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株式会社ミクシィの働き方改革事例(前編)

リアルなコミュニケーションを増大させる新オフィス

投稿日:2020-09-03  最終更新日:2020-09-03  取材日:2020-08-05

株式会社ミクシィが取り組んだ事

  • 気軽な交流やコラボを自然に促すオフィス
  • クリエイティビティを支援する最先端設備
  • どこよりも快適で働きやすい空間設計
  • 会社規模

    1,080人

  • 業種

    情報通信業

  • 対象職種

    全社員

渋谷の新たなランドマークとなった、渋谷駅直上・直結の超高層ビル「渋谷スクランブルスクエア」。2020年3月、ここに国内SNSのパイオニア「mixi」や人気スマホゲーム「モンスターストライク(以下、モンスト)」などで有名な株式会社ミクシィが本社を移転させました。同社のコーポレートミッションである「すべてはコミュニケーションのために」を空間設計に落とし込んだ新オフィスには、交流を促す今までにない仕掛けや工夫があちらこちらに施されています。今回は新オフィスのレポートに加えて、移転の背景や今後のオフィス戦略についてもお話を伺いました。

コミュニケーションを強化し、新規事業創出を狙う

早速ですが、移転をされた経緯から教えていただけますでしょうか。

嵯峨)はい。当社では、スマホゲーム「モンスト」のヒットをきっかけに人員拡大を続けてきました。そのため、5年前くらいからオフィスが手狭になってしまって。本社近くに分室を作ってなんとか乗り切るのと同時に、2017年頃から移転プロジェクトを始動させました。

ちなみに、今の事業の中心はモンストなどのスマホゲームですか?

嵯峨)売上の約9割がゲームを含めたデジタルエンターテインメント事業ですね。

盛衰が激しいスマホゲーム業界で7年間もヒットが続いているのはスゴイですよね。

嵯峨)ありがとうございます。やはり、コミュニケーションに特化した点が強みだと思います。
モンストの特徴はリアルで集まってプレイするのが楽しい設計や、友達と話題にしやすい仕掛けが沢山あるところ。オンラインでやり取りしながら遊ぶゲームは他に沢山ありますが、やっぱり実際に一緒にプレイする方が、喜びとか盛り上がりの熱量が高まるんですよね。
これにはmixiで培った経験が活きているんだと思います。
もちろん今はコロナの影響もあり友達と会ってプレイするのは難しい部分もありますが、こういう時期だからこそ家族でプレイしている人もいたり、離れた友人などともプレイする機能もありますので、引き続き楽しんで頂いています。

嵯峨勇様
はたらく環境推進本部 せいかつ環境グループ リーダー 嵯峨勇様

mixiは、当時とても画期的なサービスだったのを覚えています。

嵯峨)そうですね。インターネット初心者でも日記を投稿したり、コミュニティで交流ができたりするのは、ほぼ国内初のコミュニケーションサービスでした。だから、コミュニケーションを活性化する強みが当社にはあると思うし、これからもやり続けるべき所だと思っています。
「コミュニケーション」というキーワードは、この新オフィスでも重要な要素です。より豊かなコミュニケーション体験をお客様に提供するために、自分達自身が良いコミュニケーションを再構築したい、というのも移転の大きな理由のひとつ。移転前に借りていた分室は本社のすぐ近くにありましたが、移動は少なからず負担になっていて交流機会の喪失につながりかねない危機感がありましたから。
そういう経緯もあって、新オフィスのコンセプトは、会社のミッションと同じ「For communication(=すべてはコミュニケーションのために)」と定めたんです。

3つのUPを掲げた、新オフィス

では、新しいオフィスについて教えていただけますか。

嵯峨)はい。まず、商品を生み出す時に、どんなコミュニケーションが楽しいのか、社員自身がそれを体験できるような、生み出す側としてふさわしいオフィスにしたいという思いがありました。そこで、新オフィスの特徴を3つのUPとして掲げました。

特徴①Meet Up 「何かを一緒にするために会う」

嵯峨)1つめはミートアップ。出会える場所を沢山増やしましょう、と。社内外の人と気軽にコラボできる空間や導線設計を重視しました。
9フロアを連続で借りているのですが、エレベーターではなく内階段で自由に行き来できる構造にしているのが大きな特徴です(写真左)。往来の多い階段近くにはミニコラボスペースや休憩エリアを設けて、偶発的な出会いや雑談ができるようにしました(写真中央)。
ガラス張りで眺めが良い窓際にはオープンエリアを配置して、ふらりと立ち寄ってカジュアルに話せる予約不要なMeet Up スペース(写真右)を設けています。

