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株式会社スノーピークビジネスソリューションズ の働き方改革事例

アウトドアで働き方改革を

投稿日:2020-09-29

株式会社スノーピークビジネスソリューションズ が取り組んだ事

  • 絆を深めるキャンプの効果をビジネスに活用
  • 心地よくワクワク働ける、自然を意識したオフィス
  • 会社規模

    37人

  • 業種

    その他

  • 対象職種

    全社員

外で働くって気持ち良い!

早速ですが、貴社の業務内容から教えていただけますか?

はい。当社は自然と人、人と人とがつながり、人間らしワクワク働くために、キャンプやITなどのソリューションを提案するコンサルティング会社で、その一環として大自然や都市部の屋外で気持ち良く仕事をする「キャンピングオフィス」という働き方を提案しています。キャンプを通じた企業研修、そしてスノーピーク社(※)のアウトドア製品を活用したオフィス提案が主な事業内容です。
※スノーピーク(Snow Peak)…1958年に新潟県燕三条で創業したキャンプ用品メーカー。ものづくりの街ならではの高いクオリティとシンプルで美しいデザインが人気で、近年ではアパレル商品やキャンプ場運営、地方創生等にも事業拡大している。
スノーピークHP
同社のHP(https://snowpeak-bs.co.jp/)より。様々なビジネスシーンとアウトドアを掛け合わせて、研修やコンサルティング、ワークスペース提案を行っている。

アウトドアと仕事の融合というのがすごく面白いですね。

もともとは物流や製造業界の現場改善システムをメインにしたIT会社だったんです。ただ、業務と並行して環境問題や社会問題を社員みんなで考えたり、地方に出向いて地域の方々と触れ合ったり、そんな活動もさかんにしていました。
そんな中でスノーピークと出会ったんです。数あるアウトドアメーカーの中でも特に品質が優れていることや企業理念に共感して、当時150万円をかけてスノーピーク社の製品を社内用に購入しました。

150万円分も?!

はい。テーブルやいす、テント、タープなど一式。最初はBBQ等の社内イベント時に使用していただけでしたが、それだけじゃもったいないということで、屋外にキャンプ道具を持ち出してアウトドア会議をしたりキャンプしながら仕事の話をしてみたら、すごく良かったんですよ。
外で使わない時には、キャンプ用品がオフィス家具として違和感なく使える事もその時に分かりました。
キャンプ製品導入事例
休憩室(左)や執務室(右)にキャンプ製品を導入した事例。人数や場面に応じて楽に持ち運べる点や、オフィスにもなじむシンプルで機能的なデザインが人気。

外で働くのは、気持ち良さ以外にどんな効果があるんでしょうか?

開放的な気分でアイデア出しや意見交換ができますし、普段とは違ってお互い垣根を外してフラットに話せます。特にキャンプは共同作業ですから、おのずとコミュニケーションが増えて絆も深まります。

なるほど。でもIT企業だった御社が、なぜスノーピークとの合弁会社設立に至ったんでしょう?

最初はいちユーザーの立場で、「スノーピーク製品を活用して成長しているIT企業」ということで事例紹介してもらえないか、スノーピークの会長に話を持ち掛けました。ところが、交流を深めるうちにビジョンに共鳴して、一緒に事業をつくりませんか、という話になりました。そして2016年に合弁会社を設立するに至ったわけです。

キャンピングオフィス、お客様の反応は?

営業先もそれまでとはがらりと変わったのでは?

そうですね。もともとは在庫管理システムなどの現場改善システムを物流・製造業向けに販売していたIT会社だったのが、アウトドア商品をオフィス向けに売るわけですから、お客様の業種も今までと異なりましたし、初めてのことばかりでした。

お客さんの反応はどうでしたか?

前例がないのではじめはポカーンとされましたね。「え、オフィスにキャンプ…?」みたいな(笑)
ただ、実際に見てもらったり、体験してもらったりすると反応が変わるんですよ。
「会話がはずむ」「社内にいるよりもアイデアが生まれる」「リラックスできて社員の表情が柔らかくなった」など好評です。だから、レンタルして実際に社内で使ってもらったり、スノーピーク製品を導入したオフィスの内見ツアーをしたり、とにかく体験重視の営業を当時からしていました。

また、外で働く気持ち良さを体感してもらう為に、品川シーズンテラスさんと協力して「品川アウトドアオフィス」という体験イベントを、都心の超高層ビルの敷地を借りて毎年開催しています。
まだ斬新なものだと思いますが、徐々に認知が広まってきたように感じます。
品川アウトドアオフィス
オフィス街でアウトドアオフィスが体験できる「品川アウトドアオフィス@品川シーズンテラス」。気持ちが良くて会話が弾む、リフレッシュできて仕事がはかどると好評で、2018年には5日間で400人が参加する盛況ぶりだった。

スノーピーク製品をオフィス仕様に作り直して販売しているんですか?

