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そもそも健康経営とは?
日本でも、企業の人手不足や長時間労働問題が深刻化していることから、従業員の健康管理の重要性が増しています。更に、政府も健康寿命の延伸や医療費抑制を目的として健康経営を制度面から後押しするなど関心が高まっています。
なぜ健康経営が注目されているのか?
深刻な人手不足
少子化による生産年齢人口の減少で採用活動が難航する一方、心身の不調から休職・退職に追い込まれる労働者もまた増えています。離職率が上がれば人材採用コストがかさむだけでなく、残った従業員に負荷が掛かって疲弊が進み、更に退職者が増える恐れさえあります。
定年延長や年金受給の繰り下げ推進の影響で、高齢になっても働く人は増えていますが、どうしても加齢と共に労災や疾病のリスクは高まります。
そこで、今いる従業員に元気で長い期間働き続けてもらうこと、つまり従業員のヘルスケアが重要だと考える企業が増えてきたのです。
不健康によるコストが問題視されるようになってきた
「欠勤するほどではないが体調がすぐれず仕事がはかどらない」、「眠くて業務に集中できない」そんな経験は誰にでもあるでしょう。このように、「出社していても心身の不調で本来のパフォーマンスが発揮できない状態」をプレゼンティーズムと呼び、企業に大きな損失をもたらしていることが分かってきました。以下のグラフは、健康状態が生産性に与える影響を調査した結果です。
出典)健康経営の推進に向けた取組/経済産業省
健康関連リスクが高いグループは低いグループに比べて、損失コストが1.4倍多く掛かっており、金額にすると30万円もの差が出ることが分かりました。業務遂行に深刻な影響を与えることが明らかになって以降、企業が積極的に従業員の健康増進を推進すべきという考え方が広まってきたのです。
健康保険料の企業負担が増え続けている
健康保険組合の2019年度の経常赤字は986億円に上り、全体の6割は経営赤字になっています。更に、2022年には団塊世代が後期高齢者となり労働者人口がガクンと減って拠出金の負担が増加すること予想されており、保険料率引き上げによって組合解散のリスクが高まることから「2022 年危機」とも呼ばれ課題視されているのです。
赤字を補填するための企業負担が増加すれば、経営にもマイナスの影響を与えます。従業員が病気やケガを患うことなく健康で働き続けることが、長期的な対策になると考える企業が増えてきたのです。
参考)平成 31 年度(2019 年度)健保組合予算早期集計結果の概要等について/健康保険組合連合会
健康経営のメリット
生産性の向上
健康増進に取組んだ結果、1人1人が健康な状態でイキイキと働くことができれば、おのずとモチベーションが上がり、周囲とのコミュニケーションが活発になります。すると、だんだん職場全体の士気が上がり、やがて生産性アップに繋がるという良いサイクルが回りはじめます。また、健康経営を実行している企業はそうでない企業に比べて離職率が低いことが明らかになっています(下図参照)。
出典)健康経営の推進について/厚生労働省(43ページ目)
病気やメンタルヘルスによる休職者が減って定着率が上がれば、生産性アップや業績向上と同時に余計なコストを削減することができます。
企業価値、イメージの向上
長時間労働やワンオペ、過労による自殺、ブラック企業…こんな言葉がニュースを賑わすようになった2010年代以降、労働環境改善の動きが高まり続けています。同時に、求職者側の会社選びの条件にも変化が出てきました。新卒就活生に「働く上で大切にしたいもの」を調査したところ「働きやすさ」が56.1%で第一位と、その傾向は年々強くなっています(下図参照)。
出典)2018年3月卒業予定者の就職活動に関する調査/アイデム 人と仕事研究所
また、健康経営の取り組みを外部に発信することで、社員の健康や職場改善に積極的な会社だと認知され企業のイメージアップに繋がります。更に、健康経営銘柄や健康経営優良法人に認定されれば、投資家評価や採用力の向上も見込めます。
実際に、健康経営銘柄に選ばれた企業からは「学生の認知度が向上し就活生が大幅に増加したり、内定後辞退率が減ったりした。優秀な人材の確保につながっている」「取引先や投資家から『中長期的な成長が見込まれる』と高く評価された」など社外からの反響の大きさを実感する声が多く聞かれているのです。
担当者を悩ませる「2つの問題」
効果を数値で表しにくい
