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「【ミクシィ社・ラック社登壇】『コロナ禍の働き方・場所』を考えるセミナー」のセミナーレポート

『コロナ禍の働き方・場所』を考えるセミナー
~ウィズコロナからアフターコロナに向けて働く場所はどう変わる?~
【前編】

投稿日:2020-10-15

終わりの見えないウィズコロナ期を見据えて、新しい働き方や働く場所の在り方を模索する状況が続いています。今回は、オフィス戦略に積極的に取り組まれているミクシィ様と情報セキュリティ分野のパイオニアであるラック様をお招きしてオンラインセミナーを開催致しました。

前編では、各社の取り組みをご紹介します。

WITH/POST COVID19 働き方とワークプレイスの変化を追う

スピーカー紹介

株式会社ザイマックス不動産総合研究所
主任研究員
石崎真弓

リクルート入社後、リクルートビルマネジメント(RBM)にてオフィスビルの運営管理や海外投資家物件のPM などに従事。2000 年RBMがザイマックスとして独立後、現在のザイマックス不動産総合研究所に至るまで一貫してオフィスマーケットの調査分析、研究に従事。近年は、働き方と働く場のテーマに関する様々な調査研究、情報発信している。
働き方×オフィス特設サイト https://soken.xymax.co.jp/hatarakikataoffice/



私の方からは、Postコロナに向けた働き方とワークプレイスの実態、今後の方向性について、首都圏のクライアント企業への調査を元にお話し致します。

現在、出社率を制限しながらテレワークを併用している企業が多いかと思います。アンケートをとった8月時点では出社率の目標を3割または5割に設定する企業が多いものの、実情は目標値を上回って出社しており、完全出社に戻った企業も1割を超えました(下図左)。
ちなみに、将来的には出社率を5割目標に設定する企業が一番多く、次いで10割となっています。(下図右)
出社率の変化

出社に関するルールでは、時差出勤推奨が一番多く、次いで、職種等により判断、部署に運用を委ねる、ということで、臨機応変な運用を部署ごとに任せている実態が見えてきました。(下図左)
また、約9割の企業が在宅勤務を含むテレワークを実施した中で、約4割以上の企業がサテライトオフィスを導入しており、そのうち約15%はコロナ危機がきっかけで導入したことが分かりました(下図右)。
出社ルールとテレワーク実践状況

ワークプレイス運用の課題については、マネジメントが難しい、ハンコ文化、ペーパーレス対応が不十分、生産性低下リスクなどのテレワークに関する困りごと抱える企業が今も多いようです。(下図左)
コロナ収束後の働き方の意向を尋ねたところ、出社派が4割、テレワーク派が3割とほぼ二分されました。(下図右)オフィス面積の意向は縮小希望が30%を超える一方、拡張希望は3%ほど。やはり縮小がメインで、特にテレワーク派の企業ではその傾向が特に強いようです。とはいえ、出社派の企業でもオフィス効率化や縮小も含めて検討している様子が見えました。
今度の働き方

最後に、今後のオフィスの方向性についてです。
半数以上がメインオフィスとテレワークの使い分けを考えており、これを私どもでは「ハイブリッドオフィス戦略」と呼んでいます。その上で、テレワーク拡充とオフィス縮小の明確な意向を持つ企業が増えています。
また、オフィス自体も従来通りの運用に戻るのではなく、感染症対策に配慮したりフレキシブルなレイアウトに見直したりするなど、変更の意向が見られました。
コロナ終息後の働き方とワークプレイス

新型コロナ対策とこれからの働き方

スピーカー紹介

株式会社ミクシィ
執行役員 人事本部長
柳本修平

株式会社NTTドコモを経て、2008年5月株式会社ミクシィに入社。SNS mixiのサービス企画、経営企画、アドテクスタジオなどを経験後、2015年10月よりXFLAGスタジオにてWeb広告の出稿、デジタルマーケティングを担当。2016年7月XFLAGスタジオ本部 人事戦略室の室長に就任。
2018年4月、当社執行役員人事領域担当。2020年4月 執行役員 人事本部長就任(現任)。



