日立グループの情報通信システム事業における中核企業・株式会社日立ソリューションズ(以下、日立ソリューションズ)は、システムの導入サービスをワンストップで提供する、国内屈指のシステムインテグレーション企業です。
今回は、そのような先進のソリューションを提案し続ける日立ソリューションズの働き方改革について、人事総務本部 HRアナリティクスグループ 部長代理・小山真一さんにお話を伺いました。
前編では、テレワークを本格的に導入する前の、トライアル時におけるエピソードを中心にお届けしたいと思います。
日立ソリューションズの挑戦─、全社的な「テレワーク検証」へ
本日は、よろしくお願いいたします!
こちらこそ、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、さっそく、御社の働き方改革についてお話を伺っていきたいと思うのですが、まずは、その取り組みのきっかけを教えていただけますか?
はい、近年、少子高齢化が進む中で、労働生産性を向上させながら、場所や時間に縛られずフレキシブルに仕事ができるよう、働く環境の整備や働き方のしくみづくりが強く求められています。そして、そういった時代の求めを受けて、当社でも、以前から、働き方を問い直すさまざまな取り組みをスタートさせてきました。
いつ頃から、どのような取り組みに着手されてきたんですか?
まずは、2008年ですね。育児や介護をしながら勤務している方たちのワークライフバランスの改善を目的に、『在宅勤務制度』を施行しました。その後、2009年には、グローバル事業の拡大と人財の多様化を見据えて、『ダイバーシティ推進センタ』を設置しています。女性や障がい者、外国籍の方などを含め、社員一人ひとりがその違いを尊重し合うことで新たな価値創出を実現していけるよう、経営層のコミットメントのもと、人事制度をはじめとした各種制度の整備や、より良い社内風土の醸成などに取り組んでいます。
トップのコミットメントは、やはり大事ですよね。
はい。当社の場合は、施策を実行する際にはトップダウンで、施策の検討内容はボトムアップで拾うようにしています。そして、近年では、『病児・病後児保育料補助制度』の導入や『総実労働時間縮減運動』などにも取り組んできました。それらの活動を評価していただき、おかげさまで、2015年には経済産業省から『ダイバーシティ経営企業100選』に選定され、続けて2016年には厚生労働省から『女性活躍推進法に基づく認定企業(えるぼし認定企業)』にも選んでいただいています。
それは、本当に素晴らしいですね!
ありがとうございます。そして、その後、このダイバーシティ経営のノウハウを、当社の社会イノベーション事業のひとつの核へと育てていくことを目的に、『ワークスタイル改革運動』として全社キャンペーンを打ち出し、2016年9月1日から3月31日の間、社員3,000人を対象にテレワークの検証を行いました。
トライアルに3,000人規模とは…、すごいですね!
自社製品も活用して、営業支援も行いつつ、ということで…、検証内容や結果を、将来の事業化の糧にしていこうと明確に意識してのトライアルでした。
テレワークの導入と、そのメリットについて
そのテレワークの検証について、具体的には、どのようなことを行ったのでしょうか?
課長以上の管理職と裁量労働勤務者、育児・介護を抱える総合職社員を対象に、サードプレイスオフィスやカフェなど、タイム(時間)もロケーション(場所)も自由に勤務できるT&L(タイムアンドロケーション)フリーワークを導入することにしました。運用の自由度を高めるために、業務内容にも制限を設けることはしませんでした。以前は、自宅のみ、一部の業務のみ、など、テレワークの利用条件を制限していたため、利用者数は2桁台と伸び悩んでいましたので。
なるほど。しかし、テレワークへの思い切った舵切りには、やっぱり、戸惑いの声もあったんじゃないですか?
いえ、当社は“とりあえずやってみよう”という社風ですので、テレワークの導入には、そこまでのハードルは感じませんでした。そうして、テレワークのトライアルを進めていく内に、社員から、こういうサテライトオフィスがあるからぜひ契約してほしい、と要望があったんです。それで契約させていただいたのが、御社が提供されている『ちょくちょく...(現 ZXY)』です。
あ、そうだったんですね! ありがとうございます。使われてみて、いかがでしたでしょうか?
