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在宅勤務で整えておきたい環境[経費編]

投稿日:2020-10-08

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、加速度的に広まった在宅勤務。在宅勤務を推進する企業、実際にテレワークで働く個人ともに、その新しい働き方について、様々にトライ&エラーを重ねていることと思います。

そんな中で頭を悩ますポイントのひとつに、費用負担の問題があります。電気代などの光熱費や水道代、インターネット回線代など、一体どこまでを在宅勤務に係る経費として、企業は補助していくべきなのでしょうか。そして、その手当の支払いについて、どういったルールを設けるべきなのでしょうか。事例を交えながら、解説していきたいと思います。

領収証と電卓
在宅勤務の費用は、どこまで会社が負担すべき? 経費精算の疑問・やり方について、まとめてみました。

在宅勤務の経費計算に付いて回る難しさー、「家事按分」に「ルールづくり」の必要性

在宅勤務とは、テレワーク(※)の一種で、所属する会社のオフィスではなく、その名の通り「自宅」を就業場所にして仕事をする働き方のことを言います。

育児や介護などで出社が難しい社員が、転職・退職をすることなく、ワークライフバランスを保ちながら働き続けることができるように、また通勤や移動にかかる金銭的・時間的コストを削減するために、近年、この在宅勤務という働き方は、「働き方改革」の文脈で普及していきました。

会社とは離れた場所で就業するという特性上、テレワークの実現にはICT環境の構築が必須です。そのため、在宅勤務を行う際には、必然的にインターネットなどの通信設備費や回線費がかかってきます。さらに、在宅勤務では、以下のような費用が生じてきます。

・パソコンや照明等に使う、電気代などの光熱費
・給湯や食事、トイレに使用する水道代
・その他、文房具やパソコン周辺機器などの備品代

在宅勤務という働き方では、「仕事の経費」と「生活で使用する費用」との区別があいまいになりやすく、経費計算が難しい、というのが企業担当者の頭を悩ますところ。つまり、在宅勤務の経費精算には、「家事按分」や「明確な経費計算(費用の会社負担)のルールづくり」が求められるということです。

このように、経費計算に難しさがつきまとう「在宅勤務」という働き方ですが、企業が負担することになり得る(負担すべき)経費には、一体どんなものがあるのでしょうか? まずは、その点を整理していきたいと思います。

※テレワークとは:テレコミューティングとも。ICT(情報通信技術)を活用して、時間や場所の制約を受けずに柔軟に働く勤労形態のこと。モバイルワーク、リモートワークと呼ばれることもある。

在宅勤務で発生し得る経費について

ここでは、厚生労働省の「テレワーク導入のための労務管理等Q&A集」を参考にしながら、代表的なものをご紹介していきます。

パソコン等の情報通信機器の費用

業務上必要なパソコンや携帯電話(スマートフォン)などについては、プライベートの端末をそのまま業務利用させるとセキュリティ面でリスクを背負うことになるため、会社が全額負担して支給する例が多いようです。仕事に必要なスペックを備えた機器を個人が選んで購入し、その費用を会社が負担する(経費精算する)というケースも見られます。

ちなみに、購入する機器が10万円以上になる場合は、減価償却の処理を行う必要があります。その面倒を避けるため、仮に10万円以下の安価なものを支給したとして、それが業務に必要なスペックを満たしていなかったとしたら、従業員エンゲージメントや生産性に関わります。額面だけでコストを判断せずに、リモートワークを行う当事者や部署とも相談するなどして、購入すべきものを慎重に選ぶようにしましょう。

インターネット通信費(通信回線費用)

WiFi(無線LAN)ルーターの設置費や工事費、基本料金および回線使用料など。自宅でのインターネット回線は、テレワーカーが個人的に使用することも多いと思われるため、按分の仕方に意見が分かれるところですが、個人利用と業務使用の切り分けが難しいので、一定額を定めて会社が費用負担しているケースが多いようです。

【参考記事】
■WiFiについて:「在宅勤務で整えておきたい環境[WiFi編]」


文房具類などの備品、宅配にかかる費用

ファイルやペン、ノートなど、業務に関わる消耗品については、会社が負担するのが一般的なようです。会社が購入したものを支給するだけでなく、テレワーカーが必要に応じて立て替えて購入し後日精算する、ということも想定されるので、精算方法についてのルールをあらかじめ定めておくと良いでしょう。配送サービスを利用する際も、会社宛ては着払い、その他は一時立て替えにするなど、会社と従業員間で事前に決め事を共有しておくとスムーズです。

