INDEX
VR空間で働くって、未来の話じゃないの? いえいえ、もう、現実的に起こっていることなんです。
今、話題の「バーチャルオフィス」とは
以前から使われていた「バーチャルオフィス」という言葉について
ここでの「バーチャルオフィス」とは、文字通り「バーチャル(virtual=仮想)」な「オフィス(office=事務所)」のこと。
物理的な執務空間は必要としないが、会社の登記や事業に使うための「住所」を安くレンタルしたい。
そんな事業者(※1)のニーズに応えることを主目的としたサービスです。
※1:主に、起業準備中の個人事業主やフリーランス、副業を始めようとしている方、など。
メインの機能は、以下の通り。
・住所貸し
・郵便物受け取り、転送
さらにオプションとして、次のようなサービスを提供しているケースもあります。
・書類保管サービス
・電話関連サービス(固定電話番号・FAX番号の利用/電話転送/電話代行/電話秘書など)
・会議室の利用
・法人登記代行
・会計サービス(バーチャルオフィスと連携する税理士との顧問契約斡旋など)
・WEBページの制作サポート
今、話題の「バーチャルオフィス」について
次に、コロナ禍でリモートワークが本格的に普及し始めて以降、にわかに注目度を高めている、新しい「バーチャルオフィス」について見ていきましょう。
ここでの「バーチャルオフィス」とは、正確には、「VR空間に構築されたバーチャルなオフィス」といったニュアンスです。
ここでは、専用のツールやソフトウエアを用いて「VR(=仮想現実/Virtual Reality)」空間に擬似的なオフィスを構築し、社員はログインして”出社”します。そして、その仮想現実の世界の中で、仕事上の様々な業務やコミュニケーションを完結させていきます。
>物理空間を介在することなく、VR空間内だけで、あたかも現実のオフィスに出社しているかのように社員同士交流して、仕事上のやりとりをこなしていくことができる「VRオフィス」。
サービスによっては、自身のアバターを設定して、VRオフィス内のフィールドを歩き、他の社員のアバターと話をしたりすることもできるようです。
このように、(1)と(2)とでは、随分とニュアンスが違うことがわかります。ここでは、両者を区別するために、(1)のオフィスを「バーチャルオフィス」、(2)のオフィスを「VRオフィス」と呼ぶことにします。
ひとりでリモートワークをしているとついて回る孤独感。それを解消してくれる新しいワークプレイスが、今、模索されています。
VRオフィスが注目を集める理由
その理由は、リモートワークでは満たされなかった欲求(ニーズ)を、「VRオフィス」なら満たしてくれるかもしれない、という”期待感”にあるように思います。
離れて働かなくてはならなくなった世界
「テクノロジーの発展」と「働き方の多様化実現へのニーズ」を背景に、近年、「働き方改革」が加速度的に推進され、リモートワーク(テレワーク)が順調に普及していきました。しかし、その矢先に、私たちが直面したのが、新型コロナウイルスのパンデミックです。
そして、この大きな社会的現象を受けて、リモートワークを行うことの”意味”が、にわかに変質してきているように思います。
つまり、コロナ流行の前後で、
多様な人材が生産性を高めながら働くためのリモートワーク
から、
外出自粛の要請を受けて、在宅で働くためのリモートワーク
”離れて働くことそのもの”が主たる目的となったリモートワーク
へ、と。
もちろん、上記は、多分に極端な物言いではあります。とはいえ、人と人とが意識的に距離をとって働くということが、ここまで強制力を伴って社会的に要請されたことは、近年、なかったように思うのです。
離れて働かなくてはならなくなった(少なくとも、仕事をする際にも、「密」を回避することが推奨される)「ニューノーマル=新しい常態」に、今、私たちは生きている。
そういった事実も、今日、VRオフィスに注目が集まる、ひとつの理由であるように思います。
リモートワークでは満たされない体験価値を求めて
ICTツール等を駆使すれば、「離れて働く」ということ自体を実現するのは、そこまで難しいことではありません(もちろん、業種、業界にも依ると思いますが)。
「在宅勤務やリモートワークという働き方に不安を感じていたが、やってみたら、案外できた」といったような感想を抱いた方も、少なくないのではないでしょうか。
業務自体は、確かに、リモート環境下でも問題なく回していけることはわかった、と。しかし、在宅勤務の期間が長引くに従って、私たちは、次のような問題について、いよいよ無視することができなくなってきました。
▶︎気軽で自由なコミュニケーションへの渇き
▶︎一人ぼっちで仕事をしているという孤独感
「オンライン・ミーティング」では、確かにみんなと顔を合わせることはできるけど、あくまでも「会議」の場なのだから、他愛のない「雑談」に興じるのは、やはり憚られる。仲良い”あの人”にフランクな言葉をかけてあげたいけど、ミーティングの進行を止めるわけにもいかないし、他のメンバーの目もあるし…。
そんなふうに、まごまごしている間に、ミーティングのアジェンダは着々と消化され、会議は終了。グループチャットを閉じたら、隣には机を並べる同僚もいない…。
以上は、あくまでもひとつの想定ケースですが、とはいえ、
「リモートワーク環境下では、会社のオフィスで行っていたような”人間的なコミュニケーション(=偶発的なコミュニケーション)”を楽しめる機会は、どうしても少なくなりがち」
ということは、みなさんも体感的に納得されることだと思います(傾向の話として)。
しかし、「VRオフィス」では、仮想空間の中、好きな時間に、好きなメンバーで集まって、気軽に”おしゃべり”を楽しむことができます。そこでは、まるで実際のオフィスに居て、みんなと顔を合わせているような雰囲気を作り出すことができるんです。
このように、従来型のリモートワークでは得られにくい”体験価値”を、ワーカーに提供することができ得る「VRオフィス」。
この新時代のワークプレイスは、オンラインゲーム等の仮想空間において、ゲームのキャラクター(いわば、アバター)を通して、プレイヤー同士でコミュニケーションを重ねることに慣れた人たち(特に、デジタルネイティブ世代以降など)にとっては、とても馴染みやすい場に映るのではないでしょうか?
