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コーユーレンティアの働き方改革事例

フリアド+シェアオフィス活用で固定費削減を狙う

投稿日:2019-05-20  最終更新日:2019-04-02  取材日:2019-01-22

コーユーレンティア株式会社が取り組んだ事

  • 時差ビズやテレワーク・デイズに参加し、生産性向上を図る
  • フリーアドレスや勤務時間帯選択制で柔軟な働き方が可能に
  • 会社規模

    300人

  • 業種

    サービス業

  • 対象職種

    全社員

シェアリングエコノミーという言葉のなかった時代からいち早く法人向けレンタル業を営み、間もなく創業50周年を迎えるコーユーレンティア株式会社。今回お話を伺ったIR広報室 室長清家様は、社内横断プロジェクトである生産性向上部門も兼任されており、自主的なリサーチやトライアルをされています。現場に近い立場から見た同社の働き方改革についてお聞きしました。

今回お話を伺った、IR広報室 室長 清家様

人員増に伴う固定費の増加を抑えるために

2016年3月に今のビルに移転したそうですが、移転を決めた経緯から教えていただけますか?

移転を決めたのは「オリンピック関連の再開発工事で、このビルが取り壊しになるかもしれない」という通知が当時(2015年3月)の管理会社から来たのに加えて、手狭になってきた為です。結局、取り壊しは延期になり、移転する必要はなかったわけですが(苦笑)。最近になってまた社員が増えてきたので、昨年12月にコワーキングオフィス「WeWork新橋」を分室として契約しました。

現ビルで増床する選択肢もあった中で、なぜWeWorkを選んだのでしょう?

WeWorkなら一度契約しても最短で翌月には解約できますし、他社との交流も副次的な効果として見込めます
現在のビルで増床する案も検討しましたが、入居工事や原状回復費用が不要なWeWorkの方を選びました。

アメリカ創業の「WeWork」は世界97都市で550ヶ所以上(2019年1月現在)のコワーキングスペースを展開し、2018年には日本初出店した。(画像は「WeWork」のワークスペースのイメージ。https://www.wework.com/ja-JP/より)

社内浸透を目指し、テレワーク・デイズに参加

ZXY(旧ちょくちょく…)も2年以上お使いいただいていますが、どのように活用していますか?

2016年7月、コーユーレンティアの商号変更・移転時に立ち上がった「生産性向上プロジェクト」の一つとして、主に営業マンの移動を減らして時間を有効活用する為に、ZXY(旧ちょくちょく…)を使い始めました。現状は、新卒採用の人事部などが大学へのアポイントの前後に高い頻度で使っています。
営業マンも夕方のアポや打ち合わせが終わった後、本社に戻らずに近くのZXY(旧ちょくちょく…)で定時まで作業して直帰してくれれば移動時間削減・時間外業務時間削減になると想定していたのですが、本社に戻って仕事する方が落ち着く社員も多いようで…。また、レンタル用品の見積書作成など一部の業務は、会社のPCでしかできないという縛りがあるのもモバイルワークが思ったほど普及しない一因かもしれません。
それでも、昨年夏には東京都主催のテレワーク・デイズに参加するなど、できるところから促進しています。

ちなみにノートPC以外で会社から貸与されているデバイスはありますか?

役職者+αにiPadが貸与されています。iPadから「デスクネッツ」という社内でのグループウェアにアクセスして、メールの確認や、スケジュールを共有することができます。また、iPadがなくても会社の承認があれば個人のスマホでグループウェアを見ることができます。

勤務時間帯選択制の導入で自分に合った働き方が可能に

次に、働く時間についてお聞きしたいのですが、御社ではフレックスは導入していますか?

以前は一部の部門だけフレックスを導入していましたが、今は全社的に9時~18時の定時制です。最近では就業規則が変わって時差ビズができるようになり、定時以外にも12種類の勤務時間帯を設定して事前申請をすれば自分に最適な勤務時間帯を選べるようになりました。

東京都が進める「時差ビズ」(https://jisa-biz.tokyo/)では、定期的に集中取組期間を設けて企業の参加を促している。今冬のキャンペーンには1,000社以上(2019年1月現在)の参加が見込まれている。

勤務時間帯選択制度を使う人は多いですか?

利用頻度は部門によって違いますが、例えば、ある部門では、夜間業務の際には、当日は昼12時に出社して夜9時まで働く、など柔軟な勤務ができるようになりました。しかも、「上長の事前承認があること」「業務に支障をきたさないこと」であれば、自己都合による時間帯を選択することが可能となりました。

以前は取り組んでいたというフレックス制(一部のみ)を廃止したのは、何かデメリットがあったからですか?

デメリットというよりも、フレックス制からの「残業時間削減」や「生産性向上」の効果の検証が、十分にできなかったからですね。

移転を機にフリーアドレスを導入

オフィスはフリーアドレスですか?

2016年3月に今の本社ビルに移転したタイミングで一部フリーアドレスになりました。営業職は原則フリーアドレスで、それ以外の部門と営業アシスタントは固定席です。割合は半々位でしょうか。ザイマックスインフォニスタや他の会社のフリーアドレスオフィスも見学させてもらいました。

明るく広々としたフリーアドレスフロア。自社のオフィス向けレンタル商品を多用する事で、ショールーム的な役割を担っている。

有難うございます。フリーアドレスを導入した理由は?