ミクシィ内階段
(左)内階段。非常階段と違って扉がなく気軽にフロア移動できる。(中央)内階段のすぐ隣にあるミニコラボスペース(右)オープンエリア。固定席とは気分を変えて作業や会話ができる。

内階段が重要なポイントなんですね。

嵯峨)すごく大事です。誰かに会うためにわざわざエレベーターを待たなきゃいけないとなると、コミュニケーションを面倒に感じてしまうおそれがあると考えたからです。

35階はかなり開放的な雰囲気ですね。

嵯峨)35 階には食堂やカフェがあって、社員が休憩するだけでなくて社外の方とも打ち合わせしたり、一緒にランチしたりイベントを開催したり多用途に使えます。その為にプロジェクタやマイクなど完備していますし、ちょっとした打ち合わせや仕事ができるように広いテーブルや1人席も設けています。
36階は総合受付とフォーマルな会議室がメインなのに対して、35階はもっと近い距離感でラフなコミュニケーションが取れるような設計にしました。植栽を多めにして、ソファやパラソルなどリラックス感を演出しています(写真左、中央)。出会いが生まれるのを期待して、あえて迷いやすいような導線設計にしているんですよ。

オフィスの中にスタジオもあるんですか?!

嵯峨)はい。コラボレーションもポイントのひとつにしていて、ゲーム内の音楽や声優によるセリフ撮りができるサウンドスタジオと、動画やスチール撮影ができる撮影スタジオ(写真右)を社内に作りました。外部のスタジオをわざわざレンタルすることなく、何か思いついたらすぐにアウトプットできるのは大きなメリットですね。

ミクシィ撮影スタジオ
(左)公園をイメージした35階のコミュニケーションエリア。同じ階に社員食堂とカフェがあり社外の人と一緒にランチしながら打ち合わせもできる(中央)サウンドスタジオ(右)写真や動画撮影、モーションキャプチャなどの配信ができる最新機材が揃ったスタジオ。

特徴②Switch Up 「メリハリを付けて働けるオフィス」

2つめの特徴、Switch UPとは?

嵯峨)仕事と休憩を切り替えてメリハリある働き方ができるような執務スペースを意識しました。
机がずらりと並ぶ執務スペースや、気分転換できるゆったりした窓際のソファスペース(写真中央)、周囲を遮断して集中作業できるフォンブース(写真右)など。目的に応じて使い分けられるように色々な空間を用意しました。

固定席の机の高さがバラバラなのはなぜでしょう。

嵯峨)はい。サテライトオフィスで利用していた昇降式デスクを全台で導入しました。従業員が好きな姿勢で作業ができるようになり、各自でデスクと椅子をカスタマイズしています。さらに、椅子に座らずに立って作業をする従業員も思った以上におります。(写真左)。デスクはゆとりを持って使えるように、これまでのスタンダードだった幅1,200mmよりひと回り大きい1,400mmを採用しています。

ミクシィオフィス
(左)自由に高さを変えられる昇降式デスク。(中央)渋谷の街を一望できる窓際に設けたソファスペース。床をよく見ると、窓際だけは苔がむした石畳風のデザインになっているという細かい演出が。(右)防音仕様のフォンブース。1人用と2人用を用意。

ABWの考え方に近いオフィスですね。

嵯峨)そうですね。今までオフィス移転を繰り返すうちに知見が蓄積して、従来の島型よりもABW的なオフィスの方が人気だし効率的に使えると感じたので。今回は固定席以外にフリー席を窓際にかなり沢山用意しました。

移転前からABWに似たようなことを取り入れていた、と。

嵯峨)意識はしていませんでしたが、結果さえ出せれば自席以外で働いていてもかまわない、という社風ですから。固定席はありつつも、そこだけで仕事しなくていいよという感じは元々ありましたね。

固定席とフリーアドレスの良いとこどりのようなイメージですね。

嵯峨)そうかもしれません。ただ、フリー席が多いと誰がどこにいるか分かりづらいので、固定席に電子名札を付けました。(写真中央)

電子名札?どんな仕組みなんですか?

嵯峨)Kindleとかと同じ電子インクの仕組みで、席替えやレイアウト変更があってもすぐに変更できるメリットがあります。

名札があれば初対面同士でも声を掛ける心理的ハードルがちょっと下がりそうですね。

嵯峨)デジタルサイネージの座席表(写真右)とも連動していて、例えば、企画職の社員が「経理の〇〇さん、どこかな?」と迷った時でも、誰がどこに座っているか確実にひとめで分かります。

新入社員にも優しい仕組みだと思います。

嵯峨)確かにそうですね。これだけ社員数が多いと顔と名前が一致しないこともよくありますから。

ミクシィオフィス電子名札
(左)固定席が並ぶ執務フロア。役員も社員と同じくここに机を並べて仕事する(中央)机の電子名札(右)座席表が表示されたタッチパネル「KIOSK」

1on1専用の部屋があるんですね!