このようにオンライン上のメンバーを一覧できるというのも、安心感につながります。
VRオフィスの機能
孤独感を解消する「コミュニケーション機能」
「slack」「chatwork」のようなビジネスチャットツールや、「Zoom」「Microsoft Teams」のようなWeb会議ツールでは、チャットや会議が終われば、接続を切るのが普通です。
一方、VRオフィスでは常時接続が基本。常にメンバー同士がつながっている状態で、「会議中」「商談中」など、一人ひとりの状況がひと目で把握できる仕組みが整っています。そのため、話しかけるタイミングが掴みやすく、気軽にコミュニケーションを取ることができる、というわけです。
そのように、あたかも対面で「雑談」しているかのような体験が、テレワーク時に陥りがちな孤独感の解消に一役買ってくれるものと期待されています。また、チャットでのやりとりでも、テキスト、音声、ビデオと、状況に合わせて使い分けられるのも便利です。
所属欲求を満たす「座席・ルーム設定機能」
VRオフィス内のどこで、誰が、どんな状態でいるのかを可視化・一覧化するのが、この「座席・ルーム設定機能」です。離席しているのか、休憩中なのか、集中ワーク中なのか、など、メンバーの活動が見える化され、あたかも、会社にいるかのような活気を感じさせてくれます。
メンバーの存在を身近に感じながらリモートワークができる、ということ。人間の本能である所属欲求を満たす、優れた機能です。
距離の壁を突き破る「画面・資料共有機能」
VRオフィスでは、即時的に、画像や資料を共有・アーカイブする機能も充実しています。例えば、VR空間内の巨大モニターに資料を映し出して、その場に一緒に居合わせているかのようなリアリティの中で、議論を重ねることもできます。
さらに、VRオフィスのサービスによっては、例えば、会議で交わされた会話の音声データや、そこで参照された資料データなどを含め、会議シーンそのものをデータとして記録することができるものもあるとのこと。
保存性・検索性にも優れ、離れて働くことの不便さを忘れさせてくれるのが、この「画面・資料共有機能」です。
このように、アバターで仕事をしている企業が、実際に存在しているのです。
代表的な先進事例
eXp Reality社(米国・ワシントン)
2008年のリーマンショック後に設立されたアメリカの不動産仲介会社・「eXp Reality社」では、従業員の大半がVRオフィスで勤務しています。本社登録や重要書類の保管等の目的で、ワシントンに住所を設定してはいるものの、物理的なリアルオフィスの所有は、ほぼなし。そうして、オフィスにかかるコストを大幅に削減し、不動産仲介の手数料を下げるビジネスモデルで急成長を遂げています。
https://youtu.be/WbnflIPkKUs
「eXp World」という専用ソフトを使うことで、同社が構築したバーチャルワールドにログインでき、その中で、研修や教育、会議、商談まで、あらゆることが行われています。このVR空間には、執務スペースや大きなカンファレンス会場だけでなく、なんと、サッカー場や湖まであるのです。そういった開放的な空間でアクティビティに興じるなど、従業員間でコミュニケーションを図る機会を増やす工夫も随所でなされています。
株式会社ロゼッタ(東京都新宿区)
AI(人工知能、機械学習)による自動翻訳サービスの開発・運営を行う「株式会社ロゼッタ」は、コロナ禍でリモートワークの実施が要請される中、本社機能をVR空間に移転することを決定(2020年10月1日)。順次、環境を構築している模様です。
https://youtu.be/99saToa9O8M
オールインワン型VRヘッドセット「Oculus(オキュラス)」というゴーグル型デバイスを装着して、VR空間に入ります。
同社のHPで動画が公開されていますが、そこでは、綺麗な海の底や雲の上、未来都市、ビートリゾートの観光地など、日常では味わえないVRならではの空間の中で、複数人が集まって、コミュニケーションを交わしている様子を眺めることができます。
書類を取り出してみたり、空中に文字を書いて送りあったり、果ては、ボールを投げたり、ドローンを飛ばしたり…、コミュニケーションが自然と創出される、遊び心いっぱいの機能が色々と備わっているようです。
また、自動翻訳のベンチャー企業だけあって、外国語の逐次翻訳機能も充実。「国境フリー・言語フリー」のワクワクする未来を感じさせてくれます。
仮想フォイスツールのサービスによって、UI(ユーザーインターフェース)にも、様々に個性があります。
その他、仮想オフィスツール
Remotty