水道光熱費

水道代、電気代こそ、業務分とプライベート分の切り分けが難しいところ。そのため、在宅勤務手当として、一定額の補助金額を定めて支給している企業が多い印象です。あるいは、業務利用時間をカウントし、会社の負担分の割合を算出して支払っている例もあります。

パソコン周辺機器類やオフィス什器等にかかる費用

自宅の環境をオフィスとして快適に整えていくにあたって、生じてくる費用です。会社に出勤してオフィス勤務をする際にはそこまで重要視されていなかったものが、在宅勤務時には、一転、なくてはならないものになる…。そのような物品の例としては、イヤホンやウェブカメラなどがあります。在宅勤務では全てのやりとりを遠隔で行う必要があるため、Web会議に参加する機会が大幅に増えます。そのために、今まで必要としなかったイヤホンやウェブカメラを購入しなければならなくなった、と。また、「オフィスには標準的に用意されているものだが、自宅にはないため新調しなければならない」というようなアイテムもあるでしょう。例えば、外付け液晶モニターや、長時間座っていても疲れないオフィス用の椅子など。これらの調達費用の負担についても、トラブル回避のため、事前に明確なルールを作っておくことをオススメします。

【参考記事】
■オフィスチェアなどについて:「在宅勤務は環境整備から─、4つのポイントをおさえ成功を掴む!」
■外付けモニターについて:「在宅勤務で整えておきたい環境[モニター編]」

経費補助する・しない? 新しい補助制度は?

以上のように、在宅勤務時には、様々な種類の費用が発生しますが、XYMAX(ザイマックス )が2020年7月10日に行なったオンラインセミナー「『オフィスのニューノーマル』を考えるセミナー ~強制テレワークを経て働く場所ってどうなるの?~」の中でも、それら費用補助について、質疑応答が交わされました。

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Q. 社員に対して在宅勤務補助は出していますか?

A. 社内ではすごく議論しています。在宅勤務とオフィス勤務が等価値なら自宅も働く場所だから補助が必要では?という考え方もある一方で、職種によって在宅割合が違うのに一律で良いのか?という意見もあるし。どこに準拠するか迷います。金額的にも小さくありませんから、経営観点やエンゲージメント観点、様々な観点からどのように誰にいくらどんな形で対応するのか検討を続けています。

日本電気株式会社
人事総務部オフィス改革グループ シニアマネージャー 坂本俊一氏

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このように、「在宅勤務者に、どのように経費補助を行うべきか」という問いに対して、2020年7月現在、定まった答えはまだ示されていないというのが実際のところです。そこで、先進的な企業の中では、それぞれに工夫を凝らしながら、「自社に合った独自の在宅勤務手当を支給する」といった動きが盛んになっています。

在宅勤務のデスク周り
在宅勤務手当として、オフィスチェアなどの現物を支給する例もあるんです。

現金支給? それとも、現物支給?

在宅勤務手当は、「月一律5,000円支給」といったように現金で支給するほか、現物で支給するという選択肢もあります。例えば、自宅での執務環境を整えることを目的として、メーカーのカタログから好きなオフィス什器を選ばせる、といったように。

実際に、「株式会社GameWith(東京都、港区)」では、チェアやデスク、ジェルクッションなど、在宅勤務時の生産性向上に資するアイテムを現物で支給しています。

ちなみに、在宅勤務手当を現物で支給するとしても、現金支給と同様に課税の対象となる点は注意が必要。社員の立場からすると、「モノは支給されたけれど、課税によって手取りは減った」ということになるため、本当に喜ばれるモノを支給候補として示せるかがポイントになりそうです。さらに、現物支給は課税処理に一手間加わるので、支給する企業側にとっても、現金支給の方がシンプルで実行しやすいかもしれません。

在宅勤務手当導入の事例

それでは、実際の導入事例を見ていきましょう。

さくらインターネット株式会社

リモートワークでは対応できない、データセンターの保守などの業務を担当する従業員に対して、1日あたり5,000円の緊急出勤手当を支給。また、在宅勤務の環境整備を目的に、臨時特別手当10,000円と臨時通信手当3,500円も支給しています。さらに、5月以降もリモートワークを働き方の基本として、毎月、通信手当3,000円の支給を継続しています。

