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「『今知るべき』情報が集まるセミナー」のセミナーレポート

始まった強制テレワーク、各社はどう動いている?

~テレワークや働く場所、今後のオフィスの在り方について~

【後編】ディスカッション

投稿日:2020-06-16

新型コロナウィルス感染対策として在宅勤務が必須となり、テレワークに取り組む人が急増しています。今まさにテレワークに関する知見や事例が蓄積されているタイミングであるとともに、働く場所や今後のオフィスの在り方を考えるターニングポイントに私たちは期せずして立たされているともいえます。
そこで、今回は2社の企業様をお招きして、自社の取り組みや在宅勤務の課題や悩みなどタイムリーな話題についてオンラインセミナーという形式で語っていただきました。同じような悩みを抱える参加者様も多かったようで、この日ご参加くださった200名弱の方からはオンラインセミナーの最中にもチャット上で活発な意見や質問のやり取りがされていました。それでは、当日の様子をご覧ください。

前編では、各社の取り組みについてお話しいただきました。
後編では、在宅勤務中の悩みや質問について、5つのテーマを挙げてディスカッションを行いました。

出社すべき業務、しなくても大丈夫な業務って何?

十川)いきなり難しい質問かもしれませんが、やってみて分かった所を教えていただけますでしょうか?
平戸)出社すべき業務は、最後の最後に残ってるのが契約書、郵便や宅配便の受け取りです。重要な宅配便が1個でも来るとなれば「総務部さんが受け取ってよ」となりますし、部下には頼めないしで悩ましい…。
十川)電話の取り継ぎをツールで仕組み化したのと違って、宅配便受け取りのシステム化は難しいですね。森上さん、いかがですか?
森上)やっぱり請求書など書類関係の業務がある人は出てるな、と。あとは、患者様の個人情報等、セキュリティ上会社のシステムからじゃないと入れない情報を扱う業務がどうしてもあるので、出社しないといけない社員はいますね。
一方で大丈夫な業務は、朝会などの定例ミーティングとかですかね。ファイルの共有をすれば大体は分かるな、と。その辺が対面じゃなくてもよい業務の一つだと思いました。
石崎)事務的なものはチャットやリモートでやれそうな感覚が分かったようですが、できないものは集まってやることも考えないといけないのかな、と。
森上)そうですね。遠隔であるほど空気感や微妙な呼吸感は、今の段階では難しいのかなと感じます。そういう部分については出社なり顔を突き合わせる場が必要だと思います。その頻度をこれから考える所なんでしょうね。
平戸)同じですね。外資系やベンチャー系だとオフィス不要論も出ていますが、自分はそうは思わない。皆で会って考えを言い合える場所は必要。ただ、従来の会議室っていらないんじゃないかな、とか、毎日毎日リアルで会わなければならないとも思わないので、最低限必要な場を用意して、シーンによって使い分けるのがAfterコロナの姿になるのではないでしょうか。

在宅勤務に関するサポートどうしてる?

十川)在宅勤務中の水光熱費や執務環境を整えるのにかかった費用への補助や手当を要望する社員の声にどう応えるべきでしょうか?
平戸)今は在宅勤務にかかる手当を出していませんが…かなり要望は来ていますね。「仕事用のイスを買ってほしい」「光熱費の補助手当を出してほしい」など。ですから、通勤費が減った分を原資として手当を出すのはありかな、と。あとは、例えば什器メーカーと連携して社員に割引価格で提供するとか。
ただ、分散勤務のオフィスを郊外に7ヶ所作ったのも、在宅勤務が難しい人が近くのオフィスで働けるようにという意図もあるので、やはりその辺りでカバーしていきたいですね。
森上)弊社も補助は出してないです。ただ、半強制的に始まってしまった在宅勤務なので「何とかして」と言いたくなる気持ちもわからなくはない。だから、例えば在宅勤務によって残業代が減っていればそこを原資にして対応するのはありかなと思います。でも、弊社の場合、メーカーなので工場に出社しなきゃいけない社員も多い。そことのバランスが難しいんです。オフィスワーカーだけ優遇しすぎると「なんだ?!あいつらばかり」と不満が出るはず。進めるとしても慎重にやらないといけません。

東京研究センター
帝人では本社以外に国内に複数の事業所や研究所を抱えており、在宅やテレワークが難しい社員は少なくない。(写真は東京都日野市にある東京研究センター)
画像引用元≫国内拠点|企業情報|帝人株式会社

強制在宅中の社員のマインドセットの方法は?

十川)健康面での不安や運動不足など、今までのテレワークとは違う課題が出てきていますが、この辺りをどうしようと思ってますか?
平戸)当社で実際にやって良かったのが、部署単位での全員参加のリモート懇談会。人事から約6,000人の社員に対して「一定期間以内に必ず実施してレポート上げるように」とお達しがきたんです。多い部署で30人位、私の部署は7人位でzoomしました。在宅勤務の不満や問題点、良い所、雑談などざっくばらんに話して良いコミュニケーションが取れたと思いますね。マインドセットと言っていいか分かりませんが、おすすめです。
十川)ちょうど良い進捗管理が難しいという話は森上さんもされてましたよね。
森上)そうですね。進捗管理は世の中に沢山ICTツールがあるので“面倒くさくない”ことを優先順位高く選ぶのがいいんじゃないでしょうか。
十川)もともと頻繁な報連相があった組織と、そうでなかった組織と、マッチするツールは違いそうですよね。
森上)あとは、孤立感を感じる人もやっぱり出てますね。私の部署では20人くらいのLINEグループを作って、業務開始終了の連絡をしたり、ゆるい雑談なんかもしています。簡易なコミュニケーションを取るのが良いんだろうなと思って。