「Remotty」は、ソフトウェア企業「株式会社ソニックガーデン」(東京都世田谷区)が開発・運営する仮想オフィスツールです。オフィスで働いていた時の「リアルタイムのオープンコミュニケーション」を、WEB上で実現することができるのが、このサービスの一番の特徴。
そのため、UI(ユーザーインターフェイス)は非常にシンプルで、メンバー全員の顔写真が並ぶ、といったデザイン。メンバーのその時の様子が一目でわかり、また、”つぶやき”もタイムライン上で共有できるので、とにかく「話しかけやすさ」が重視されているのが印象的です。
Remo
オフィスを俯瞰したようなレイアウトがポップな印象の「Remo」。これは、Web会議ツールとしても評価が高い海外製の仮想オフィスツールです。
オフィスの俯瞰図には、それぞれ通常の執務スペースや会議室、休憩スペースなどがあり、目的に合わせて、自由に移動することができます。直感的に動かせる操作性の良さも、ユーザーから高い評価を得ています。
ホワイトボード、ビデオ、チャット、音声、画像などの共有もできて、業務上、必要となる機能は一通り網羅しています。使い勝手が申し分ない一方、利用料金は若干高めな印象です。
Sococo
「Sococo(ソココ)」は、「オフィスでも在宅勤務でも『一緒に仕事』ができる」をコンセプトに開発された仮想オフィスツールです。UIは、上で紹介した「Remo」と同様、オフィスの間取り図のようなシンプルなデザインで(30種類以上のオフィスレイアウトを用意)、その中で区切られた部屋や席に各人のアバターを配置して仕事を行っていきます。
従業員の在席確認が俯瞰的に一目で行えるので、メンバーの存在感が近くに感じられ、話しかけたい時には、アバターをクリックしたらすぐに会話が始められるというストレスフリーな仕様。また、すでに使用しているWeb会議ツール(ZoomやGoogleハングアウトなど)とも併用可能なので、導入への負担も少なくて済みそうです。
広がるVRオフィスの可能性。そして、リアルなワークプレイスは─。
バーチャルな世界、リアルな世界
「便利だな」「これなら、寂しくないな」「生産性が上がりそうだな」と感じさせてくれる、夢と現実性を兼ね備えた興味深いソリューションであることは間違いないように思えます。
一方で、仮に「VRオフィス」の中で全ての業務をこなせるようになったとしても、私たちは、どこまでいっても、”物理的な制約(※2)”から自由になりきることはできない、という事実があることも確かです(あくまでも、現状の話ですが)。
※2:”物理的な制約”という言い回しについて
ここでは、実際にキーボードを叩いたり、PCに向かって話しかけたりしている現実世界の環境条件(在宅、カフェ、コワーキングスペース、etc.)から、様々なかたちで受ける”制約=不自由さ”、といったような意味で使っています。
というのも、仮想空間で業務上のあらゆるやりとり・意思決定を済ませられたとしても、物理的な肉体が仕事をしているのは、自宅やカフェなど、何らかの制限がある物理的な空間であるからです。
と、少し難しく聞こえるようなことを述べましたが、簡単に言えば、
「VRオフィス」であっても、現実の働く場所の環境の良し悪しに、どうしても影響を受ける、
ということです。
つまり、「VRオフィス」勤務であっても、リモートワークや在宅勤務で生じうるデメリットはついて回る可能性がある、ということなんですね。例えば、在宅環境で「VRオフィス」に”出社”しているケースでは、
・家事などの兼ね合いで、勤務時間とプライベートの線引きがしづらい。
・家族がいて(子育て、介護などで)、業務に集中できない。
・集中を阻害する様々な夾雑物(テレビ、ゲーム、などなど)が目に入る。
などなど。
そのような不便さを抱える人には、「VRオフィス」と併用して、物理的な集中空間として「サテライトオフィス」の活用を考えてみるのも一手かと思います。
ザイマックスが運営するサテライトオフィスサービス「ZXY(ジザイ)」では、都心部から住宅地まで100を超える場所にワークプレイス拠点を展開中。オープンスペースだけでなく個室も完備しており、”集中”を実現する必要十分な設備をご用意しています。
ニューノーマル時代を迎え、新しい働き方へのシフトが強く求められている今日では、バーチャル・リアル両面にバランスよく意識を振り分けるという、より本質的なワークプレイス戦略が求められてきているような気がします。
この変化の激しい時代、リアル面でのワークプレイスについても、様々な選択肢を検討してみることが大切です。そして、その選択肢のひとつとして、「ZXY」が、あなたのお困りごとや不安を解消できる存在であれたらと思っています。どうか、お気軽にお問い合わせください。
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