当社では、リモートワークほぼ未経験の状態から、コロナをきっかけに変わっていった働き方の経緯や背景についてご紹介したいと思います。

ミクシィ社のご紹介 ~フォー・コミュニケーション~

人事の業務は会社の事業戦略と紐づくものですから、まずは当社のご紹介をさせていただきます。
ミクシィというとSNS「mixi」のイメージが強いと思いますが、実はそれ以外の事業も沢山あるんです。
ミクシィ事業内容
例えば、現在の事業の大きな柱であるスマホアプリ「モンスターストライク」の他、最近ではスポーツ領域にも参入していて、プロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」の運営や、競輪のライブ配信と投票が楽しめる「TIPSTAR(ティップスター)」など幅広い事業を展開しています。
当社のミッションは「フォー・コミュニケーション」。すべてはコミュニケーションの為に、という意味です。
様々なプロダクトがありますが、どれも人と人とのコミュニケーションに重きを置いているのが特徴です。例えば、「モンスト」は開始当初は他になかった4人で協力プレイする設計にしていますし、SNS「mixi」も友達を招待することで爆発的な人気となりました。複数人でワイワイ盛り上がれるとか招待性で広まるとか、コミュニケーションを大事にしてきた会社です。

その理念はオフィス設計にも反映されていて、3月に移転したばかりの新本社には、コラボレーションスペースといって社内外の人や他部署の人とくつろぎながら打ち合わせしたり語り合ったりできる場所があったり、執務スペースの至る所にミーティングスペースがあるのが特徴です。
ミクシィオフィス写真
渋谷駅直上の渋谷スクランブルスクエアにオープンした新本社。偶発的なコミュニケーションからアイデアやクリエイティブに発展する仕掛けが随所にある。

新型コロナウィルス対応

次に、新型コロナウィルスの対応についてです。
2月下旬、クルーズ船で集団感染が発生した頃に、これはもしかしたら大変な事になるかもしれないと感じ、社内でコロナ対策委員会を発足しました。

ちなみに、それまで当社は毎日出社が基本で、リモートワークの検討はしていたものの経験はありませんでした。そんな中、翌3月4日には長期的なリモートワークを想定して全社一斉リモートワークテストを決行しました。ただ、当時は東京都の感染者数は少なかったので、社内の反応は冷ややかでしたね。「この忙しい期末に本当にやるの?!」「面倒!」なんて意見も。でも、結果的にはこのおかげで、後の対応がスムーズにできたわけです。
出社率を見てみると、4~5月の原則リモートワーク期間中は5%ほど。その後、感染状況が落ち着いてリモートワーク推奨期間となった6月以降でも20%くらいは出社していました。
感染状況に対応した勤務様式の変化
感染状況に対応した勤務様式の変化。※薄いグレーの棒グラフが東京の感染者数。

コロナ禍での補助制度

そして、働き方が変わったなら会社はそれを支援するべきだろう、ということで補助制度を急ピッチで整えていきました。
特徴的なのは、全社員への環境構築支援費22,000円をリモートが始まってすぐに支給したことでしょうか。
3月のリモートワークテスト後に「モニターがないのが不便」という意見が一番多く、従業員1,000人以上のモニターを会社から発送する手間や故障のリスクを考えると、各自で購入してもらう方が早いと判断した為です。これはテスト段階で既に判断していたからこそ、意思決定が早くできたのだと思います。
その後、家にインターネット環境がない人など、環境構築支援費だけでは賄えないケースも出てきましたから、直接雇用の全従業員にコロナ特別賞与50,000円を6月に支給しました。

このようにスピーディに動けたのには、柔軟性と独立性を持ったコロナ対策委員会の存在と、事前のリモートワークテストの存在が大きかったと思います。

出社とリモートの長所を混合する「マーブルワークスタイル」

コロナ対応として始まったリモートワークですが、いざやってみると従業員も役員も肯定的な反応でしたので、感染者数が落ち着いてきた7月以降も出社とリモートを併用していくことに決めました。

理想的なリモートワーク頻度をマネジメント層にヒアリングした結果、7月はオフィス出社を最低週2日、リモートは最大週3日まで可能と定めました。この新しい働き方を、出社とリモートの良い所を生かしたまま混ぜあわせる、という意味を込めて「マーブルワークスタイル」と名付けて社内広報しました(下図左)。
マーブルワークスタイル
(左)ミックスするのではなく、各々の良い所を生かしたまま混ざり合うのがマーブルワークスタイルのイメージ。(右)6~8月の勤務様式の変遷と出社率の推移。

