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テレワークマネジメントの働き方改革事例(前編)

働き方改革のトップランナーに学ぶ
~テレワーク専門コンサルティング会社、株式会社テレワークマネジメント~

投稿日:2018-11-07  最終更新日:2019-03-20  取材日:2018-08-31

  • 会社規模

    10人

  • 業種

    専門・技術サービス業

  • 対象職種

    全社員

働き方改革の柱のひとつとして、今でこそ一般的になりつつあるテレワーク。そんなテレワークという言葉がまだ珍しかった2008年に設立されたのが、今回お話を伺う株式会社テレワークマネジメントです。日本初のテレワーク専門コンサルティング会社として企業のコンサルティングや講演、研修を行う一方、自社においても柔軟な働き方に関する仕組みや制度を常にブラッシュアップしつづけています。その姿は、働き方改革の理想を追い求めて走るトップランナー。
前編の今回は、家族の転勤をきっかけに自身のキャリアを諦めざるをえなかった経験がきっかけとなった創業期から現在に至るまでの、自社の柔軟な働き方への取り組みやマネジメント方法などについて、代表取締役の田澤由利氏に伺いました。

インターネット上にリアルなオフィスをつくりたい!

株式会社テレワークマネジメント 代表取締役(兼 株式会社ワイズスタッフ 代表取締役) 田澤由利氏
1962年、奈良県生まれ、北海道在住。上智大学卒業後、シャープ(株)でパソコンの商品企画を担当していたが、出産と夫の転勤でやむなく退職。 1998年、夫の転勤先であった北海道北見市で「在宅でもしっかり働ける会社を作りたい」と(株)ワイズスタッフを設立。様々な業務を受託し全国各地に在住する約150人のスタッフ(業務委託)とチーム体制で業務を行っている。 2008年、柔軟な働き方を社会に広めるために、(株)テレワークマネジメントを設立。 同年、日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2009」リーダー部門7位に選出。2015年 総務省「平成27年度情報化促進貢献個人等表彰」を受賞。2016年「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」個人賞受賞。内閣府政策コメンテーター、総務省 地域情報化アドバイザーなど。

インターネット上にリアルなオフィスをつくりたい!

まず、貴社自身のテレワークの取り組みについてお話を伺いたいと思います。概要やテレワークの実態から教えていただけますか?

はい。弊社では、テレワークの普及によって柔軟に働ける社会の実現を目指し、テレワーク導入支援コンサルティングやテレワーク向けICTツールの販売、講演、研修などのサービスを提供しています。
創業は2008年で、現在、東京都千代田区と北海道北見市にオフィスがあり、社員数は12名、そのうち8割がテレワークを実施しています。

起業のきっかけは何だったのですか?

大学卒業後メーカーに就職したものの、夫の転勤を理由に退職せざるをえなくなった経験がきっかけでした。
会社側は働いてほしいし本人も働きたいのに、会社に通えないことを理由に働けなくなるのはおかしいと感じました。会社に通わなくても働ける形を作らないと、自分のように悲しい思いをする人がこれからも増えるだろうと思ったのです。
そこで「在宅でもしっかり働ける会社を作りたい」と、インターネット事業を業務受託する株式会社ワイズスタッフを1998年に起業しました。この会社で在宅勤務を行うスタッフは約150人まで増加したものの「このペースでは世の中は変わらない、変える為には雇用する側を変えた方が早い」と考え、10年後の2008年に立ち上げたのが株式会社テレワークマネジメントです。
会社に来なくてもきちんと働ける会社をつくる事ができれば、そのノウハウをコンサルティングという形で企業に売っていくことができる、と考えたのです。理想形はインターネット上に会社をつくることでした。それが実現できれば自宅でも地方でも、場所に関係なく働けると思ったからです。

インターネット上の会社、ですか?