嵯峨)頻繁に1on1をするので以前からニーズが多かったんです。でも、以前は会議室が満室で使えない事がよくあったので、今回、1on1部屋(2名用会議室)は多めに配置しました(写真左)。

ヘルプデスクはカウンター型になっているんですね。

嵯峨)はい。ここでパソコンの不具合や備品手配など困りごと全般に社内システム部門が対応します。Slackでもやり取りはできますが、顔を見てやり取りする方が早いこともありますし、気軽に声を掛けてもらえるように敢えてカウンター方式にしました。(写真中央)

ミクシィヘルプデスク
(左)1on1専用部屋(中央)総務系部署が座る手前にヘルプデスクカウンターを設置(右)IT備品等がすぐ手に入る自販機

特徴③Dream Up 「サプライズを生み出す」

御社の受付の巨大なLEDパネルの映像は驚きました。

嵯峨)ありがとうございます。当社のステートメント『ユーザーサプライズファースト』を体現するため、こんなふうに驚きを与えられるような空間や設備をところどころに配置しました。

壁にスマホの画面が映っているのは何の部屋ですか?

嵯峨)壁が大型LEDディスプレイになっていて、画面を4分割して実際のゲーム画面を投影してプレビューしたり、プレゼンに使ったりできる「デシジョンルーム」という部屋です。(写真右)

ミクシィオフィスエントランス
(左、中央)エントランスには幅24m×高さ2.7mの巨大 LED パネルを設置。大迫力の存在感と映像美に圧倒される。(右)デシジョンルームの様子。

他にも特徴的な設備があれば教えてください。

嵯峨)例えば従業員用マッサージルーム(写真左)でしょうか。マッサージ師が常駐していて事前予約制で1回30分利用できます。あとは大型セミナールーム(写真中央)。最大108名収容できるので新作発表会やイベントなども社内で開催できます。

ミクシィオフィス
(左)すぐ予約が埋まるほど人気のマッサージルーム(中央)定員の異なるセミナールームを2部屋設置。可動式の壁があり人数によって部屋の広さを変えられる。(右)オフィス内でミクシィ専用ローソンが営業中。路面店と変わらない品揃えでとても便利。

ちなみに、本当はやりたかったけれど諦めたアイデアはありますか?

嵯峨)諦めたのは、スポーツジムと学童施設ですね。ジムは衛生管理面が難しくて、保育は高層ビルに設置するには建築基準法の規制がかなり厳しくて断念しました。

こんなに膨大な仕掛けをどうやって実行に落とし込んでいったんですか?

嵯峨)基本的には、今までの移転プロジェクトメンバーに知見や経験があるので、案を出しながら設備や法令上のすり合わせをし、経営陣と意見交換しながら進めていきました。

移転プロジェクトには現場の社員も参加した?

嵯峨)どこからを参加と言ってよいのか迷うのですが、本当はやりたかったアイデアのところで出ていた学童施設を検討するにあたり、お子さんがいらっしゃる従業員の方に協力してもらいヒアリングを行いました。結果的に導入には至らなかったのですが、実際にお子さんのいらっしゃる方から様々な実情や懸念・理想などを直接話を聞けたのは大変参考になりました。

最後に、今後のオフィス戦略で考えていることがあれば教えてください。

嵯峨)事業が幅広いですし、数年先に何のサービスがどうなっているか予測が難しい業界ですが、やはりwithコロナがキーワードになると思います。移転前は人員拡大を想定した上で、一人当たり2.5坪と計算して座席数を決めましたが、今後出社率が減っていくならば空間が余る可能性もあります。それをどんな風に活用するのか検討を進めていきたいと思っています。

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オンラインコミュニケーションが定着しオフィスを手放す企業さえ出てきた昨今、敢えて豊かなオフィス環境に投資をしてリアルなコミュニケーションにこだわり抜く空間設計がとても印象的でした。後半の【働き方編】では、withコロナ時代のテレワークと出社のバランスや、コロナ禍での社員支援などについてお話を伺います。ハード面で重視されていた「For communication」の理念が、就業環境や制度などソフト面ではどのように反映されているのか、是非ご覧ください。
【働き方編】はこちら

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今回協力して下さった企業様

株式会社ミクシィ

設立
1999年6月
本社所在地
東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア
事業内容
スマホゲームを中心としたゲームの提供、プロスポーツチーム運営及び公営競技ビジネスの推進、インターネットを活用した人々の生活に密着したサービスの提供等
従業員数
1080名(連結・正社員のみ)(2020年6月末現在)
Webサイト
https://mixi.co.jp/

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