しかし、マーブルワークスタイルを始めた矢先にコロナ第2波が到来し、8月からは週4日リモート推奨に再度変更しました。それでも出社率を見てみると、8月は4割(上図右)。厳しく出社率を管理しているわけではありませんが、出社したい人がそこそこいるんだなという肌感があります。

リモートワークの懸念とこれから

以上のような経緯で始まったマーブルワークスタイルですが、徐々に課題が見えてきました。
まず、働く場所を選択できるようになって生産性がどう変わったかアンケートを取ったところ、メンバー層の46%は生産性が上がったと回答した一方、マネジメント層でそう答えたのは24%にとどまりました。このズレの原因は何なのか?解明したいと思っているところです。(下図左)
リモートワークのこれから

以上を踏まえて今後の課題としては大きく3つ挙げられます(上図右)。
1つ目は、オンボーディング。
気心が知れていない中でリモートワークをやるのは難しいところがあります。原則リモート期間が終わった後、今春入社の何人かから「出社できるようになって本当に良かった!!」と安堵の声がかなり聞こえてきました。
2つ目は、創発的取り組みと文化浸透。
オフィスにいればちょっとしたきっかけでコラボレーションが生まれるのに、それが消えてしまうのが難しい。また、一口にコミュニケーションといっても社内では独自の考え方があって、その定義も細かく分かれているんです。リモートだと、それが体感として理解できるだろうか懸念しています。
3つ目は、主体性、上流工程への関わり。
アンケートを見ていると、どうもマネジメントの負荷が大きくなり、部下からしたら上流に情報を取りに行くのが難しい状況ができてしまっているように感じています。
まだ始まったばかりのマーブルワークスタイルですが、これから適切な働き方を作っていきたいと思います。

Withコロナの働き方とオフィス

スピーカー紹介

株式会社ラック
人事部 業務変革推進室 室長
向山暢彦

2008年より拠点集約、増床などのファシリティ関連業務を主としつつ機関運営など総務業務全般を担当し、現在は業務変革推進担当としてRPAやOffice365等を使った業務自働化、並びにオフィス施策に携わる。



ここ数日、オフィスに関するニュースが立て続けに発表されています。一例として、オフィス賃料が6年8ヶ月ぶりに下落し、空室率が3%台に上昇する中、人材派遣大手パソナの淡路島への一部オフィス移転や、スマートシティを見据えたソフトバンクの新本社ビル開業等々。
本日のセミナーでは、これから冬にかけて感染の第三波が予想される中での当社の取り組み、今後のオフィスなどをお話しできればと思います。

コロナ禍でのテレワーク実施状況

株式会社ラックは1986年システム開発会社として設立、特に情報セキュリティ分野では国内でも最古参の企業であり、現在、国内外に9つの事業所と約2,200名の従業員がおります。
当社では3月26日に原則出勤停止の全社指示が出たのを皮切りにコロナ対応が始まりました。
職種によって差がありますが4月末時点では7割~9割の社員がテレワークを実施しました。業種柄、システム開発、保守サポート業務でお客様先のオフィスに常駐しないといけない社員がおり、当社の一存で在宅勤務に切り替えられない所もありましたが、お客様のご理解、ご協力を得て当該業務においても在宅率7割まで改善した背景があります。
現在も全社平均で約7割弱が在宅勤務を続けています。

原則在宅勤務スタートから約2か月後の5月末に行ったアンケートでは、
約90%の社員が生産性向上を実感し、約75%は意思疎通がスムーズにできたと回答しています。コミュニケーションに支障が出たと回答した社員も18%いましたが、おおむねスムーズにテレワークに移行できた印象です。
では、なぜできたのかというと、
①クラウドファースト
②モバイルファースト
③BCP の3つをポイントとして2010年頃から進めていた取り組みがあったからだと思います。
NECのテレワーク状況