株式会社メルカリ

自宅での勤務環境の構築やオンラインでのコミュニケーション(チーム・ビルディング)などのために、在宅勤務手当として6万円(半年分)を支給すると発表。完全在宅勤務体制の確立に向けて、取り組みを進めています。

株式会社grasys

ITインフラを設計・構築・運用する株式会社grasysでは、2020年2月、在宅勤務中の従業員に非常食を手配。さらに、7都道府県を対象とした緊急事態宣言の発令後となる4月20日には、全社員に10万円の手当を支給しています。

LINE株式会社

直接雇用者に対し、主として在宅環境の整備に充当することを想定して(在宅勤務にかかる水道光熱費や通信費、備品購入費等の支払いのため)、月額5,000円の新型コロナ対応手当を支給(緊急事態宣言の解除に伴って、終了)。

ランサーズ株式会社

リモートワーク手当として、社員に一時金として一律3万円を支給。コロナ対策として急遽リモートワークを本格的に取り入れることにしたため、在宅環境の整備を目的として支給されたものです。

株式会社サイバー・バズ

ソーシャルメディアマーケティング事業を展開する株式会社サイバー・バズでは、在宅勤務により対面でのコミュニケーションの構築が困難になったことを受けて、社員同士のコミュニケーションを活性化させるために、期間限定でオンライン飲み会手当を支給。月に一律5,000円の補助を実施しました。

株式会社ミクシィ

IT大手のミクシィは、2020年5月に、アルバイトも含む全従業員を対象に、5万円の特別賞与を支給すると発表。また、通勤手当の支給を一時休止する代わりに、自宅での光熱費や回線費の負担増の穴埋めとして1万円、リモートワークに必要な物品の購入サポート代として上限2万円の支給を実施しています。

株式会社カオナビ

クラウド人材管理ツール「カオナビ」の製造・販売・サポートを行う株式会社カオナビでは、自宅の就労環境整備のため、「在宅勤務支援金」というかたちで、一人当たり5万円を一括支給。机やモニター、PC周辺機器などの手配をサポートしました。

株式会社アジャイルウェア

ソフトウェア開発を手がけるアジャイルウェア(大阪市中央区)では、緊急事態宣言の解除を受け、6月より一部の従業員の出社を限定的に再開。出社対象の従業員に対して、「こんなときに出社ごめんね手当」(危険手当)と称して、電車(公共交通機関)で出社した人には4,000円/日(+往復交通費)を、車で出社した人には2,000円/日(+駐車場代)の支給を実施しました。

シックス・アパート株式会社

2016年から、全社員を対象に原則リモートワークを基本とした働き方にシフトしているソフトウェア開発会社「シックス・アパート」では、テレワーク手当として全社員に毎月15,000円が支給されています。申請不要で、用途も不問。自宅の光熱費や通信費に当てたり、新しい備品を購入したりと、各人で自由に活用しているようです。

まとめ:コミュニケーションを大切に、導入前に明確なルールづくりを!

以上、在宅勤務に関わる経費と、その扱いに対しての企業側の取り組みについてお届けしました。経費の捉え方は、とてもナイーブな問題。ですので、精算のプロセスも可能な限りシンプルにしつつ、事前に明確なルールを定め、テレワーカーとしっかりと合意形成を図っておくことが大切です。

状況の変化に合わせて、会社と従業員が都度コミュニケーションを取り合いながら、在宅勤務の効果を最大化すべく、経費精算の制度をチューニングしていける。そんな良好な関係性を築いていくことが、もっとも大切なことなのかもしれませんね。

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以上、在宅勤務にかかる光熱費等経費の扱いについて解説してきましたが、「支給や按分の仕方がやっぱり難しそうだな」「事前のルールづくりや合意形成に高いハードルを感じる」などと、それでもなお、在宅勤務の導入に難しさを感じている方も多いことと思います。

そんな方にオススメしたいのが、サテライトオフィスという選択肢です。サテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ)」は、15分150円からの従量課金制というシンプルな利用体系(複数人で利用する「ZXY Monthly」は最短1ヶ月から契約可能)。通信費や水道光熱費の家事按分などといったことを考える必要はありません。

リモートワーク導入へのハードルを下げる「ZXY(ジザイ)」。これからのニューノーマル時代を生き抜くためにも、こういったサービスオフィスを上手に活用してみるのも良かと思います。
ZXYホームページ