CLOSE

働き方改革記事「 ICT投資・活用 」

【セミナーレポート】
「7割の企業が見直し着手!?これからのオフィス戦略と向き合うセミナー」

第一部 コロナ禍でどう変わる?データからみる企業のワークプレイス戦略

投稿日:2022-03-09

2021年12月3日、株式会社ザイマックスが主催するセミナー「7割の企業が見直し着手!?これからのオフィス戦略と向き合うセミナー」がオンライン開催されました。
第一部ではザイマックス総研の石崎真弓氏より、2021年秋に行ったワークプレイス戦略に関する企業動向の最新調査発表がありました。
第二部では、当社がサテライトオフィス開設をご支援させて頂いております日本工営株式会社の網谷 治氏をお招きし、コロナ禍を契機にした同社のオフィス集約、
自社サテライト開設などのワークプレイス改革やテレワーク推進等に係るワークスタイル変革の具体的な事例を豊富に交えながらお話を伺いました。

登壇者

株式会社ザイマックス不動産総合研究所
主任研究員
石崎真弓

リクルート入社後、リクルートビルマネジメント(RBM)にてオフィスビルの運営管理や海外投資家物件のPM などに従事。2000 年RBMがザイマックスとして独立後、現在のザイマックス不動産総合研究所に至るまで一貫してオフィスマーケットの調査分析、研究に従事。近年は、働き方と働く場のテーマに関する様々な調査研究、情報発信している。


8割が出社率制限を継続、
うち4割が出社日数を週3日未満に抑制

ザイマックス総研では企業の働く場と働き方について2017年から定点観測を行い、レポートを発表しています。
今回は、緊急事態宣言が明けた2021年10月末に行った最新調査(※)を元に、企業のワークプレイス戦略の動向をお話ししたいと思います。

※調査概要
 調査期間: 2021年10月26日~11月7日
 調査地域: 全国(東京都、大阪府、愛知県、福岡県、神奈川県、埼玉県、千葉県、その他)
 調査対象: ザイマックスグループの管理運営物件のオフィスビルに入居中のテナント企業
       法人向けサテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ)」契約企業
       ザイマックスインフォニスタの取引先企業
 有効回答数:1,503


まず、出社率の推移について。
完全出社(=テレワークなし)を続けているのは2割で、残り8割は出社率制限を継続していることが分かりました。また、そのうちの4割が、今も出社日数を週3日未満に抑えています。(下図参照)

タイトル

感染状況が落ち着くと出社率を上げる企業が若干増えるとは思いますが、
コロナ収束後も基本的にハイブリッド運用の傾向は続くと思います。

そして、ハイブリッド運用が定着するにつれて、テレワークする場の整備も進展しています。
過去5年間の推移を見ると、在宅勤務制度はコロナ発生の2020年にいっきに広まり、半数以上が導入するまでになりました。
更に、専門事業者等が提供するサテライトオフィス等を利用する企業は、2017年と比べると約3倍に伸び、
いまや2割近くを占めるまでに増えました。(下図参照)

タイトル

7割がワークプレイス戦略見直しに前向き

約2年間のコロナ禍を経た今、約7割の企業がワークプレイス戦略の見直しに着手した/するつもりと回答しています。
「すでに着手している」と回答した企業(24.5%)が具体的に何をしたか内訳を見ると、「IT端末を社員に配布した(8割)」、「ペーパーレス化をした(7割)」などの回答が上位にきました。
驚いたのは「サテライトオフィスを導入した」と答えた企業が6割にものぼったことです。

タイトル

メインオフィスの見直しが活発化する一方、
課題は多様化

企業の属性や規模によってワークプレイス戦略見直しの着手状況にどれほどの差があるか調査しました。
まず、「見直す」と回答した企業は、大企業で8割、中小企業でも6割にのぼっています。
次に、業種別ではどうでしょうか。テレワークと親和性が高い情報通信業や、大企業が多い製造業、サービス業では高い数値が出ています。更に、一般的にテレワークしづらいといわれる卸売業や小売業、金融業などでも既に着手している企業は一定いらっしゃいます。
つまり、単に企業規模や業種のくくりではオフィスの見直しを語ることはできないのです。(下図参照)

タイトル

また、見直しをすべきとして多くの企業が挙げたのが、
・オフィスの面積最適化(移転含む) 43.7%
・オフィスのレイアウト、ファシリティ変更 39.5%
・オフィスの運用変更(出社率制御、フリーアドレス制など) 34.4% 等の項目でした。
以上のことから、今後、メインオフィスの見直しの動きが活発化すると予想されます。

一方、抱える課題の難易度が高くなっているとも感じます。例えば、最適なレイアウトや、出社率をどうコントロールすべきか、最適な出社率をどう設定するかなど、見直し段階のフェーズによって悩みも多様化しています。

タイトル

ハイブリッドなワークスペースの整備が
企業に求められている

Beforeコロナではリアルに集まって仕事するのが当たり前で、サテライトオフィスや在宅勤務は限られた一部の人だけのものでした。Withコロナでは全く逆で、安全の為になるべく在宅勤務して、どうしても出社せざるをえない社員だけが出社する。Before、Withどちらも極端でアンバランスな状態でした。
では、Postコロナではどうなるべきか?ザイマックス総研では”ハイブリッドオフィス“を提唱しています。つまり、その日の業務や状況に合わせて最適な場所を自ら選択して働けるハイブリッドな働く場所を企業側が整備することがますます求められてくると考えます。

そのためには以下の3つがポイントになると考えます。

①メインオフィスを再構築する
まず、メインオフィスは目的をもって行く場所になっていくでしょう。そして、その目的とは何か?一番に求められているのがコミュニケーションです。実際に、メインオフィスの見直しとして「コミュニケーションの場の設定」を最も関心のある項目と答えた企業が3割を超えました(下図参照)。
感染防止に配慮しつつ対面でのコミュニケーションを確保するために、安心安全なオフィス環境と効率的な運用施策がより一層求められるでしょう。

タイトル


②サテライトオフィスを上手く使う
在宅勤務のデメリットを回避する対策として、郊外エリアにあるサテライトオフィスのニーズが高まっています。また、サテライトの利活用でトータルオフィスコスト削減を目指す企業も少なくありません。都心に集中しているオフィスを郊外に分散させれば、同じ面積でも坪単価は安くなりますし、自社開設しなくても利用時間分だけ料金を支払う外部のサテライトオフィスサービスもだいぶ増えています。
うまく組み合わせてオフィスコストをトータルで削減するなど、サテライトの利活用がワークプレイス戦略に欠かせない要素となりつつあるのです。

③自社にとって最適なワークプレイスの選択肢を組み合わせる
多くの企業にとって、従来の100%出社を前提とした働き方に戻るのが難しいのは明らかです。コロナ前に比べればオフィスの契約形態(賃貸or所有or都度利用)も働き方(集合or分散)も、選択肢はどんどん増えています(下図参照)。

タイトル


これらの中から各社に最適なパターンを見つけていくのが重要ではないでしょうか。

また、これらの検討材料として正確な情報収集も欠かせません。
ザイマックス総研では、特設サイト「働き方×オフィス」にてデータ分析やレポート発表を行っています。今月末にも今日のお話をより詳しく解説したレポートを発表しますので、ぜひご覧ください。

この記事と同じシリーズの記事

この記事の関連記事