化粧品を中心に、美と健康に寄与する事業を展開するポーラ・オルビスホールディングスでは、グループ全体が掲げる理念に則った働き方改革が進行中です。ダイバーシティや生産性の向上など、言葉だけ聞けばよくある取り組みですが、ポーラ・オルビスホールディングスらしいこだわりをプラスすることで、全社員が分け隔てなく使える制度の実現をめざしています。独創的なグループ理念やメッセージ性の高い企業テーマにも注目です。
INDEX
改革のミッションは、グループ理念を体現すること
御社が働き方改革に取り組み始めた時期、きっかけを教えてください。
働き方を見直そうという話は昔からあったのですが、特に3年ほど前から盛り上がってきたように思います。やはり事業を行う上で働き方改革は必要だという声が社内で広まってきたんです。
実際には、どういった取り組みを?
弊社の場合、企業としてやらなければならないことを大きく3つ掲げております。1つ目が最も大きく、他の2つを内包するものなのですが、「
2つ目が「
3つ目は「
感受性のスイッチを全開にするにはどうしたらいいか、ということが一つの焦点ですね。
はい。「感受性のスイッチを全開にする」という理念には、さまざまな解釈があると思うんです。たとえば日ごろの感受性を高めることであったり、お客さまの感受性を高めることであったり。では、
すると、グループ理念そのものが働き方改革の軸になっているわけですか?
はい、グループ理念を体現するためにこの働き方改革を掲げているといえますね。ダイバーシティも推進し、生産性も向上させたい、何よりも我々のグループ理念を体現したいという気持ちが強かったです。また、ポーラのテーマのひとつになっているのが、「常に新しい価値を見出していくこと、生み出していくこと」。
取り組み自体も、グループ全体のものとポーラさん個社としてのもの、両方あるのですか?
そうですね。ホールディングスとして働き方改革をやっていますが、
では、3つの指針「グループ理念の体現」「ダイバーシティ」「生産性の向上」を打ち出したのはどのタイミングだったのでしょうか。
働き方改革が本格的に始まったときに、我々は何をしなければならないのかという議論になりました。
活用率を上げるための“こだわり”とは?
御社のホームページに、2018年3月にリモートワーク制度を導入とありますが、具体的にはどのような取り組みをされたんですか?
会社以外で仕事をすることを、当グループとしては初めて仕組み化したというものです。今日の我々のように出社して勤務することも当たり前ですが、例えばある日、「今日は自宅でパソコンを使って仕事します」「今日は外出先近くの図書館で仕事します」ということを可とした仕組みです。
我々なりにこだわったのは、まず
自分を律して働くことができる社員であれば可ということですね。
そうですね。あと、
ちなみにリモートワークというのはホールディングスの中での名称でして、ポーラですと「
在宅に限定することもできたんですけど、人それぞれ働きやすい場所って違うと思ったので、そうしませんでした。たとえば自宅が落ち着かない人は近所のカフェに行ってもいいし、カフェが落ち着かない人は図書館に行ってもいいし。場合によっては外出先から会社に戻って来ずに、カフェにいてもいいですよ、と。あくまで在宅ではなくてリモートワークというところがポイントかなと思います。
ほかにもこだわりはありますか?
あとは、
事由を限定しない理由は何でしょうか。
リモートワークについては、社員向けに説明会を行いました。そこでは、育児している方、介護している方だけでなく、理由がない方もぜひ制度をお使いくださいと話しました。
社員のみなさんには、どの程度浸透していると感じますか?
ホールディングスの場合、
ホールディングスさんとポーラさん、その他グループ会社さんとの間で、運用の進め方はどのようになっているんですか?
ホールディングスがリモートワーク制度を始めたのが2018年の3月なのですが、その結果を見てからポーラが正式に導入した形です。
ほかにもグループ会社がありまして、たとえば「THREE(スリー)」というブランドを展開するACRO(アクロ)では、ホールディングスの制度を少しアレンジした形で運用され始めていますし、敏感肌向けのブランド「DECENCIA(ディセンシア)」も、元々のものをベースに自社で制度を考えました。こうした仕組みを徐々にグループ内に広げられている状態です。もちろん、ホールディングス個社だけよくなっても我々の本意ではないので、
生産性の向上がなければリモートワークも意味がない
リモートワーク推進の前段階として、アンケートを取ったりなどはされたんでしょうか。
取りました。制度を始める前に、ホールディングス内で、ポーラともにトライアル運用を実施したのですが、その後、
結論から言うと、
マネジメントの面では、どうやって部下を見てあげるかとか、新入社員をどうやって教育していくかが課題になると思いますが、そのあたりはどのように考えていらっしゃいますか?
マネジメントに影響があるかどうかは、アンケートである程度調査はしています。上司からは、一日いない部下との連絡手段はほしいがあとは問題ないとか、周囲の人からも特に問題ないという回答があり、そういった
ホールディングスの運用においては、やはり各マネージャーの判断という要素が大きくなってきますので、そこを会社としてどのように見て、場合によってはもう少し細かいルールづくりをしていくべきという継続的な課題はありますね。
また、3つの指針で挙げている
フレックス制度に関してはいかがですか?
フレックス勤務といっても、コアタイムの設定の有無とかあると思うんですが、どういった形で運用されていますか?
基本的にコアタイムありですね。部門ごとに異なるコアタイムで運用をしていますが、
中には朝早く来て16時に帰る人もいます。そこがかなり浸透してきたなと思うところですよね。今、徐々にコアタイムを短くしています。ホールディングスの人事、ポーラの人事も短くなっていて、一番短くてコアタイム13時~14時ですね(笑)
え、1時間ですか(笑)!?
ええ(笑)1時間だけ出社するという社員はあまりいませんが、人事自らが自律した勤務のさきがけになれればと思っています。
3つの指針による働き方改革のこれから
最後に、ポーラ・オルビスホールディングスとしての働き方改革の取り組みで行っていることはありますか。
昨年、グループ全社を巻き込んで
フレックスタイムは浸透しているんですが、より積極的に使ってみたらどうだろうということで、
いいですよね、朝早くに来て、逆に夜の時間が自由になるというのは。 最後に、今後取り組んでいきたいこと、今までの活動を受けて今後やっていきたいことはありますか?
ある程度できてきた仕組みの浸透は引き続きやりたいですね。制度自体は浸透が始まっているものの、じゃあ完璧かというと決してそうではありません。たとえば業務の種類によってはリモートワークが実施しにくい、などです。
そういった要因をつぶしていくことや、まだ雰囲気的にやりにくいと感じる人が残っていれば、
今回の話に出た施策に限らず、「グループ理念の体現」「ダイバーシティ」「生産性の向上」につながる運動、施策、制度はこれからも検討、導入していくつもりです。
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今回協力して下さった企業様
株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
- 設立
- 2006年
- 本社所在地
- 東京都中央区銀座
- 事業内容
- 国内事業:トータルビューティ事業、百貨店事業、BtoB事業)
海外事業:化粧品・健康食品の企画・販売、ボディファッション、アパレルの企画・販売など
- 従業員数
- 連結4,181名、単体127名(2018年12月31日現在)
- Webサイト
- https://www.po-holdings.co.jp/index.html