「せっかく事務所が移転するんだから変えてみよう!」という意見がありましたし、固定席だけだと自分の部門の事しか分からない従業員が増えてきていることや「“共感”をテーマにしたスペースを造りたい」という社長の意向もあったからです。
実はこのフロアの什器(fixtures)やオフィス家具(furniture)は、自社のレンタル商品を実際に使っているんです。
「レンタル品でもここまで立派なオフィスができます」という自社商品のPR的意味合いも含んでいます。実際に使っている様子を視察する為にお客様が見学にいらっしゃる事もあるんですよ。

ショールームとしての役割も担っているのですね。

フリーアドレスエリアは1,200mm×1,200mmの4人掛け正方形型デスクがメインで、他にも長机タイプ、昇降型タイプも用意しました。ただ、1,200mm×1,200mmに4人座るのは若干狭く感じるようで「1,400mm×1,400mmタイプにすべきだったかな」と学びもありましたね。

(左)立ち作業で切り換えて、業務効率化を図るスタンディングデスクエリアの様子、(右)オフィスのテーマになっている「共感」(武田双雲氏の作品)

ただ、フリーアドレスの運営に苦労される企業も多いようですが、御社ではいかがですか?

導入当初は、続けて同じ席に座らないルールでしたが、ある部門は、部門単位で集まるローカルルールを作っています。週ごとに島をローテーションしているので、ずっと同じ席に座っているわけではありませんが、当初に比べてからの流動性は下がったとは感じます。
あとは、業務時間外にはデスク上にはデスクトップPCと固定電話しか置いてはいけないですが、最近はそれ以外のモノも見えるようになりました。

フリーアドレスだったはずがグループアドレスのような形に一部なっているわけですね。

そうですね。所属部門のメンバーで集まってしまうと、どうしても同じ話しが多くなってしまうので、「共感」という事務所のテーマが、活かしきれていない気もします。

他にルールはありますか?

私の部署では、誰がどこにいるか?何をしているか?第三者にもわかるように、必ずグループウェア上の予定表に入力して共有するようにしています。時間管理の意識を高めるためにも、週末には翌週のスケジュールを入力し、週初めには必ず顔を合わせて、先週の業務報告、今週の予定を部門内で共有をしています。

スケジュールの共有などに活用しているグループウェア「デスクネッツ」のデモ画面(https://www.desknets.com/neo/features/

それでも今は、フリーアドレスと固定席をうまくミックスしてレイアウトしている、と。

そうですね。フリーアドレスを導入しているのは6階だけで、7階のグループ会社は全て固定席です。ただし、固定席であっても荷物が増えすぎないように、定期的に部門ごとの席替えをしています。足元に荷物があると夜間に稼働している業務用ルンバ(自動掃除機)がスムーズに動かないからという理由も兼ねて、皆さんにお願いしています。

他にオフィス環境で工夫した所はありますか?

引っ越しの時に、個人の荷物を一人段ボールひと箱に強制的に絞ったところ、紙での保管資料の量がかなり減りました。また、ゴミ箱を一箇所に集めることで、限られたスペースでの有効活用とごみの量の削減を狙いました。
各個室(会議室・ミーティング室)には液晶モニターを設置したので、ノートPC・iPadでのペーパーレスミーティングが可能になり、紙での事前準備の手間の削減、資料の差し替えもリアルタイムに出来るようになりました。会議自体も適度に緊張感を持てるように、会議室の壁をすりガラスにして廊下からもシルエットが何となくわかるような造りにしました。

(左)すりガラスを採用した会議室、(右)大きな窓と広々とした空間で開放的なスペース

効率化を進め、時間外勤務(残業・休日出勤)の削減を目指す

今後の課題を教えていただけますか?

時間外勤務の削減は今後の課題です。
これまでは勤務時間の管理が、少し緩かったのですが、働き方改革関連法も予定され、勤務時間の適正管理が求められています。所定勤務時間内で、効率よく業務をすること
朝も夜も、定時を超える場合は事前申請が必要になるなど、労務管理が昔に比べて厳しくなっています。

かといって、残業手当が減ると収入に響くという話も聞きますが。

残業手当が少なくなり収入が減った従業員が居るのも事実ですが、その分、就業後はプライベートな時間を有効に活用できるようになり、ワークライフバランスの実現へ繋がっているとも言えます。
また、短い時間で高い成果を上げたほうが評価が高くなる制度や、業務の効率化に向けた電子化等の取組みも検討予定です。

最後に、将来の方向性や展望があれば最後にお聞かせください。

東京オリンピックを来年に控えて、当社の「イベント向けレンタル事業」と「建設市場向けレンタル事業」の部門がとても忙しく、東京本社の社員が増えつつあります。
現在本社は社員110人に対して120席以上ありますのでまだ余裕はありますが、更に増員すれば入りきらなくなる可能性もあります。社員が増えたら増床という発想がいまだに根強いですが、フリーアドレスやコワーキングスペースを上手く活用できれば増床しなくても済むわけです。「みんな一緒に座って仕事する」という固定観念を徐々に変えていければと思います。

社内のマインドチェンジが鍵になりそうですね。

そうですね。東京オリンピックが近づけば、混雑緩和の為に交通量抑制・規制も出てきますから、時差ビズウィークやテレワーク・デイズなど東京都の取り組みに参加する事で、社内に働き方への変化が浸透していけばと考えています。

今回協力して下さった企業様

コーユーレンティア株式会社

設立
1970年(昭和45年)10月
本社所在地
東京都港区新橋6-17-15
事業内容
FF&Eレンタル業。建設業界・不動産業界・イベント業界をはじめ、国内外の企業向けにFF&Eをレンタル。
※FF&E(furniture ,fixtures and equipment
従業員数
365名(2018年12月期)
Webサイト
https://www.koyou.co.jp/

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