御社のモバイルワークオフィス(現 ZXY)の利用も含め、実際、全社的にテレワークのトライアルを実施してみて、そのビフォー・アフターでのアンケートを取っています。テレワークの実施前はいろいろと不安もあったようですが、トライアル後のアンケートでは、『仕事の効率が上がった』『仕事とプライベートを両立しやすくなった』と、そういう声も多数寄せられており、約3割の社員が『会社に対する満足度が高まった』と回答していました。それではひとつ、サテライトオフィスの利用者自身のコメントを、そのまま引用してみましょうか。システムエンジニア(SE)でワーキングマザーの方です。」
〈以下、コメント〉
職種はSEをしておりまして、普段は事務所で仕事をしたり、お客様のところへ出向いて打ち合わせしたりしています。『ちょくちょく...(現 ZXY)』を利用し始めたのは、2年ほど前からです。
よく利用する駅の近くにたくさんあるので、そちらで打ち合わせの合間に仕事をしています。
また、普段は子どもを保育園に預けているのですが、朝の登園時に保育士の方から「熱が少しありますね。お迎えをお願いするかもしれません」と言われたりすることがあります。自宅から会社までは少し距離があるので、そういう時は、「今日は『ちょくちょく...(現 ZXY)』のサテライトオフィスで仕事をします」と会社にあらかじめ宣言をしておきます。そうしておくと、実際に保育園から「お迎えに来てください」と電話があった場合でも、すぐ迎えに行けるので、大きなメリットを感じています。
あとは定時近くに会議がある場合ですが、会議が終わってから保育園のお迎えに行くと時間が間に合わないので、以前は出席することができていませんでした。しかし、『ちょくちょく...(現 ZXY)』には個室もあるので、今ではその個室を予約してWeb会議や電話会議で出席するようにしています。会社もしっかりと対応してくれています。
これは、当社としても、非常に嬉しい声です!
中部事業所から東京の本社オフィスに異動になった社員が、週2日だけ東京オフィスへ出社し、残りは、家庭がある名古屋でテレワーク勤務することによって、単身赴任が解消できたという例もあります。また、このような定性的な効果事例だけでなく、短時間勤務者の勤務時間延長といった具体的・数値的な効果も確認できています。75名中11名がより効率的に勤務時間を確保できるようになり、さらに内7名はフルタイム勤務への復帰を果たしています。
本当に具体的な効果が出ていますね!
ただ、当初、サードプレイスオフィスの利用料を人事負担としていたものを、トライアル期間終了後に、いざ各部署負担へと切り替えたところ、途端に利用率が1桁にまで落ち込んでしまったんです。そこで、改めて人事負担に戻したところ、すぐに利用率が回復したため、こういった点も利用促進に強く影響するのだということが、よくわかりました。
なるほど。
また、テレワーク検証では、管理職と裁量勤務者などを中心にサードプレイスオフィスの利用を許可していましたが、それ以外の社員が出張に同行した際に行き場がない、などといった問題が出てきたため、2017年4月からはテレワークなどの制度を見直し、ルールを改定しました。2018年からは、テレワーク対象社員を、全社5000人中4000人を占める総合職全体へと拡大させています。そうして、カフェやサテライトオフィス、そして、自宅へと、オフィス環境という概念を拡張していければと思っています。
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今回協力して下さった企業様
株式会社日立ソリューションズ
- 設立
- 1970年
- 本社所在地
- 東京都品川区
- 事業内容
- ソフトウェア・サービス事業
情報処理機器販売事業
(参照:日立ソリューションズ. 会社概要. https://www.hitachi-solutions.co.jp/company/about/) - 従業員数
- 4,675人(連結ベース 11,522人)(2018年3月31日現在)
- Webサイト
- https://www.hitachi-solutions.co.jp/