払って、開放感のあるカフェスペースを一面に作りました。最初は、かなりの反対もありましたよ。会議室をなくしてどうするんだ、なんて。でも、実際に活用してもらって、今では社員のみなさんだけでなく社長からも、『あれは、良かったね』という感想を貰えているので、総じて成功だったのかなと思っています。

カフェスペース

それは素晴らしいですね!

このカフェは、食事やミーティングという用途を満たす場であるとともに、コミュニケーションを促す場、コミュニティスペースとしても大いに利活用されています。休む人と仕事をする人が同じ場を共有できる、ONとOFFがうまく融合した場所になっていて、それが良かったんだと思います。

カフェスペースでのお弁当の販売サービス

ファシリティを改めることで分離していたものが上手に統合され、その結果、『場』としての新たな価値が生み出されたという、良い事例ですね!

ありがとうございます。それを模して、今度は大阪でも、同じようなコンセプトでカフェを入れてみようかな、と思いました。

関西の新オフィスについて、その取り組みと課題点

最初のお話の中にあったように、昨年(2018年)、関西事業所が統合し新オフィスの運用がスタートしました。ファシリティに対する施策を実施するには、非常に良いタイミングでした。そこで、この大阪の新オフィスでは、東京での経験を活かして、より『働き方改革』を意識したファシリティにしていこうと方向付けられました

新しい関西事業所は昨年の何月に完成したんですか?

昨年の5月に完成、6月に運用をスタートさせました。当初は、フリーアドレスという話が出てきましたが、私達は、フリーアドレスに加え、ABWを提案しました

ABW(Activity Based Working):ABWとは、働き方や仕事内容に合わせて仕事をする場所を自由に選択してもらうことによって、ワーカーのクリエイティブな活動を促していこうという仕組みのこと。固定席を設けないことからフリーアドレスとも似ているが、フリーアドレスが「座席を固定しない」ことに重点を置いているのに対して、ABWでは、もっと積極的に、「ワーカーが、その時の仕事の種類によって、フレキシブルにワークスペースを選択していくこと」に力点を置いている。ゆえに、選べるワークスペースはより多様に、オフィス内の執務デスクに限らず、ラウンジ席、集中ブース、社内カフェなどにまで及ぶ。

新オフィス誕生のきっかけに際して、ぐっと新しい取り組みをしていこうということですね。

当社の場合、東京の原宿本社は、10年ほど前に引越しをしてきて、まだ当時のオフィスデザインなんです。役職者の席があって、私たちは島型対向配置で固定席があって、と。そして、紙資料もうずだかく積まれています。

歴史のあるオフィスだと、どうしてもそうなりがちですよね。

でも、新しく出来る大阪オフィスなら、違った取り組みが可能だと思いました。その関西事業所は12、13階の2フロアを使用しているのですが、13階は外出の少ない開発部門なのでフリーアドレスにはしていません。その代わり、健康をテーマに上下昇降の机を導入しています。

上下昇降、ですか?

ええ、開発部門は、ずっと内勤で開発作業に勤しんでもらうことになるので、座りっぱなしを防止するためですね。デスクを引き上げて、時々は、健康のために立ちながら仕事をしてもらうようにしています。

ああ、なるほど!

また12階の3分の1ほどはスタッフ等なので、そこも固定席。これも上下昇降です。そして、残りの100席ほどをフリーアドレススペースにして、ABWへと促しています。このABWの効果については現在検証中ですが、何人かの社員に使い勝手を聞いてみたところ、総じて良い印象を持ってくれているようでした。

大胆な舵切りだったと思いますが、好感触だったんですね!

いやあ、はじめは相当な苦労がありましたよ。このABWを実践するのは会社でも初めてですし、具体的に実践する部署も始めてのことでしたのでそれはもう、現場でもABWの導入には相当苦労したと伺いました(笑)

具体的に、どのような苦労の声が聞こえてきたんですか?

そうですねえ。例えば、ABWを実践してもらおうとすると、どうしても移動が伴うので、ノートパソコンを使ってもらうことになるのですが、当時はほとんどの社員がデスクトップを使用していました『開発にはハイスペックなパソコンが必須なので、ノートパソコンでは仕事がうまくまわらないのでは』とか『仮にノートパソコンに入替えるとしても、セッティングなどに時間を要してしまう』など。あと、固定された席にいないので、『上司が部下の仕事を管理しにくくなる』とか。

そうなりますよね。そういった声には、どのように対応したのでしょうか?

現場の協力が大きかったです。パソコンについては、現状の業務に耐えれるようなハイスペック・ノートパソコンを探してきて、揃えて頂きました。

それはすごいですね…。

でも、事務職員などは、どうしてもフリーアドレスだと不便なことがあるそうなんです。というのは、事務作業を始めようとすると必要な備品などのセッティングから始めないといけないそうです。『お店』の準備のように、それを毎日ですから。

お店?

伝票、はさみ、のり、鉛筆などなど、必要道具をデスクに広げますよね。

ああ、なるほど。

今までの固定席なら、必要な道具類は自分のデスクに秩序立って用意されているので、座ってすぐに仕事に取りかかれたところを、フリーアドレスでは、『お店』を広げるところからはじめなくてはなりません。このフローがまずもったいないですよね、と。そして、帰るときにも同様に、『お店』を仕舞わなくてはなりません。手間がかかって、本当に困っています、と。そして、結局、フリーアドレス、ABWと言いながら、“ココ”にしか座らない、というふうに、固定席化してきてしまうおそれがある、というわけです。

なるほど。

なので、大分受け入れてもらえるようになってきたとは言え、まだまだ解決しなければならない問題はあると思いますね。

この事例と同じシリーズの事例

今回協力して下さった企業様

インフォコム株式会社

設立
1983年2月
本社所在地
東京都渋谷区
事業内容
携帯電話事業者、一般企業、医薬医療関係の機関や官公庁、教育研究機関の顧客向けに情報システムの企画・開発・コンサルテーションなどの各種ITソリューションや、情報通信システムの企画・運用・管理などの各種サービスの提供
消費者が利用する携帯電話やスマートフォンへのコンテンツ配信やeコマースなどのサービスの提供
従業員数
639名(単体) 1,074名(連結) 2018年3月末現在
Webサイト
https://www.infocom.co.jp/

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