いえいえ、そのままです。スノーピーク製品は高機能で長時間快適に使えますから、そのままオフィスユースできるんです。使い勝手が良くてオフィス什器と比べるとかなり安い、という声も多いですね。
それに、オフィス用の家具は重くて動かすのが大変ですが、アウトドア製品は軽くてコンパクト、収納もできるからオフィス空間の使い方の自由度が高まるのも特長のひとつです。

環境に併せて簡単に持ち運べるのはアウトドア製品のメリットですね。

そうなんです。さまざまなシーンで活用できることが徐々にわかってきました。
今年の7月に豪雨災害のあった熊本県人吉市には当社のパートナー企業が運営するコワーキングスペース「Camping Office osoto Hitoyoshi」があるのですが、浸水被害にあっても使用していたアウトドア製品は水洗いし、市役所等にも持ち運び、施設以外の方も活用されていると聞きました。災害時に強いのもメリットのひとつだと思いますね。

持ち運びができるのは、これからのワークプレイスにもマッチすると思います。

アウトドア製品は仕事の時だけ広げて、終わったら簡単に収納できます。だから最近は、在宅勤務でもよく使われているようです。私も在宅勤務中はマンションのベランダに人工芝を敷いてアウトドア用のイスとテーブルを出して仕事したり食事したりしています。
在宅勤務とキャンプ用品
(左)在宅勤務中、アウトドア用のテーブルセットをテラスに持ち込んで気分転換。(右)テーブルがBBQ台に変身できるのも可変性の高いアウトドア用品ならでは。

ホテルと提携、ワーケーション分野に進出

ハワイや日本各地のワーケーションにも進出されているそうですね。

はい。なぜかというと、キャンプ場で研修や屋外会議を楽しんでもらえるのがベストですが、日本ではキャンプ未経験者が圧倒的に多く、はじめて行うにはハードルが高い。 特に経営陣はテント泊に抵抗がある方もいるようで…。でもホテルに泊まっちゃったらアウトドアにきた意味がない。

そうですね。アウトドアだと思わぬアクシデントが起こりますから。

はい。雨が降ってきたとか天候に左右されたり、忘れ物をしたとかで足りないものがでてきたり、何か起こるたびにみんなで考えて動く。 でも、そんな時の方が社員達の想いが集まるし、思い出になるんです。
キャンプならではのアクシデントが楽しい思い出になることはすごく多い。でも、抵抗感のある人が多いのが実情ということで、最近では折衷案も提案しています。ホテルと提携して、敷地内にテントを張ってアウトドアミーティングをしたり、社員間交流を促すBBQをしたり、焚火の周りでビジョンを語り合ったり。就寝や入浴、雨天時、朝食はホテルで快適に過ごしてもらう、と。ワーケーションに近い面もあります。
アウトドアのハードルを低く設定して、キャンプ初心者の社員や役員が抵抗なく参加できるライトなプランを、全国の宿泊施設と提携して販売しています。
アウトドア研修
アウトドア研修の様子。共同作業を通じて強い絆が生まれ、会議室とは違う開放的な空間で自由な発想が生まれる。クライマックスの夜は焚火を囲んでじっくりと語り合う時間を過ごす。

貴社がキャンピングオフィスで実施していたことを研修プログラムとして提供しているのですか?

それもありますが、研修内容は試行錯誤しました。最初の頃は講師を呼んでセミナー形式にしたり、料理をこちらが提供するグランピングに近いスタイルにしてみたり。 でも、全てお膳立てして提供するよりも、キャンプスタイルの方がお客様に好んでもらえるし、思い出に残るものになると分かったんです。
今年、初めて冬の北海道・十勝のキャンプ場で企業研修を実施しました。マイナス25度のかなり過酷な状況なので躊躇はしたんですが。

マイナス25度でキャンプですか?!