まず、ひとつめは効果を数値で表しにくい点です。健康経営は世界的なトレンドとはいえ、日本ではまだなじみが薄いのが事実。そして、短期的な成果を求めにくい分野ですから、中長期的に生産性が向上しても明確な数値で表すことが難しいのです。経営陣やマネジメント層にその理解がないと、健康経営の企画立案や予算獲得はおろか全社的な風土醸成は難しくなります。下図は健康経営銘柄を選定する際の評価指標です。
出典)選定企業紹介レポート 健康経営銘柄2019
5つある指標のひとつに「経営理念・方針」が挙げられています。その為、最近では社長自らが社内外に向けて「健康宣言」を発表したり、トップダウンで健康経営取り組みを明文化したりするケースが増えているのです。それほどまでに経営トップのコミットメントは重要なのです。
従業員の理解を得て浸透させるのが難しい
健康経営の実現には、なんといっても従業員自身のヘルスリテラシー向上が欠かせません。しかし、健康の問題は個人情報に関わりますから抵抗を示す人も当然いるはずです。禁煙、肥満などの問題もいくら上司や同僚とはいえ、他人からは指摘されたくないものでしょう。その為、「社員が理解してくれない」「参加率が低い」「いつも同じメンバーしか参加してくれない」などと悩む担当者が多いようです。
外部サービスを上手に活用しましょう
軽食提供系
社員食堂よりも安いコストで健康的な食事やドリンクを提供する人気の福利厚生サービスです。社内に専用BOXや冷蔵庫を設置するだけなので管理が簡単なのが特長です。誰にでも身近な食を切り口に健康意識を高められるのも人気の理由の一つでしょう。サラダやヘルシーな総菜を1品100円程で購入できる「OFFICE DE YASAI」や、不足しがちな野菜をスムージーで手軽に摂れる「KIRIN naturals」など、様々な企業から商品が生まれています。
引用)KIRIN naturals
運動系
アクティブな運動系のサービスは、運動不足解消とコミュニケーション創出、どちらの効果も期待できます。スポーツインストラクターがオフィスに出張して、昼休みにスーツのままできる腰痛防止体操などを提供する「東急スポーツシステム」や、アップルウォッチで歩数を計測し、組織対抗で結果を楽しく競い合う「CiRQLE」、最近では「ライザップ」から在宅勤務者向けのオンライン体力UPプログラムが発売されるなど、新しい働き方に対応したサービスも増えています。
引用)東急スポーツシステム/出張プログラム
オフィス環境系
従業員の業務時間を割いて何かするのは難しい場合はオフィス環境を改善するのも良いでしょう。「国土緑化株式会社」ではストレス緩和にも効果的なオフィス用観葉植物を月額約1万円からレンタルできます。
オフィスの香りや音をデザインする新たなサービスも生まれています。例えば、ヤフー株式会社の来客エリアでは上質な天然の香りがほのかに漂います。これはアロマ空間デザインを手掛ける「@aroma」によるもの。その他にも「Sound Design for OFFICE」はオフィス専用BGMサービスを月額5,000円~(+初期費用30,000円)提供しています。雑音をマスキングするだけでなく、音楽を取り入れることで副交感神経を刺激しストレスホルモンを低下させる効能があるそうです。
引用)オフィス向け緑化/国土緑化株式会社
サテライトオフィス系
リモートワークが普及した今、オフィス環境を改善してもその恩恵を受けられない従業員は多くいます。新型コロナウィルス感染防止対策として在宅勤務が長引いた際、心や身体の不調から作業効率がダウンした経験をお持ちの方も少なくないでしょう。また、いくら自社オフィスが良い環境でも日々の長時間通勤や満員電車でストレスと疲れを蓄積してしまえば本末転倒です。
そこで、私たちが提案しているのはサテライトオフィスの活用です。企業が用意した自宅近くのワークプレイスでテレワークできれば、ビジネスに適した環境でストレスフリーに働くことができます。移動や通勤時間が減る分、休息や自己研鑽、家族や友人との時間に使えるようになればワークライフバランスが実現し、いきいきと働ける土台が整えられます。
弊社では東京都下、神奈川、千葉、埼玉など郊外で法人専用サテライトオフィスZXY Shareを運営しています。初期費用・固定費0円、15分150円~の従量課金制で、コストを抑えて生産性を維持しながらリモートワークを実践できます。
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