働き方改革に関連する取り組み

ここで2010年から始めた当社のICT化と働き方改革についてご紹介します。
コロナ前の働き方改革
第1期として、モバイルPCの配布や、リモートアクセス環境整備、ならびに決裁WF導入などによるペーパレス化に取り組みました。
第2期は、グループ会社を含め本社統合したタイミングで、オフィス内の無線化、複合機をどこでもプリントにするなどオフィス内での執務場所の縛りからの解放、Web会議サービスの導入などに着手。2011年の東日本大震災後には、ガラケーからiPhoneに変更し一定の社内手続き、情報共有はiPhoneで処理可能とし、そのほか安否確認サービスの導入、システム面でもクラウド化を進めるなどしてきました。
第3期は、働き方改革の号令の下でさらに取り組みを加速してサテライトオフィスの導入や、クラウド化を更に進める為にOffice365への切り替え、リモート環境でのSSL-VPN導入などを行いました。
この段階でテレワーク・在宅勤務ができる環境は整っていましたが、実際には毎日オフィス出社を基本としていました。

在宅勤務を支援する取り組み

コロナ禍の取り組みとして以下のようなことを実行しました。
課題と対応
幾つかポイントを挙げますと、
・毎朝スマホから安否確認を実施、会社支給のiPhoneには接触確認アプリ(COCOA)を全員インストール(①、②)
・原則リモート開始後すぐに、モニターの自宅発送と全社員に特別支援一時金3万円を支給(③、⑧)
・自社取扱製品の「TeamViewer」や「顔認証覗き見ブロッカー」を活用したテレワーク円滑化(④、⑤、⑥)
などに現在まで取り組んできました。

中長期的なオフィス戦略と本社のあり方

ここからは私見になりますが、将来的なオフィス戦略についてお話しします。
1)オンラインネイティブ世代の到来
前提としてテレワークはどの企業でも必須になるはずです。
例えば、10~20年後、オンラインネイティブ世代が入社する未来を想像してみてください。競合他社、同職種がテレワークできているのに、できない企業をわざわざ志望するでしょうか?採用の面において当然ながらどの企業も対応しておく必要があるでしょう。

2)災害時の事業継続性
個人的には一番大きい課題として認識しています。発生が確実視されている首都直下型地震で、帰宅困難者発生や火災、津波にまで襲われる前提で考えた時に、再びオフィスに出社しないと事業継続できない、オフィスという場所に依存した体制に戻しますか?そう考えると、テレワークの導入・移行は不可逆的なのではないかと思います。

3)オフィスの都市公園化とソーシャルコンテンツ化
それでは、withコロナ時代のオフィスの役割とはなんでしょうか。
それは、オフィスの都市公園(シンボル)化オフィスのソーシャルコンテンツ化ではないかと考えています。

まず、都市公園(シンボル)化とは、オフィスは都市における公園のような役割、つまり企業の象徴的なものになると思っています。例えばニューヨークだとセントラルパークのように、誰しもが共通してイメージできて、更に文化を育み人々が各々の目的に応じて自然と集まる場所が、企業にとってのオフィスという位置づけになるのではないでしょうか(下図参照)。採用やエンゲージメントに訴求し、テレワークで不足しがちな空気感や第六感を肌感覚で得られる場所。こういう機能に特化すれば、おのずと必要な面積は減ってくると考えられます。
オフィスの都市公園(シンボル)化

次に、ソーシャルコンテンツ化とはどういうことでしょうか。
従来は、立地と設備(スペック)が不動産の価値を大きく左右していました。しかし、2011年の東日本大震災を受けて2016年頃からBCPを重視した新築ビルが増えてきました。これを踏まえると、数年後にはコロナ対策やウェルネス対応、IoT対応したビルが出てくるかもしれません。(下図参照)
オフィス戦略や本社の在り方
さらに時間軸を進めて将来的にはハード面からソフト面を重視したオフィスが登場し、「ソーシャルコンテンツ」がオフィス選びの条件の一つになる時代が来るかもしれません。ソーシャルコンテンツとは私の造語ですが、バックオフィス部門も含めたテナント間の情報共有や事業連携をビルオーナーが促すサービスを意味します。
あくまで想像ですが、多くのテナント企業から連携を望まれるような人気企業はその不動産業者(オーナー)が供給するビルの付加価値となり、当該人気企業は企業規模に関わらず対オーナーに対し契約条件面で交渉力を持つような時代が来るかもしれません。

最後にお知らせです。当社ではテレワークを実施するにあたっての諸課題と対策、そしてテレワーク導入によるセキュリティリスクと対策などを網羅的に一冊にまとめた「テレワーク導入便覧」を公式HPでダウンロード配布しています。ご興味のある方は是非「LAC WATCH」で検索してみて下さい。
テレワーク導入便覧

後編へ続く

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