はい。チームビルディング要素や雪遊びの要素を盛り込みつつ、食事は自分たちで鍋を作って夜は焚火を囲み社長と語り合うプランでした。
後日、感想を聞くと「今までの研修は呑んで騒いで終わってしまうのが実情だったが、十勝に行ったチームだけは他のチームと比べて明らかに結束力が強まった」と高評価を頂きました。
やはり、何か少しでも負荷が掛かった時の方が全員の想いが集まるし、万事順調にいくより失敗を乗り越えていく方が思い出になるんだな、と改めて確信しました。

キャンプが対話の質、関係性の質を高めてくれる

貴社自身の働き方について伺います。元々、地域の祭りに参加するなどユニークな取り組みが多かったそうですが、そこは社長の方針が強かったんでしょうか。

そうですね。社長自身ワクワク楽しく働ける会社にしたいという気持ちが強いですね。例えば社員同士の交流促進のためにランチを支給したり、お昼寝制度を導入したり。思ったことをフラットに話せる職場をつくるために、先進的な取り組みは昔から多かったです。
働き方改革というと生産性向上にフォーカスされがちですが、社員同士が思ったことを話せるか、人間関係が良いかということの方が長期的には大事だと考えているからだと思います。

今、出社制限があるなか、どんな風にコミュニケーションを取っていますか?

今はほとんど在宅勤務なので、一日一回は全員でWeb会議をつなげて話をするようにしています。ただ、リアルに比べると臨場感がないというか…。
半年に一度恒例だったスノーピークグループが集まるキャンプ場での社員総会も、今年はオンライン開催に切り替えました。今は徹底的にコロナ対策をしながら、社員同士が交流できる色々なやり方を学んだり試したり、という感じですね。
当社はWeb会議などのテレワークの仕組みは昔から整っていたので抵抗はありませんが、コロナをきっかけに強制的にテレワークが始まった多くの企業では、コミュニケーションの問題が発生していると思います。

そうですね。コミュニケーションの悩みはよく聞きます。

だから、これからのオフィスはコミュニケーションをしっかり取るための場になるはず。
質の高いコミュニケーションを取ろうとする時に、キャンピングオフィスはすごくマッチします。特に、企業ビジョンやミッションの共有、チームビルディングなどにはうってつけ。
年に何回かでもオフィス以外の場所で話をするのはとても大事です。アウトドアなら気持ち良いだけでなく、常に換気ができる3密にならない方法もとりやすいですから。

使命は「人間性の回復」

最近はコワーキングスペースを展開しているとか。

はい。より自然に近い環境に身を置いて働いてみる、とか地方で働く体験ができるサービスを提供したいと思っていて。その土地ならではの自然をオフィスに取り入れながら、スノーピーク製品をオフィス什器として備えたコワーキングスペース「osoto」を各地にオープンしています。
今、私がいるこのオフィスも企業で働く人や地域の人に開放しているんですよ。
コワーキングスペース「osoto」
愛知県岡崎市の本社に併設されたコワーキングスペース「osoto」の様子。名古屋や熊本、福島など全国7ヶ所に展開。名古屋や東京支店ではキャンピングオフィスが体感できる見学会やオンラインツアーを実施している。

御社の事業がアウトドアのニーズ喚起となり、いずれスノーピーク本体へも還元されるのでは。

日本のキャンプ人口はたったの7%、わずか860万人です。(2019年データ)
キャンピングオフィスをきっかけに自然活動の楽しさを知ってもらい、ゆくゆくはキャンプ人口を増やしていければと思っています。
ますますテクノロジーが発達して都市生活が進化する一方で、ストレスが増え本来の人間らしさが失われているように感じます。そんな中で、自然体験を通じた「人間性の回復」も当社の使命だという信念は常にあります。
最初の入口はアウトドア製品やキャンプ研修だとしても、そこで感じた楽しさを日常生活にも持ちかえってくれたら嬉しいですね。

本日は貴重なお話をありがとうございました。

こちらこそありがとうございました。

今回協力して下さった企業様

株式会社スノーピークビジネスソリューションズ

設立
2016年7月1日
本社所在地
愛知県岡崎市能見通1-61ウメムラビル
事業内容
1:組織及び地域活性化のための各種研修事業
2:組織及び地域活性化のための各種ツール、アプリ、システムの開発および導入支援
3:組織及び地域活性化のためのコンサルティング事業
従業員数
37
Webサイト
https://snowpeak-bs.co.jp/

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