そうです。コミュニケーションを含めて普通のオフィスでできることを全てネット上で完結させようというイメージでしたが、当時そういうツールはなく具現化できませんでした。当時からweb会議のサービスはありましたが、話すためにただWeb会議を使っている点に違和感があって導入には至りませんでした。
しかし、5~6年前にやっとSococo(ソココ)という「仮想オフィスコミュニケーションツール※」を見つけて自社で導入しました。アメリカの製品ですが、代理店として弊社でも販売しています。 社員同士の場所が離れていても、オフィスにいるのと同じように普通に話しかけたり打ち合わせしたりできる、まさにインターネット上の会社です。

※仮想オフィスコミュニケーションツール「Sococo(ソココ)」…オフィスや在宅、他の事務所や営業先などリアルでは同じ空間にいない社員同士が、インターネット上のオフィス空間に集まり、声を掛けたり、会議をしたり、チャットをしたり、文字や声、映像で簡単にコミュニケーションをとることができるツール。

仮想オフィスコミュニケーションツール「Sococo(ソココ)」 出典:株式会社テレワークマネジメントHP

ICTツールの活用なしでは、テレワークは難しい

他に活用しているICTツールはありますか?

創業当時は現代ほどICTツールが充実していなかった為、まずは「報連相ツール」といってチームごとに報連相ができるコミュニケーションツールを自作しました。使い勝手が良くて、10年経った今も社内で使っていますが、時代にあわせてクラウドのシステムに変えていきたいという課題はあります。

あとはこれまで難しかった、在宅勤務中の働いている時間と何をしているかが同時に管理できる「F-Chair+(エフチェアプラス) ※」という労務管理システムを使っています。
当社は時間労働制ですが、世間一般の懸念として多いのが「(社員が)サボるんじゃないか」という事で、ここをクリアしないとテレワークが広まりません。従来の一般的な企業では始業/終業をタイムカードで管理していましたが、時間と場所を限定しない働き方では、細切れの時間も管理しないといけません。細切れの時間というのは、例えば育児中の方ならば、子供のお迎えに行く時には退席して、お迎えから戻って仕事を再開する時にはまた着席して、という細かい業務時間のことです。
「F-Chair+(エフチェアプラス)」を導入することによって、その都度、着席/退席をカウントして業務時間を管理できるようになりました。時間でギチギチに管理することが目的ではありませんが「日本の労働基準法や歴史を踏まえると時間のマネジメントが大事だな」と感じます。

※F-Chair+(エフチェア+)…テレワークマネジメント社が取り扱う労務管理システム。社員の作業画面のキャプチャー保存、勤怠時間の管理が簡単な操作でできる。

とにかくテレワークはICTツールを使わないと難しいです。どんなツールを選びどう使うかもノウハウのひとつです。これまでもツールについては試行錯誤してきましたし、今後も良いものが出てくれば積極的に使いたいと思っています。

労務管理システム「F-Chair+(エフチェアプラス)」 出典:株式会社テレワークマネジメントHP

貴社のテレワーク実施率8割はかなり高い数字ですが、テレワークする人/しない人によって会社内で不公平感は生まれませんか?

当社では、出社してくれた社員に対して出社手当を出しています。出社すれば郵便物の受け取りやちょっとした掃除など、テレワーク社員にはできない業務が発生しますが、そこで出社する人だけが不公平感を感じることなく、手当を出すことで本人も納得感を持てるようにしています。他にも、フルタイム手当やフルウィーク手当、時間拘束手当などもあります。
会社としては平日の9時から17時半まで働いてくれるとありがたいですが、手当が貰えなくても柔軟に働きたい社員もいますから、「出社してフルタイムできっちり働いてくれた人にはその分、報酬を出しますよ」という考え方です。そうすれば、社員みんながフェアだと思えます。会社が提供すべきなのはオフィスではなく、社員が一番パフォーマンスを出せる環境です。その人にとってそれが会社なら会社、自宅なら自宅、というだけです。

出社かテレワークか自由に選べる、ということですか?

いえ、自由とは違います。よく混同されがちですが、好き勝手という意味の「自由」ではなく、ある程度のルールの中で個々の事情に合わせて「柔軟」に働ける、というイメージですね。

後編では、テレワーク導入中の企業からよく聞かれるお悩みについて、20年以上に渡ってテレワークの普及に取り組んできた田澤社長のアンサーをお聞きしたいと思います。マネジメントやICTツール、労務制度などお悩みの方はきっとヒントが見つかるはずです。

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今回協力して下さった企業様

株式会社テレワークマネジメント

設立
2008年(平成20年)9月1日
本社所在地
北海道北見市高栄西町4丁目7番13号
事業内容
テレワーク導入支援コンサルティング、テレワークに関する講演・研修、テレワーク用システムの販売、テレワーク関連調査・分析
従業員数
12
Webサイト
https://www.telework-management.co.jp/

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