執務環境の違いによる社員のフォロー

十川)「自宅だと子どもが騒いで集中できない」、「仕事用のイスや机がなくて疲れる」など人によって在宅勤務中の環境に差が生まれていますよね。
平戸)そうですね。「Aさんは~~だから手当出すが、Bさんは~~だから出さない」という会社判断はできない。だから、ひとつの解決策として自宅近くにシェアオフィスを作って、自宅で働くのが難しい方はそこで働こう、というのが弊社の結論。サードプレイスオフィスを有効活用して仕事できるようフォローするのは、会社の役目だと思います。
森上)ほぼ同じですかね。同じ趣旨で、個人負担なしの自社サテライトオフィスを造りましたので。人によって環境も事情も異なるから、1人1人に完璧なカスタマイズはできないし、「あいつの方が得だよね」と思わせてはいけない。最大公約数的に満足できる制度を探っていくのでしょう。
十川)弊社のZXYもご活用いただきましてありがとうございます。
森上)サテライトオフィスの費用を事業部負担にしている企業もあるようですが、弊社では「全社共通で会社が費用負担するから活用して!」と言ってます。それくらい振り切ってやれば社員も使いやすくなりますよね。

強制リモート期間が開けた後、オフィスはどうする?

平戸)オフィスは現状維持です。総務としてはコストが減れば減るほど良いですが、急激に減らすと環境が悪化しますから。ただ、Afterコロナでは人との距離を取るために3~5割ほどの出社に制限しないといけないかなと思っています。将来的には賃料単価が高いフロアを減らして分散型を増やす方向にスライドしていければ、と。
森上)緊急事態宣言が解除されても、全員が必ず出社するようなスタイルには戻らないでしょう。ただ、ソーシャルディスタンスを考えるとオフィス面積は変えられず、2021年のオリパラまでは少なくともこのままだと思います。長期的に考えると、大多数の社員がテレワークに慣れてテレワークが既得権化するでしょうから、オフィス面積は減ることはあっても増えることはないと予想しています。
石崎)この問題ってすごく気になるんです。テレワーク促進でオフィス面積が減るだろう、とよく聞きますが、面積を減らすことが目的になっていいの?って個人的には思うんです。
オフィスの使い方は変わっていくべきだし、面積の効率化は企業の命題かもしれません。でも、そのせいで快適性が失われたり生産性落ちたりすれば本末転倒。働き方の選択肢が増えてきた中でこれから上手くバランスを取れるようになると良いと思います。

最後に

誰も経験したことのない事態に直面し、どの企業様も試行錯誤のなか進む日々だと思います。しかし、本日のオンラインセミナーでは、この窮地を新たな働き方へのステップアップに繋げようとするたくましさや希望も感じられました。今後もNew Normalへと移行する中で新たな課題が出てくるでしょう。それでも、今回のように意見交換しながらそれぞれの企業にあったソリューションを見つけて行ければと思います。

サテライトオフィスサービスZXY(ジザイ)
ザイマックスでは法人専用サテライトオフィスサービスZXY(ジザイ)を、都心から住宅地まで84か所(2020年6月現在)に展開しています。「時間と場所の制約がある社員に、仕事に集中できるサードプレイスを家の近くに用意してあげたい」、「移動時間や通勤時間を削減し、社員のワークライフバランスの改善を図りたい」そんな想いを抱える企業様をサポート致します。現在、web内覧会を開催中です。ご興味のある方は、ぜひお気軽にご参加くださいませ。
ZXY(ジザイ)HPはこちら

スピーカー紹介

株式会社ザイマックス不動産総合研究所
主任研究員
石崎真弓

リクルート入社後、リクルートビルマネジメント(RBM)にてオフィスビルの運営管理や海外投資家物件のPM などに従事。2000年RBMがザイマックスとして独立後、現在のザイマックス不動産総合研究所に至るまで一貫してオフィスマーケットの調査分析、研究に従事。近年は、働き方と働く場のテーマに関する様々な調査研究、情報発信している。詳しくはこちら


スピーカー紹介

NECネッツエスアイ株式会社
総務部オフィス管理グループ グループマネージャー
平戸健二

1995年入社。人事部に配属となり、人事制度、採用、労政など人事業務全般を経験した後、2010年の本社移転時に総務部へ異動となり、不動産・オフィスの管理・運用業務に携わる。2019年からのオフィス改革プロジェクトにおいてはPMOの1員としてオフィスの構築、働き方改革に取り組んでいる。


スピーカー紹介

帝人株式会社
人事部労政グループ 兼 業務変革推進室
森上正和

2006年新卒入社。一貫して人事・勤労系のキャリアを積んでおり、これまで事業所の人事勤労、本社での制度企画・運営、労使交渉窓口、人事システム再構築PJなど、様々な業務を担当。2017年より働き方改革推進部署に参画。テレワークなど制度自体の設計・運営の他、RPA・チャットボットなどITツールの活用推進にも取り組んでいる。


モデレーター紹介

株式会社ザイマックス
ジザイワーク事業部
十川咲

2015年ザイマックスグループ新卒入社。当初は同グループ会社のザイマックスインフォニスタにて賃貸仲介営業に携わっていたが、2016年に現部署へ。その後、主に会員化営業に従事しつつ拠点出店やセミナー企画なども担当。利用会員のテレワーク事情をヒアリングして得た様々なノウハウをセミナー等で積極的に発信も。

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